ウクライナ永住権(永住ビザ、永住許可、滞在許可)の取得方法

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ウクライナ永住権の取得方法

『ウクライナ永住権(永住ビザ、永住許可、永久滞在、滞在許可証)はどうすれば取得できるの?』『ウクライナ永住権取得のサポートはしてもらえるの?』というお問い合わせがありましたので、ウクライナ永住権にご興味ある方のために、その取得方法や種類、手続きの方法などを解説します。

■ウクライナの永住権の取得方法について

日本では海外移住に興味を持つ方が年々増えています。いざ、国外で暮らすことを考えた際に最初に直面する問題は海外での居住ビザを取れるのかどうかということ。日本人に人気のアメリカやカナダ、オーストラリア、ヨーロッパなどで長期滞在を目的としたビザを取得しようとすると、厳しい現実があります。永住権となったらなおさらです。

その点、ウクライナではヨーロッパ諸国の中でも一番永住権がとりやすく、近年世界的な注目を集めています。たった10万ドル(約1500万円、1ドル=150円の場合)をウクライナに投資することで、永住権がもらえることも!?ウクライナが将来的にEUに加盟した際には、EU加盟国の永住権をもつことにもなりますので、将来的な「投資」としての価値もあります。

世界情勢がダイナミックに動く現代、自分の国のパスポートだけでは、何かあったときのリスクに対応できません。ヨーロッパに位置するウクライナの永住権をもつことで、リスクヘッジを図る。これが令和の新時代の生き方なのでしょう。

本ページにて、ウクライナ永住権について深掘りしていきます。

■ウクライナ永住権を取得できる人

移民に関するウクライナ法(最終改正日:2023年6月23日)の第4条によると、以下に当てはまる方は移民割り当ての枠外であり、申請することで永住権を取得することができます。

1) ウクライナ国民と2年以上婚姻状態を継続しているその配偶者、およびウクライナ国民の子供または親

2) ウクライナ国民の後見人であるか、ウクライナ国民の保護もしくは後見の下にある人

3) 出身地域によりウクライナ国籍を取得する権利を有する者(ウクライナ国籍を以前に保有していた者を除く)

4) ウクライナへの移民によりウクライナの国家利益となる人物

5) 海外のウクライナ人、海外のウクライナ人の配偶者、共同でウクライナ領土に入国および滞在する場合はその子供

6) 無国籍者として認定された日から2年間、一時滞在許可に基づいてウクライナ領土に居住した無国籍者

また、以下に当てはまる方は、移民割り当ての枠内であるのなら、永住権を取得することができます。「移民割り当て枠」の詳細については、後述します。

1)ウクライナへの移民がウクライナの利益と一致する科学および文化分野の人物 ー 以下「科学・文化ビザ」と呼称

2) ウクライナ経済にとって緊急に必要と認められる高度な資格を持った専門家および労働者、その配偶者、18歳未満の子供(共同でウクライナ領土に入国および滞在する場合) ー 以下「高度人材ビザ」と呼称

3) ウクライナ経済に海外から10万USドル以上の外貨での投資を行った人 ― 以下「投資ビザ」と呼称

4) ウクライナ国民の兄弟または姉妹、祖父または祖母、孫である人

5) 以前にウクライナ国籍を保有していた人

6) ウクライナへの移民の配偶者でかつ2年以上の婚姻状態を継続している者、その移民の18歳未満の子供、その移民の労働不能な状態にある親(外国(国籍を有する国または以前の居住国)の法律に従って移民の家族の一員であると考えられる者)

7) 省略(法律改正により削除された項目)

8) 人身売買の被害者としての地位が認定された日から3年間継続してウクライナ領土に居住している者

9) ウクライナ軍、国家特別輸送局、ウクライナ国家親衛隊に3年以上勤務した者 ー 以下「軍勤務ビザ」と呼称

10) ウクライナ軍、国家特別輸送局、ウクライナ国家親衛隊に勤務し(兵役期間に関係なく)、軍務の義務の遂行中に受けた怪我(外傷、打撲傷、切断)、病気の結果として、健康状態に関して軍医委員会により軍務に不適格であると認められた者

11) ウクライナ法「外国人および無国籍者の法的地位に関する」第4条第4項から第12項に指定されている者。ただし、ウクライナの一時滞在許可に基づいてウクライナ領土に過去5年間継続的に居住していることが条件。 ー 以下「5年継続居住ビザ」と呼称

上記カテゴリーのいずれかに当てはまる方は、ウクライナ永住権を取得できる可能性があります。個別の事情について、次で解説していきます。

「ウクライナ国民と2年以上婚姻状態を継続しているその配偶者、およびウクライナ国民の子供または親」について

ウクライナ国民との結婚から2年以上が経ち、婚姻状態を継続している場合(つまり離婚していない場合)は、永住権を申請する権利が発生します。この際、結婚の登録をウクライナ国内でした日または、外国にて正式に結婚の登録を行った日が起算日になります。また、ウクライナ国内に居住しているか(またはしていたか)どうかは、関係ありません。

