(2024年1月更新)
このレポートは、IT技術に関心が高い日本人の開発リーダーに向けて書かれています。本レポートを通じて、日本の皆さんにウクライナオフショア開発、ウクライナITの現状をご理解いただき、有効活用してもらえると幸いです。
2023年以降、ウクライナでオフショア開発チームを構築しようと準備している企業や国は増えました。ロシアによるウクライナへの侵略戦争を通じて、ウクライナのハイブリッドでデジタルな戦いぶりに舌を巻く有識者をはじめとして、ウクライナIT人材の隠れた実力を目の当たりにしたためです。
世界は『より安いオフショア開発よりも、より高度なオフショア開発』を求めるようになりました。目先の利益やコストカットの追求ではなく、長期的な戦略に基づき生き残りをかけた価値あるオフショア開発を求める声が増えているのです。
人々の暮らしはIT化による利便性を推奨し依存する一方で、それを確立し維持し改良するITエンジニア、テクノロジー人材の不足は、日本に限らず世界的な問題として大きくなっています。IT技術分野に興味があるわずかな人達だけがその問題を肌で感じている状況です。
『KPMG global tech report 2022』を読むと、技術者不足は、技術リーダーの間で最大の問題になっていることが分かります。企業が経験豊富で高度なITエンジニアの採用を考えても実現しないケースが増えています。 逆に、企業が本拠地以外の国でオフショア開発チームを構築する成功例は増えています。
また、これらの地域における生活費、物価は低いため、低料金なオフショア開発が仕事の質に悪影響を与えるとは考えられていません。
本レポートでは、向こう10年、ITアウトソーシングの新たなグローバルリーダーになるであろう東欧の国『ウクライナ』に焦点を当て、オフショアソフトウェア開発について調査・研究し、他国と詳しく比較した上でレポートしています。また、ウクライナでオフショア開発チームを構築するための最良の方法について、役立つヒントを提供します。
また、即戦力のアジャイル開発にご興味ある方は、『ウクライナのラボ型開発』に関する記事、R&Dセンターの開設方法についてご興味ある方は、『ウクライナR&Dセンター』に関する記事、ウクライナのIT輸出量の推移についてご興味ある方は、『ウクライナIT輸出量』に関する記事、日本企業のビジネスにどのように役立つかご興味ある方は、『ウクライナIT技術の活かし方』に関する記事をご覧ください。
<目次>
ウクライナはIT大国なのか?
■ウクライナソフトウェアアウトソーシングの事実統計
■ウクライナオフショア開発の技術スキルとソフトスキル
■ウクライナのIT教育に関する12の事実
■2023年 世界アウトソーサーTOP100にウクライナ17社
■ウクライナに続々とR&Dセンターを設ける外資系企業
■ウクライナのIT産業の特徴
ウクライナITの活かし方
■ウクライナにソフトウェア開発をアウトソーシングする前の基礎知識
■ウクライナにオフショア開発センター(ODC)を立ち上げる理由
■ウクライナのソフトウェア開発者の平均給与
■ウクライナITオフショア開発を成功に導く『ブリッジSE』
■ウクライナオフショア開発チームの構築例
■ウクライナにオフショア開発センター(ODC)を設立する方法
■ウクライナでオフショア開発センター(ODC)を作る際の人気都市
■ウクライナオフショア開発チームを構築する問題点
■ウクライナオフショア開発に関してよくある質問
世界とウクライナITの比較
■2023年ソフトウェア開発のアウトソーシングに適した国は?
■2023年のIT採用の実態は?
■2023年の地域別ソフトウェア開発の時給やビジネス推奨度
戦争の影響
■ロシアによるウクライナ侵略戦争の影響は!?
