日本とウクライナの関係(ビジネス、経済関係)

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日本とウクライナの関係

日本とウクライナの繋がり(ビジネス関連)

ウクライナは日本から8000km以上離れた遠い国です。これまではウクライナについて日本人が意識することはあまりなかったことでしょう。しかし2022年2月から、状況が一変しました。日本のニュースではウクライナについて毎日報道され、ウクライナからは3000人もの避難民が日本に退避しました。ウクライナの未来は日本をはじめとする国際社会の支援に依存しており、自由を尊重する国際社会の未来もウクライナの戦場の結果に依存していると言えるでしょう。

日本とウクライナには実は色々な共通点があります。ウクライナのコサックと、日本のサムライの共通点。チェルノブイリ原発事故と福島の原子力災害。そして、ロシアに占領されているクリミア・ドンバスと、北方領土。

日本とウクライナが手を取り合えば、乗り越えられる課題が多数あるのではないでしょうか。このような流れの中、2022年以降、ウクライナと日本を結ぶ各種展示会、イベント、ビジネスマッチングが多数開催されています。本記事では、これらについてまとめてみました。

2023年4月11日にオンラインで開催。ウクライナ商工会およびJETROとの共催。日本の大使や経済産業省も交えて、両国間のビジネスの可能性を探るセミナー。

2023年5月18日に、ウクライナのITパーク「UNIT.City」にてウクライナのスタートアップ6社によるピッチイベントが開催されました。本イベントは、日本のJICAや楽天ヨーロッパ、AAIC Investment、MURCによる共催で、JICAのProject Ninjaの一環です。オンライン配信も用いたハイブリッド方式で行われ、各企業が10分ごとにピッチを行いました。本イベントには54社の応募があり、その中から選別された6社に対し、JICAが3ヶ月間にわたりメンタリングやワークショップ機会の提供によって成長を加速させる「NINJA」プログラムを実施したそうです。ピッチに登壇した6社は次の通りです。

Cardio.AI:遠隔での心臓診断サービスを提供

Djooky:音楽愛好家が自分の好きな音楽に投資する機会を提供

V-Art:NFT・メタバース・AR/VRなどのデジタルアートのマネタイズサービスの提供

MISU:心臓病に関する兆候をモニタリングできるアプリを開発

Pleso Therapy:患者とセラピストのマッチングサービスを提供

Wantent:AIを用いてビデオなどのマーケティングサービスを提供

ロンドンで開催された「ウクライナ復興会議」に合わせて、現地にて2023年6月22日に開催。日本の経済産業省、外務省、JETROなどが主催。日本とウクライナの官民関係者による意見交換、ビジネスマッチングの場として機能し、約120名が参加しました。

2023年8月30日にオンライン形式で開催されました。国連の関連機関である「国際移住機関(IOM)」が主催し、ビジネスと雇用創出をテーマに英語、ウクライナ語、日本語でプレゼンテーションが行われました。ウクライナ側からは、以下の企業がプレゼンを行っています。

・大手携帯通信キャリアLifecell(ライフセル)

・大手電力会社DTEK(デテック)

・格安コーヒーチェーン店Aroma Kava(アロマカヴァ)

・ウクライナ最大の銀行PrivatBank(プリヴァト・バンク)

・800万人以上のユーザーを抱えるネット銀行monobank(モノバンク)

・ウクライナ料理のチェーン店Puzata Khata(プザタ・ハタ)

・家電量販店チェーンComfy(コンフィ)

・ウクライナのソフトウェア開発企業3社(EPAMLUXOFTSIGMA Software

日本・ウクライナ復興フォーラム「Prosperity(繁栄)2023夏」と題して、2023年9月7日にオンラインで開催されました。ウクライナが提供できる幅広い投資機会を日本に紹介するイベントです。ウクライナ側からは戦争の被害を大きく受けたウクライナ東部のハルキウの市長や、チェルニヒウの市長のほか、ウクライナ商工会議所、復興に関わる政府・民間企業の代表者が、ウクライナの復興ニーズの現状や、投資機会についてプレゼンを行いました。

2023年9月7日と8日に神戸国際展示場で開催された国際フロンティア産業メッセ2023に、「ウクライナ・パビリオン」が設置されました。神戸市はウクライナ避難民の受け入れに積極的であり、また海外からの優秀なスタートアップやIT企業を積極誘致しています。この流れの中、「ウクライナ・パビリオン」が特別に設置され、以下のウクライナに関連する企業10社がブースを構え、日本との協業の可能性が探られました。

Yuzhnoye State Design Office(ユジノエSDO):宇宙ロケットの設計・開発

ELEKS(エレクス):デジタルエンジニアリングサービス

N-iX(ニックス):ソフトウェア開発

Computools(コンピュツールズ):ソフトウェア開発

Kormotech(コルモテック):ペットフードの製造

SIGMA Software(シグマソフトウェア):ソフトウェア開発

Prana(プラナ):レキュぺレーター(熱交換器)の開発・販売

System 5/95(システム5/95):デジタル健康器具の販売

2023年9月21日にトルコ・イスタンブールで開催されました。トルコのウクライナ企業連合(TUID)が主催で、ヤンマーのトルコ法人が協賛しています。ウクライナとトルコ、日本を結ぶイベントで、3カ国の政府関係者やウクライナ復興に関心のある民間企業が来場し、ビジネスマッチングが行われました。日本からは商社を中心に数十社が参加しています。

