ニュース・リサーチ
ウクライナと日本の企業間の協業が増加していることは、両国の友好関係を象徴する喜ばしい動きだと言えます。ウクライナは、豊富な人材や資源を持ち、IT分野をはじめとする産業の発展が著しい国です。日本企業がウクライナ企業と協業することで、先進的な技術やアイデアを共有し、新たなイノベーションを生み出すことが期待されます。また、こうした協業は、ウクライナの経済発展と雇用創出に貢献するでしょう。ロシアとの戦争で大きな打撃を受けたウクライナにとって、日本企業との協業は復興への大きな助けになると考えられます。
一方、日本企業にとっても、ウクライナは有望な市場であり、協業を通じて事業拡大の機会を得ることができます。さらに、ウクライナを拠点とすることで、ヨーロッパ市場へのアクセスも容易になるかもしれません。日本とウクライナの企業間の協業は、単なるビジネス上の利益にとどまりません。両国の文化交流や相互理解の促進にもつながる、意義深い取り組みだと言えます。今後も日本とウクライナの企業間の協業が活発になることを願っています。そして、そうした協業を通じて、両国の友好関係がさらに深まり、平和と繁栄に満ちた未来が築かれることを心から期待しています。
具体的には、2024年2月19日、東京で日・ウクライナ経済復興会議が開催され、ウクライナからはシュミハリ首相をはじめとする大規模な政治・経済の訪問団が来日し、岸田首相をはじめとする日本のカウンターパートとの各種会議の開催と協力文書への調印がされました。ウクライナと日本の結びつきが強まる中、企業同士の協業も始まっています。本記事にて、最近の日本企業とウクライナ企業との協業の事例について、まとめてみました。
楽天グループ傘下の楽天シンフォニーは2024年2月26日、ウクライナの大手通信事業者であるKyivstar(キーウスター)と提携を発表。Kyivstarがウクライナで展開するネットワークに、楽天シンフォニーが持つOpen RANのテクノロジーを導入するとのこと。またそれに先立つ2024年1月には新たなオフィスをキーウに開設しています。
ウクライナでは無料通信アプリの楽天Viberがウクライナで大人気。Viberは、ほとんどのウクライナ人のスマホにインストールされており、友達とのチャットや電話のほか、企業や政府機関からの通知の受け取りにも活用されるなど、社会のコミュニケーション基盤を担っています。Viberのオフィスをキーウやオデーサに置き、従業員数は約30人。
私たちJoinJapanは、ゼレンスキー大統領誕生から1ヶ月後の2019年6月に、ゼレンスキー大統領と、楽天の三木谷会長と、大統領府にて会談を行っています。三木谷社長は2023年9月にウクライナを再度訪問したほか、個人としてもウクライナに10億円の寄付を行うなど、ウクライナとの関係が深まっています。
ELEKS(エレックス)は、従業員数2000名を超える、ウクライナのソフトウェアエンジニング会社。2019年に野村総合研究所(NRI)と大日本印刷(DNP)からそれぞれ18%の出資を受けて、日本法人ELEKS Japanを設立し、日本にてDX推進サービスを提供しています。ウクライナはグローバル企業のソフトウェア開発のアウトソーシング先(オフショア開発)として人気です。ELEKSへの出資ケースを嚆矢として、今後、高度IT人材不足に悩む日本からウクライナへの注目が増しそうです。ウクライナでのオフショア開発に関しては、JoinJapanによる「『ウクライナオフショア開発』の調査・考察レポート」もご覧ください。
ウクライナのソフトウェア開発会社のCHIソフトウェアは2023年9月、日本の株式会社マイナビとサービス提供に関する協働契約を締結したことを発表。CHIソフトウェアが抱えるウクライナ人ITエンジニアを活用し、マイナビは今後より幅広いAI・ソフトウェア開発ニーズに応えることを目指すとのこと。
ウクライナ最大のオリガルヒ、リナト・アフメトフ氏率いる大手電力会社DTEKは、2024年2月の日・ウクライナ経済復興推進会議で、日本のサイバーセキュリティ教育に特化したグローバルセキュリティエキスパート(GSX)と覚書を締結しました。DTEKの発電所はロシアからのミサイル攻撃に頻繁に晒されている他、サイバー空間での攻撃も受けています。その防御の力に、日本のサイバーセキュリティ教育の専門家会社がどのように貢献していけるのか、今後注目です。
ウクライナ最大の石油・ガス会社のナフタガス(Naftogas)は、2024年2月の日・ウクライナ経済復興推進会議にて、日本の大手商社の住友商事と覚書を締結。ナフタガスの子会社のNaftogaz Teploが管理するCHP(熱電併給)施設の近代化に向けた情報収集・要望確認・復興計画事業に関して、今後住友商事と提携するとのこと。またナフトガスは、日本の橋梁・鉄骨等鋼構造物メーカーの駒井ハルテックともウクライナにおける風力事業共同検討についての覚書を結んでいる。
ネオエコはフランスに拠点を置く、エコ素材の開発・研究やリサイクル事業を手掛ける企業。パートナー企業としてNeo-Ecoウクライナを設立し、キーウなどに11名の専門家を構え、ウクライナでの廃棄物の処理やリサイクルに携わっています。2024年2月の日・ウクライナ経済復興推進会議にて日本ベーシック株式会社と株式会社パデコと、「分別不要の先進技術のがれき処理事業に関する関心表明及び覚書」を締結しました。
アンモニア合成技術のベンチャー企業である日本のつばめBHBは、ウクライナ・ブチャ市で進むGreen Industrial Zoneプロジェクトへ参画することを2023年5月に発表。日本の脱酸素技術を使い、ブチャの復興に挑みます。
殺虫剤や除草剤、化学肥料の製造・販売を行うウクライナのUkravit社は、日本のスタートアップであるEF Polymer株式会社と覚書を締結。両者は、完全有機・完全生分解性を有する農業用ポリマー(EFP)を活用した持続可能な農業実現およびEFPの現地生産模索プロジェクトにかかる意向を表明している。また、Ukravitは、日本のアライドカーボンソリューションズ株式会社とも、「ウクライナ産植物油から石油由来の界面活性剤を使用しない、最先端のバイオサーファクタント(ソホロリピッド)を用いた畜産・農業方法に関する事業検討にかかる意向表明書」を締結している。
上記で触れた企業以外にも、ウクライナと日本の企業の間で多くの協業が進んでいます。その他の詳細は、外務省が発表した「日・ウクライナ経済復興推進会議」(2024年2月19日)での協力文書一覧や、JICAが2024年2月に行った「Connecting with Ukraine ~日ウクライナパートナーシップの強化と共創~」への傘下企業の一覧などで確認できます。ウクライナの企業との協業にご興味がある場合、JoinJapanがお力になります。お気軽にお問い合わせください。
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