■ロシアの侵略が世界ITに与える影響
■ロシアによるウクライナ侵攻は「百害あって一利なし」
■ウクライナを支援するためにアウトソーシング企業ができること
まとめ
■ウクライナ オフショア開発を推奨する理由10
■ウクライナ オフショア開発企業のショートリスト
■ウクライナ カスタムソフトウェア開発会社お勧め10社
■いざ、ウクライナで最高なオフショア開発チームを作る心構え
■いざ、ウクライナで開発を進める際の契約書面や法的側面
■ウクライナと世界のオフショアソフトウェア開発動向
『Entrepreneur Europe』によると、 ウクライナは、IT アウトソーシングの新たな寵児になりつつあります。エンジニアリング人材は豊富で、高度な開発能力と品質保証に安定感があり、それでいて開発コストは抑えることができています。Samsung、IBM、Oracleなど多くのテクノロジー大手が、すでに研究開発オフィスをウクライナに設置している理由はそこにあります。ウクライナは、ソフトウェア開発をアウトソーシングするのに最適な国の1つである理由を詳しく見ていきましょう。
●ウクライナには、5,000を超えるIT企業があり、300,000人を超える有資格のソフトウェアエンジニアがおり、この数は2025年まで増加すると予測されています。これは、毎年約20,000人の IT人材がウクライナの技術大学を卒業し、キーウ、リヴィウ、ハルキウ、オデーサ、ヘルソン、ドニプロのような大規模なIT都市で働き続けているためです。 また、高いIT技術力を活かし、ウクライナはスタートアップや、AI搭載のドローンやロボットの開発も盛んです。
●2017年、ロンドンに本部を置くグローバルソーシングアソシエーション(GSA) は、ウクライナを「アウトソーシング先オブ・ザ・イヤー」に選びました。また、BRDO によると、2020年にウクライナのIT輸出は20%増加し、記録的な50億米ドルを達成しました。 世界中、同時多発的に起きたパンデミックにも関わらずです。
●そして、ウクライナIT協会によると、2022年上半期のIT輸出額は、37億4,000万ドルに達しました。前年同期と比較し23%の増大です。これは、ロシアによる大規模で全面的な侵略戦争を自国(ウクライナ)に対して受けている時期であり、欧米をはじめ、世界中が戦争の危機に必死に対応している時期でもあり、特に驚くべきことです。別項で戦争における影響を詳しく解説しています。
●ウクライナは、Gartnerのオフショアサービス上位30か国に入っており、SkillValueやClutch.coなどのB2Bサービスプロバイダー向けの評価プラットフォームでも取り上げられています。ウクライナのソフトウェアエンジニアは、平均スコアインデックス91.26%で、SkillValueによって世界最高レベルのエンジニアとして認められています。
●ウクライナはヨーロッパの中央に位置しており、中東や中央アジアからも利便性の高い場所にあります。戦前までウクライナの主要都市に向かう飛行機は次々と運航を増やしており、ウクライナ人はビザなしでEU全体を訪れることができることもあり、ウクライナのオフショア開発者がヨーロッパ中のパートナーやクライアントと会うことも容易でした。しかし今日、ウクライナの男性の国外移動は、全面的な戦争(戒厳令)により禁止されています。にも関わらず、ウクライナのIT輸出額は増加しています。
●MicrosoftやIBMなどのソフトウェア大手は、それぞれ2003年と2006年にウクライナにR&Dセンターを設立しました。2000年代初頭からウクライナのエンジニアには注目が集まっていたのです。外国企業がウクライナにR&Dセンターを続々と開設していますので、別項で掘り下げてます。
● AIN.Capitalによると、2021年、ウクライナのIT業界は、金融、eコマース、エンタープライズソフトウェア開発において、最も大きな成長を遂げました。ウクライナのITスペシャリストは、世界第3 位にランクされています。また、ウクライナは、データサイエンスに関する専門性も世界トップクラスです。
●ウクライナソフトウェア開発サービスの平均コストは、1時間あたり30ドルから60ドルです。米国よりもはるかに安価で、世界最高レベルのエンジニアによる開発が行えるため、米国のITビジネスやIT企業(スタートアップも含む)は、ウクライナへのアウトソーシングを好みます。これは、国内でこれほど完璧な価格と品質のバランスを見つけ、保つのが不可能なためです。米国はウクライナ最大のR&Dパートナーです。