例:ウクライナ人女性と日本人男性が2022年2月1日に日本の役所に婚姻届を提出(日本の方式で結婚)。その後、日本に2人とも居住を続け、また婚姻を継続した場合、2024年2月1日以降に、この日本人男性はウクライナ永住権を申請する権利が発生します。

永住権の申請の権利が発生後、必要書類を一式揃えた上で、「移住許可証」の取得を申請します。この審査には最大1年かかります。その後、取得した移住許可証とその他必要書類を合わせ、永住権を申請します。問題がなければ15営業日後に、永住権を取得でき、その際に永住権を証明するプラスチック製のカードを受け取ることができます。また、もし上記の例で、夫妻に子供が生まれた場合、子供はウクライナの永住権(またはウクライナ国籍)の取得を申請することができます。

私たちJoinJapanでは、永住権取得に係るすべての手続き、翻訳等のサポートに対応しておりますので、ご興味のある方はお気軽にお問い合わせください。

「ウクライナの移民割り当て枠」について

移民割り当て枠の対象となる移民受け入れについては、ウクライナ閣僚会議(内閣)が毎年初めに、その割り当て数を発表しています。例えば、2023年の割り当て枠を見ますと、カテゴリーごと、またウクライナの州ごとに割り当て数が発表されています。キーウ市をみますと、「科学・文化ビザ」での割り当て数が130名、「高度人材ビザ」では1400名、「投資ビザ」では割り当て数は無制限、「軍勤務ビザ」では5名とあります。

割り当て数に達したカテゴリーがある場合、そのカテゴリーでの移住許可書の取得はその年はもうできなくなり、翌年以降の割り当てを待つ必要があります。

「ウクライナの高度人材」ビザについて

2023年の「ウクライナ高度人材ビザ」での永住権の割り当ては、ウクライナ全土で5000名でした。ウクライナ経済省が発表した2023年の「高度人材」に関するリストを見ますと、66種類の職業が指定されており、職業ごとに定められている資格要件を満たす人物が高度人材と見なされます。

参考:

もし下記リストの職業に当てはまる方がいたら、ウクライナ永住権獲得のチャンスがあります。66種類の中から、主な職業を以下の通り抜粋してみました:

プログラマーエンジニア(割当:400名)

必須資格要件:

・その専門分野での確認のとれる実務経験、過去5年間のいずれかの時点で3年以上

追加資格要件:

・「情報技術」または「数学および統計」の知識分野での高等教育

・過去12ヶ月間において特定の職業において24,000米ドル相当以上の収入

・関連分野でのマサチューセッツ工科大学の証明書

システムアドミニストレーター(割当:50名)

必須資格要件:

・その専門分野での確認のとれる実務経験、過去5年間のいずれかの時点で3年以上

追加資格要件:

・「情報技術」または「数学および統計」の知識分野での高等教育

・コンピュータ機器および周辺機器の保守および修理、Windows、Microsoft Officeおよびその他のアプリケーションプログラムのインストール、医療および会計情報システムの実装、ユーザー支援、コンピュータネットワークおよびサーバー機器の保守、エレクトロニクス、コンピュータ機器、ネットワーク技術の知識に関するスキルを持ち合わせていることを確認する推薦状

・エレクトロニクス、コンピュータ技術、Windows、Linux、macOSオペレーションシステム、ネットワーク技術に関する知識を確認する推薦状または職務記述書。

溶接工(割当:100名)

必須資格要件:

・その専門分野でのレベル5以上での確認のとれる実務経験1年以上

※専門分野でのレベル制を採用していない国での実務を行なっていた者は、実施作業の複雑さを説明した推薦状の提出すること。

追加資格要件:

・外国の管理機関により発行された「溶接工」の資格を認定する書類

・専門開発能力

チーフプログラマー(割当:200名)

情報セキュリティシステム管理者(割当:150名)

データベースアドミニストレーター(割当:50名)

コンピュータ通信アナリスト(割当:50名)

コンピュータシステムアナリスト(割当:50名)

コンピュータシステムエンジニア(割当:160名)

コンピュータソフトウェアエンジニア(割当:100名)

データベースプログラマー(割当;160名)

アプリケーションプログラマー(割当:160名)

システムプログラマー(割当:160名)

情報保護システムの開発者(割当:200名)

コンピュータアプリケーションエンジニア(割当:100名)

エレクトロニクスエンジニア(割当:160名)

バイオテクニクス、採掘、解体作業のエンジニア(割当:40名)

医者(割当:40名)

一般中等教育機関の職員(割当:10名)

情報技術の専門家(割当:100名)

ブロックチェーン、仮想通貨、暗号資産分野における情報技術の専門家(割当:100名)

コンピュータグラフィックス(デザイン)の専門家(割当:250名)

ソフトウェア開発とテストのスペシャリスト(割当:100名)

コンピュータプログラム開発のスペシャリスト(割当:100名)

アクセス制御情報保護組織スペシャリスト(割当:100名)

