韓国のウクライナ支援や投資

ニュース・リサーチ

韓国政府・企業のウクライナへの支援・投資の動き

2月19日に東京で開催された日・ウクライナ経済復興会議では両国間で56の協力文書が調印されたました。ウクライナの復興、再建需要に伴う投資にも各国や日本の目が向き始める中、気になるのはお隣『韓国』の動き。本記事では、韓国政府や企業がウクライナにどのように関わっているかの最新情報をまとめました。

両国首脳の交流

2014年のクリミア危機・ドンバス戦争開始後、ロシアに対する制裁に加わったのはアジア諸国の中で日本が唯一です。つまり韓国は日本ほどの積極的なウクライナ支援はしていませんでした。しかしながら2022年2月のロシアによるウクライナ侵攻後、韓国政府はウクライナ支援とロシアへの制裁を行い始めます。首脳級の動きとしては、まず2022年4月11日、ゼレンスキー大統領が韓国の国会に、ビデオを通じて演説したことが挙げられます。

本格的な動きは2023年になってからで、まず同年5月16日にウクライナ大統領夫人が、ソウルを訪問。5月21日は広島サミットにて、ゼレンスキー大統領と韓国の尹大統領との初めての対面会談が実現します。7月15日には尹大統領がウクライナを初訪問し、ゼレンスキー大統領と会談。ここからビジネスにおいても、交流が深まっていきます。

韓国のウクライナへの人道支援

2022年:ウクライナに対し医薬品など約1億ドル相当を提供。

2023年前半:1億3000ドル相当の金融支援策について、ウクライナ側と合意文書に署名。

2023年7月:360万ドル相当の軍需物資品を支援。携帯用地雷探知機や防護服、防毒マスクなどを含む。

2023年9月:韓国製の戦闘工兵車「K600」、ウクライナに2両支援へ。地雷除去などに活用。

2023年12月:韓国がウクライナ側に、クロアチア製の地雷除去車両MV4とMV10の2台、さらに10台の小型トラクターを引き渡した。今後さらに地雷除去装備10台とピックアップトラック100台を寄贈する計画。

韓国の公的・民間企業の動き

2023年2月15日:ポーランド・ワルシャワで開催されたウクライナ再建に関する国際商談会にサムスン電子、SKグループが出展。韓国外務省、大韓貿易投資振興公社(コトラ)も共同参加した。

2023年5月16日:大韓商工会議所は、駐韓ウクライナ大使館と共同で「韓国・ウクライナ未来協力懇親会」をソウルで開催。ウクライナ側からはゼレンスキー大統領夫人、スビリデンコ経済相らが出席、韓国側からは現代建設、ロッテ建設、ポスコインターナショナル、現代エンジニアリング、斗山経営研究院、韓国航空宇宙産業(KAI)などが参加した。

2023年7月13日:尹大統領がポーランド首脳との会談。両国は、インフラ協力とウクライナ再建協力に関する覚書(MOU)を締結した。また、ワルシャワのホテルで開かれた「ウクライナ復興協力企業懇談会」には、サムスン物産と現代建設、コーロングローバル、HD現代サイトソリューション、現代ロテム、ユシンエンジニアリング、ネイバー、韓国土地住宅公社、韓国水資源公社、海外建設協会、輸出入銀行の11の企業・機関が出席した。

2023年7月15日:尹大統領が韓国のウクライナ支援パッケージを「ウクライナ平和連帯イニシアティブ」と命名。

2023年9月10日:尹大統領がG20サミットで、ウクライナに2024年に3億ドル、2025年以降には対外経済協力基金(EDCF)を通じて20億ドル以上を支援すると発表

2023年9月13-15日:韓国の大規模訪問団がキーウにて「韓国・ウクライナ再建協力フォーラム」を開催。韓国訪問団は、国土交通部と海洋水産部をはじめ、韓国土地住宅公社、韓国水資源公社、韓国鉄道公社、韓国空港公社、韓国海外インフラ都市開発支援公社などの公営企業、民間からはサムスン物産、現代建設、HD現代建設機械、現代ロテム、ネイバー、ユシン、ハンファソリューションズ、ハンファ建設、KT、CJ大韓通運、ポスコインターナショナル、海外建設協会の計30人で構成された。両国政府は重点的に推進するプロジェクトとして▼キーウの交通マスタープラン▼ウマニのスマートシティーマスタープラン▼ボリスピリ空港の近代化▼ブチャの下水処理施設▼カホウカダムの再建▼鉄道路線の高速化(キーウからポーランドまで) の六つを定めた。韓国政府はこれらプロジェクトの計画策定と事前調査に入る。また、復興協力の強化に向けインフラ再建と金融、建設機械分野の両国関連機関・企業が計4件の業務協力の覚書(MOU)を結んだ。

2023年9月19日:ソウルで特別セッション「ウクライナにおけるインフラの再構築」が開催。ウクライナ国土交通大臣などが出席。韓国建設業者国際協会、ウクライナ建設業者連盟、ポーランド共和国建設業労働者協会の間でインフラ復旧協力に関する三者覚書が署名された。

2023年9月27日:韓国水資源公社は、ウクライナで水力ダムを運営するUHEと、ロシアにより破壊されたカホウカ・ダムなどの復旧を進めるタスクフォースを設置することで合意したことを明らかにした。

2023年10月6日:韓国国土交通相が、来韓したウクライナ議員団と懇談会を開催した。サムスン物産、現代建設、韓国水資源公社、KT、ハンファの役員も出席した。インフラ、都市開発プロジェクトのほか、再生可能エネルギー、資源開発関連のプロジェクトについて話し合われた。またリチウム開発協力に関するプロジェクトも進めるとのこと。

2023年10月16日:ウクライナ中部のウマニ市が、韓国とウクライナの専門家の参加を得て、今後1年間にて、さまざまな産業を対象としたスマートシティマスタープランが策定される予定であると発表。

2023年10月31日:ウクライナ戦略産業省は、韓国の双竜建設との作業会合を開催したと発表。今後、韓国側の協力により、教育施設などの整備や改修が行われる。

2023年11月12日:リヴィウ市長が韓国を訪問。韓国のドローン開発企業とのコネクションを構築中とのこと。

2023年12月26日:韓国が発表しているロシアとベラルーシへの輸出を禁止する品目リストが、これまでの798品目から1159品目に増加。

2024年1月29日:ウクライナ環境保護・天然資源省は、戦争で被害を受けた水管理インフラの復旧を韓国が支援すると発表。韓国はキーウ州のKozarovytskaダムの修復のほか、ミコライウ州の住民への水の提供、ドニプロ・ドンバス運河公社のエンジニアリングインフラの再建と大規模修理、ウクライナにおける水質モニタリングの改善に取り組むとのこと。

韓国とウクライナに関するその他の情報

キーウにオフィスを構える。韓国企業のウクライナ進出のサポート。

キーウ中心部のフレシチャーティク通りにある。韓国語学校などを運営している。2017年3月にオープン。

2007年4月にキーウに設立された民間団体。ウクライナにおける韓国国民の代表間の関係を確立・強化し、韓国文化を普及させることを目的とする。Всеукраїнська Асоціація Корейців (全ウクライナ韓国人協会)が運営している。

УКРАЇНСЬКО-КОРЕЙСЬКА ДІЛОВОЇ РАДИ(ウクライナ・韓国ビジネス評議会)

ウクライナ商工会議所が、在ウクライナ大韓民国大使館および韓国のパートナー団体と協力し設立。両国間のビジネスの発展に向けた活動を行っている。

ウクライナで韓国語を教える教育機関

関連情報