本レポートでは、更に掘り下げて、ウクライナIT開発の実態についてみていきます。
2000年代から各国でオフショア開発を推進している世界のIT大手は『ウクライナの開発者は非常に革新的で、技術に精通しており、市場に出回っている新しい技術について常に熱心に学んでいる』と、ウクライナ人開発者の技術スキルやソフトスキルを高く評価しています。
それもそのはず、ウクライナの主要都市では、毎日のように全国規模の技術イベント、ハッカソン、ミートアップ、カンファレンス(iForumなど)が多数開催されており、ウクライナはソフトウェア開発の教育イニシアチブ、コース、ブートキャンプとしても有名なのです。背景や環境を含めて総合的に考えると、ウクライナのIT市場が優秀な技術者で溢れていることはなるべくしてなったものであり驚くべきことではない、という有識者が大勢いるほどです。
ちなみに、ウクライナは、Grammarly、Depositphotos、Petcube、Preply、GAMEWORLD、TemplateMonster、NOOSPHERE、PLARIUM、MacPaw、SKYLUMなど、世界規模で成功を収めたグローバルなスタートアップ(ユニコーン含む)やソフトウェア製品の開発本拠地であることも注目に値します。
2022年2月現在、ウクライナ人開発者の間で最も人気のあるプログラミング言語は下記です。
JavaScript 18.8%
C# 14.7%
Java 14.3%
Python 11.2%
PHP 10.6%
TypeScript 10.4%
Kotlin 3.4%
Swift 3.4%
C++ 3.3%
Go 2.2%
Ruby 2.1%
Dart 1%
例えばPythonがトップ5にランクインしていあるあたり、ウクライナ人のIT開発者がAI(人工知能)、機械学習、ディープランニング、データサイエンスに注目して重きを置き、 世界企業からの需要の高まりに敏感に対応していることを証明していることにもなるため、大変前向きな傾向であると言えます。
ウクライナ人開発者のソフトスキル、例えば、
1. コミュニケーション能力
2. 問題解決能力
3. 戦略的思考
4. プロジェクト管理
5. リーダーシップ
6. タイムマネジメント
7. 創造性
8. 学習意欲
9. EQ(心の知能指数)
に関して、コミュニケーションやプロジェクト管理に関して改善の余地があります。しかし近年では、英語が堪能なエンジニアが増えると同時に、発注側と開発側の片方、もしくは双方のブリッジSEによるコミュニケーション能力と管理能力が飛躍的に増し、大幅な業務の効率化、ミスコミュニケーションの低減に繋がっています。1と4以外のソフトスキルに関しては、他のオフショア開発先進国に比べて、ウクライナは高い評価を得ています。
1. ウクライナは中近東最大の教育センターの1つ
2. ウクライナの技術者教育の質の高さは周知の事実
3. 研究開発に重きを置くウクライナ
4. ウクライナ政府は教育分野に多額の投資
5. ウクライナの教育現場はSTEMが繁栄
6. ウクライナのテックコミュニティは毎年12%ずつ成長
7. 時代を先取りするウクライナの工科大学
8. 専門的開発に余念がないウクライナのプログラマー
9. ウクライナのITスペシャリストの86%は英語が堪能
10. 世界のITランキング総なめのウクライナ人開発者
11. 高学歴なITスペシャリストが多いウクライナ
12. ウクライナの技術エコシステムに貢献するIT企業
ウクライナは30万人の高度なスキルを持つソフトウェア・エンジニアを抱える、東欧を代表するITハブとして知られています。ウクライナの教育制度はSTEM(科学Science、技術Technology、工学Engineering、数学Mathematics)分野に重点を置いており、学生は卒業前から実践ビジネスで利用できるほどの高いスキルを持っていることで有名です。
1. ウクライナは中東欧最大の教育センターの1つとして認められている