情報セキュリティ組織スペシャリスト(割当:100名)

情報・ソフトウェア処理オペレーター(割当:100名)

掘削労働者(割当:30名)

車両修理工(割当:20名)

金属加工・修理工(割当;200名)

電気設備の修理やメンテナンスを行う電気技師(割当:100名)

鉱山掘削機械の操縦士(割当:10名)

油圧ショベルの操縦士(割当:20名)

化学分析の検査技師(割当:10名)

制御機械オペレーター(割当:20名)

機械工(割当:50名)

フライス旋盤工(割当:20名)

機関車の操縦士(割当:20名)

カーダンパーの操縦士(割当:10名)

冶金産業用クレーンの操縦士(割当:60名)

「ウクライナの投資ビザ」について

ウクライナでは2021年より、ウクライナ経済に海外から10万USドル以上の外貨での投資を行った人向けにビザを発行するプログラムを運用しています。この「投資ビザ」により、外国人はウクライナでの永住権を取得することが可能です。主な流れは以下の通りです:

①ウクライナ経済への投資を目的とし、ウクライナで資本金が10万米ドル以上の会社を設立

②法人口座をウクライナの銀行にて開設

③開設した法人口座に、海外の自身の銀行口座から資本金額分を送金

④銀行から法人口座に資本金(10万米ドル以上の資金)が入ったことを証明する書類を発行してもらう

上記の証明書類と、その他必要書類を揃えたのち、「移住許可証」の申請をします。この審査には最大1年かかります。 その後、取得した移住許可証とその他必要書類を合わせ、永住権を申請します。なお、「移住許可証」の申請は、ウクライナ国外に居住している場合、自身の居住地にあるウクライナ大使館にて可能です。

会社の資本金に入れたお金は、ウクライナでの不動産購入の資金などに使うことができます。

「ウクライナの5年継続居住ビザ」について

2023年6月の法改正により、「移民に関するウクライナ法」の第4条には、以下のカテゴリーが追加されました。

11) ウクライナ法「外国人および無国籍者の法的地位に関する」第4条第4項から第12項に指定されている者。ただし、ウクライナの一時滞在許可に基づいてウクライナ領土に過去5年間継続的に居住していることが条件。

※ここでの「継続的な居住」とは、ウクライナ国外への私用による1回の出国が90日を超えないことと、それらの合計が1年間に180日を超えないことを指します。出張、留学、休暇による出国や、医療関係機関の推薦による治療を目的とした出国、ウクライナ領土内での居住地の変更は、この「継続的な居住」の要件に違反したことにはなりません。

これはつまり、特定の資格に基づく「一時滞在許可証」を取得した上で、ウクライナに継続的に5年間住んだ外国人に対し、「移住許可証」の申請の道(そしてその後の永住権取得への道)が開けたことを意味します。

例えば、外国企業の駐在員、ボランティアプログラムの参加者、外国の公的(非政府)組織の職員、国際支援プログラムの参加者、メディア特派員、ウクライナでの企業設立者などの資格で一時滞在許可証を保有していた人には、永住権取得の可能性があります。

ウクライナ永住権カード&ウクライナ永住権のメリット

ウクライナ永住権を取得した人は、プラスチック製の永住カードを受け取ることができ、これにより永住権を証明できます。永住カードは10年ごとに更新する必要があります。また、Diia(ディーヤ)という政府が開発したアプリと接続させることで、Diia上で永住カードを表示することもでき、カードと同等の効果を持ちます。

また例えばアメリカの永住権(グリーンカード)の場合、6ヶ月以上などの長期間国外に滞在していると、永住権が没収されるケースがあります。ウクライナ永住権にはそのような制限はありません。

永住権をもつことで以下のようなメリットがあります:

・ウクライナに何回でもいつでも訪問でき、また無期限に滞在することができる

・ウクライナ人とほぼ同等の条件で就労が可能

・将来的なウクライナ国籍取得の道が開けること

など

また、外国人が今ウクライナ永住権を取ることの最大のメリットは、将来的にウクライナがEUに加盟した際、EU永住権を取得できる可能性があることだと言われています。

EU各国では、EU加盟国に長期に住み所定の条件を満たした外国人向けに「EU永住権(long-term resident EC)」を発行しています。このEU永住権をもっていると、そのEU加盟国で永住・就労できるだけでなく、EU内の他国への移住も可能になる場合があります。

ウクライナは2024年現在まだEU加盟国ではありませんが、将来的なEUへの加盟が現実味を帯びてきた中、ウクライナ永住権を今取得することで、将来的なEU永住権取得の可能性が開けてくるかもしれません。

なお、本記事では永住権をテーマにしましたが、それよりも取得しやすい「ウクライナ一時滞在許可証」というのもあります。例えば、ウクライナで法人を設立するだけで、2年の有効期限の一時滞在許可書(ビザ)をもらうことができます。

永住権または一時滞在許可証の取得の詳細については、ウクライナでの長年のスペシャリストであるJoinJapanまで、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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