トルコは依然としてロシアとの関係を維持しているものの、トルコの軍事企業バイカルは、ウクライナに約1億ドルを投資することを発表しています。同社の無人戦闘航空機「バイラクタル」の製造工場が2024年5月現在、キーウ郊外で建設中です。また、トルコの大手民間複合機業DOGUSグループが、2024年2月の日・ウクライナ経済復興会議にて、日本のセレンディクス(株)、(株)アルダグラム、(株)駒井ハルテックと覚書を結んでいます。このようにトルコを通じて、日本企業がウクライナの復興・投資に関わるケースが今後増えてくるかもしれません。

ウクライナ商工会議所と日本の経済産業省による共催で、2023年10月16日から27日にかけて、合計4回、オンライン上にて日本のスタートアップ企業のプレゼンが行われました。参加した主な日本企業は次のとおりです。

KUREi:関西大学発のベンチャー企業。大学の研究室で見出された天然素材を衣食住の分野において活かすことを目的とする。

サグリ:衛星データと農業データを用いて、独自技術で農業を最適化するアプリケーションを提供

Eko-Pork:養豚とテクノロジーを繋ぎ、農家の食料生産性の向上と透明性の高い安心な食糧供給を統合的に支援する共創型ソリューションファーム

EF Polymer:100%オーガニック由来の吸水性ポリマー。水不足など農業に関わるグローバルな環境問題の解決を目指す。

Allied Carbon Solutions:天然酵母により生み出される100%自然由来のカーボンニュートラルな素材を提供。日・ウクライナ経済復興会議では、ウクライナのUkravit Company社との協業の意向が発表された。

Spiber:微生物発酵プロセスによりつくられるタンパク質素材の開発と、社会課題の解決

Green Earth Institute:バイオマス(植物)から化学品や燃料を製造するバイオリファイナリー技術で事業を展開するベンチャー企業

LocationMind:東大発のベンチャー。位置情報ビッグデータのAI解析。

モンスターラボ:世界各国でデジタルコンサルティング事業・プロダクト事業(RPAツール、店舗向けオーダーシステム等)を展開。ウクライナのキーウとリヴィウにも拠点がある。

バオバオ:AI学習データを提供

PicoCELA(ピコセラ):LANケーブル配線を大幅に削減可能なエンタープライズ無線メッシュ技術を提供

ヴェルヌクリスタル:フラックス法により育成された高機能結晶材料の開発・製造・販売。信州大学初のスタートアップ。

Waqua:浄水器や小型海水淡水化装置を開発・販売

ビーエムジー:バイオマテリアル製品(人工関節、インプラントなど)を開発する京都大学発ベンチャー企業

CONNEXX SYSTEMS:次世代型蓄電池/蓄電システムの研究、開発、製造。

Thermalytica:断熱材「TIISA」の開発・販売や、遮熱コーティングサービスの開発を手掛ける

Serendix:3Dプリンタを活用した球体の形状の家を建設する技術や多機能素材の開発

2023年10月17日から20日にかけて幕張メッセで開催されたアジア最大級のICTとエレクトロニクスの国際展示会CEATEC 2023(シーテック)に、ウクライナ・パビリオンが設置され、日本の総務省が招聘したウクライナのICT企業11社および政府機関、在日ウクライナ大使館がブースを出展しました。また以下の10社が、17日に開催されたピッチベントに登壇しました。

Cardiomo:心臓の状態をリアルタイムでモニタリングする機能を開発

Raface:AIでビデオ内の顔を簡単にシャッフルできるアプリ。世界で2億5000万ダウンロードを記録し、米APPストアで1位を獲得。

Computools:ソフトウェア開発。従業員数約300名。名古屋に日本オフィスを開設。

Devlight:小売業やEコマース向けのモバイルアプリ開発

ELEKS:デジタルエンジニアリングサービス。従業員数2000名以上。2019年に野村総合研究所と大日本印刷からの出資を受け、日本法人を設立。

Lampa Software:ソフトウェア開発。従業員数約100名。

G-MAK:ホームセキュリティソリューション。

Kodisoft:インタラクティブなスマートテーブルの製造・販売。

GlobalLogic:デジタルエンジニアリングサービス。日立が2021年に約1兆円で買収。全世界で3万人以上の従業員数で、ウクライナでは約6500人を雇用。

COAX Software:ソフトウェア開発。従業員数約100名。

2023年11月21日に、ワルシャワにて開催されました。日本の外務副大臣や経産副大臣がウクライナを訪問した際に、ワルシャワにて、ウクライナ支援・事業に関心のある日本企業を集めてのビジネスネットワーキングが開催されました。日本の大手商社のほか、クボタ、IHI、駒井ハルテックなどのインフラ復興に関心のある企業が参加しています。