ウクライナの膨大なテクノロジー人材プールは、 ウクライナ全土に点在する歴史ある工科大学や、その他教育機関から生まれています。この国は他のヨーロッパ諸国と比較して大きな高等教育セクターを持っており、現在、281の大学やアカデミー、研究所をもち、そのうち203が公立です。総人口は4,130 万人で、これは100 万人あたり6.8人の高等教育機関、または 100 万人あたり4.9人の公立高等教育機関に相当します。
2. ウクライナの技術者教育の質の高さは周知の事実
ウクライナの技術教育の質の高さは、数多くのランキングで定期的に認められています。例えば、最近発表されたEECA大学ランキングでは、新興ヨーロッパと中央アジアのベスト大学400校が紹介されており、ウクライナの高等教育機関25校が掲載されています。
そのうちの4校が、この地域のトップ100に名を連ねています。キーウのタラス・シェフチェンコ国立大学は、33位にランクイン。イーゴリ・シコルスキー・キーウ工科大学とV. N. カラジン・ハルキウ国立大学はそれぞれ66位と67位、リヴィウ工科国立大学は98位にランクインしています。
もう1つの定評ある情報源「Times Higher Education World University Ranking」では、ウクライナの高等教育機関10校が紹介されています。
3. 研究開発に重きを置くウクライナ
ウクライナの教育制度は、先述のとおり科学技術(STEM)の進歩に重点を置いています。ユネスコ統計研究所によると、研究開発に費やされる公的資源の割合は、ウクライナのGDPの0.5%に達しています。また、技術・工学分野への支援は国が最も幅広く行っており、国内総研究開発費(GERD)の63.7%を占めています。
こうした政府の後押しが、ハイテク産業が継続的に成長するためのベースを作り出しています。別項でも申し上げたとおり、フォーチュン500(全米上位500社)Microsoft、Boeing、Oracle、Nvidiaなどは、ウクライナをオフショアソフトウェア開発の主要拠点として選んでいます。また、Cisco、Huawei、Snap、Samsung、楽天、Wix、ABBYといった世界的なハイテク企業も、ウクライナ国内各地に研究開発センターを開設しています。
4.ウクライナ政府は教育分野に多額の投資
過去5年間で、教育に対する連結予算支出額は、現地通貨で年間1140億UAHから2280億UAHへと倍増しました。2021年の時点では、ウクライナ政府は国のGDPの6.6%を教育資金に充てています。この数字は、ドイツ、オランダ、スウェーデン、ポーランド、ハンガリーなど、ほとんどのヨーロッパ諸国を大きく上回っており、ウクライナは教育に対する国の支出率が世界で最も高い国の1つです。
5.ウクライナの教育現場はSTEMが繁栄
ウクライナは、人口比での高等教育普及率がヨーロッパでトップクラスの国です。教育達成率は現在82%で、1992年の45%から大幅に上昇しています。高校卒業者の75%が高等教育機関への進学を希望しており、その数は毎年26.2万人にのぼり、その傾向は今後も続くと言われています。
注目に値するのが、高等教育機関(大学など)に進学を希望する若者の半数(13万人)がSTEM関連分野を専攻していることです。ウクライナは、このような膨大な数のテック志望者のおかげで、エンジニアリング、製造、建設分野の卒業生が多い上位10カ国の7位を確保しているわけです。
6. ウクライナのテックコミュニティは毎年12%ずつ成長
ウクライナは、ポーランドと並ぶ東欧最大のテックハブの1つです。ウクライナのITコミュニティは、年率12%の安定した成長を示しており、高等教育機関から毎年平均2万3,000人以上の技術者が輩出されることになります。
世界でハイテク産業が発展がするにつれ、STEMコースを受講する学生の割合は増加する可能性があります。将来的にウクライナ市場は、毎年3~5万人のIT人材を輩出すると試算されています。
7. 時代を先取りするウクライナの工科大学
コンピュータサイエンスは、ウクライナのZ世代にとって最も人気のある職業選択のひとつです。急速に拡大するIT産業は、STEM教育への関心を高め続けています。教育制度がハイテク産業のニーズの変化に対応するのが遅れているとはいえ、既存の教育プログラムを最新の技術トレンドに対応できるように改善する大学が増えています。