2023年11月30日に東京にてハイブリッド開催(オンライン併用)。ウクライナの復興に大きく関わっているJICAから、現地の復興ニーズなどに関しての説明。ウクライナに何か貢献したい、ウクライナへの事業を検討している企業・団体向けに、新たなビジネスのヒントを見つける機会を提供。商社、メーカー、コンサルタントを中心に、約250団体、合計で約500名の参加があった。

2024年2月15日〜17日に東京の九段にてJICA主催により開催され、ウクライナでの支援やビジネスに関心のある日本企業や行政機関、支援団体がブースを構えたほか、ウクライナ企業もブースを出展しました。2月19日に開催された日・ウクライナ経済復興推進会議のプレイベントとして開催された経緯もあり、ウクライナの政府関係者も多数訪れています。参加した主なウクライナ企業は次の通りです。

Datrics:AIと組み合わせノーコードでマーケティングや財務など、会社ごとの目的に合わせデータを分析・学習するプラットフォームを提供

MISU:心臓病に関する兆候をモニタリングできるアプリを開発

Wantent:AIを用いてビデオなどのマーケティングサービスを提供

V-Art:デジタルアートのマネタイズサービスを提供

Djooky:作成した楽曲の著作権を投資家にオークション形式で売却できるプラットフォームを提供

Osavul:AIを使ったリスク分析プラットフォームの提供

Deus Robotics:倉庫での作業効率を向上させる自律型ロボットの開発・提供

Esper Bionics:AIを搭載したロボット義手の開発

Regrow:農業のサプライチェーンで排出されるに二酸化炭素などの排出量を分析するサービスの提供

Sigma Software:ソフトウェア開発。日本にオフィスはないが、ヨーロッパを中心に従業員数は1500名ほど。

2024年2月19日に東京で開催され、ウクライナからはシュミハリ首相をはじめとした政府関係者、民間企業代表者が多数来日しました。岸田首相も参加し、両国の政府機関・企業の間で合計56件の協力文書が調印されています。両首脳の立ち合いのもと、日・ウクライナ租税条約の署名文書が交換され、これにより二重課税問題の解消を図り、両国間の投資の促進および保護が期待されます。また、NEXI(日本貿易保険)がウクライナ向け保険で新たに総額2000億円の引き受け枠を新設するなど、日本企業のウクライナ進出がさらに後押しされる形となっています。56件の協力文書はこちらから確認可能です。

2024年2月20日、日本・東京商工会議所の主催で開催されました。来日したウクライナの政府関係者・民間企業代表者とのビジネス交流会。ウクライナ側からはIT、グリーンエネルギー、農業、インフラなどの企業が多数参加しています。東京商工会議所は2023年12月にもウクライナに関するオンラインセミナーを開催しており、本イベントはその第2弾として位置付けられました。本イベントでは、大使が参加したほか、ウクライナ側からは現地の商工会議所、大手電力会社DTEK、外務省などの代表者が登壇しています。

2024年3月5日から8日に東京ビッグサイト開催された、アジア最大級の食品展示会であるFOODEX JAPAN(フーデックス・ジャパン)にて、ウクライナ・パビリオンが設置されました。ウクライナ産の蜂蜜は以前から日本でも販売されていましたが、ここ数年でウクライナワインの輸入業社が増えてきています。ウクライナのスナック菓子やドライフルーツなどが今後、日本でも受け入れられるか注目されています。出展したウクライナ関連企業は次のとおりです。

Vino Pioner:ウクライナワインの輸入・販売

Slow Walnuts:ドライナッツの製造・販売

Panfruit Ukraine:ドライフルーツの製造・販売

Ukroliya:食用油の製造・販売

TERRA:穀物製品の製造・販売

MOVA AND CO, LLC:ビールの製造・販売

TM FRUTEX(Citrex-Ukraine LLC):フルーツチップスの製造・販売

UMI Group:ウクライナのワイン、蜂蜜の日本への輸入・販売

snEco(Prime Snack LLC):チーズ菓子の製造・販売

Medovyy Spas:蜂蜜酒の製造・販売

ANNA:ウクライナワインの輸入・販売

TM CHOCOBOOM(TMC “Voldi” LLC):チョコレート菓子の製造・販売

Bob Snail(Eco-Snack LLC):フルーツ菓子の製造・販売

2024年3月27日にオンラインで開催されたJICAが主催するセミナーです。JICAでは、ウクライナの人々の生活を少しでも良いものにできる日本企業の製品・技術・サービスとそのビジネスプランを公募しており、もし採択された場合、企業の調査にかかる費用に対して最大1,000万円を支援するプログラムを発表しています。本プログラムについての説明や、ウクライナの現状およびニーズについて説明がありました。

今後も、日本とウクライナのビジネス関連の動きについて、随時情報を更新していきます。

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