データサイエンス、機械学習、人工知能、拡張現実など、人気の高い技術分野の最新コースを設け、学生を課題に対応させています。学生から見て、最も有望なキャリアは以下です。
・ソフトウェア工学
・情報システムおよび情報技術
・サイバーセキュリティ
・コンピューティング・エンジニアリング
・システム分析
8. 専門的開発に余念がないウクライナのプログラマー
ウクライナのプログラマーは、大学や専門学校などの教育機関でITのプロフェッショナルとして成長するための基礎となる知識を身につけますが、それだけで満足しません。テック業界の変化の速さは肌身で感じていますから、いわゆる独学や外部研修や技術イベントを駆使し、最新で専門的な技術を学び、身に着けます。流行りのIT企業への就職を目指す学生は、希望する職種の主な要件を把握しているため、大学在学中にスキルアップのために多くの時間を費やします。
自己啓発は、学生だけに見られるものではありません。大学を卒業したウクライナ人ソフトウェアエンジニアの85%は、生涯学習の原則を守り、キャリアを通じて学びを続けています。技術者の61%は業界誌を参考に知識を深めており、26%は業界の最新動向を知るために技術イベントに参加しています。専門的なコースやトレーニングには58%の開発者が参加しています。
9.ウクライナのITスペシャリストの86%は英語が堪能
ウクライナは、東ヨーロッパで比較的高い英語識字率を誇っている国の1つです。現在、世界の非英語圏112カ国の中で40位にランクされています。国や民間企業による語学学習への投資が増加し、ウクライナの総合スコアは年々上昇しています。
中でも、技術系スペシャリストの英語力は、他の国民と比較してかなり高い水準にあり、ウクライナ人開発者の86%が英語を流暢に話すことができます。ウクライナに住むエンジニアの英語力が高い理由のひとつは、高等教育機関がプログラミングのカリキュラムにプロフェッショナルコミュニケーションやテクニカルコミュニケーションのコースを組み込んでいるからです。
また、全てのソフトウェア開発会社は社員の英語力を向上させることに関心を持っており、福利厚生の一環として語学コースを提供しています。
10. 世界のITランキング総なめのウクライナ人開発者
ウクライナのITハブは、世界のハイテク市場、ハイテク企業のビジネスオーナーやスタートアップの創業者たちの間で人気を集め続けています。その理由のひとつは、ウクライナの開発者たちが常にスキルを磨いているからです。ウクライナエンジニアの強みは、数よりも質にあり、そこを重宝されています。
プログラマーの平均スコアでも世界トップ5には入っており、情報セキュリティの強さを示すCTFやハッキングの各種大会では1位をはじめトップ10に入っているのは常態的です。ウクライナの技術コミュニティは、コーディング・チャレンジで最も多くの1位を獲得していることでも知られています。
11. 高学歴なITスペシャリストが多いウクライナ
ウクライナのITエコシステムの急速な発展の原動力となっているのが、高水準の技術トレーニングです。最近の調査では、ウクライナIT専門家の83.3%が学位を持っていることが明らかになっており、トップ3は、QAエンジニア、上級ソフトウェア開発者、チーム/技術リーダーです。同時に、シニアプロジェクトマネージャー、ビジネスアナリスト、プロダクトマネージャー、人事スペシャリストは2つ目の学位を持つ人の中で人気です。データサイエンティストは博士号を持つ人の中で最も人気です。
一方、矛盾した話をしますと、学位はエンジニアを評価する際に重要な要素であることに変わりないですが、門戸を開くための障壁ではなくなりました。学位取得要件の緩和は、世界的に最新のIT人材育成のトレンドの1つです。
例えば2019年、アップルのティム・クックCEOは「同社の米国での雇用の50%近くが4年制大学の学位を持っていない人々で占められている」と述べ、Google、Netflix、IBM、Siemensなど、他のビッグテック企業もそれに倣いました。
このような状況が、エンジニアの課外研修の需要に拍車をかけ、プログラミングスキルを学ぶためのさまざまな短期コースが誕生しています。代表的な教育センターとしては、Step IT Academy、Beetroot Academy、Go IT、IT Education Academy (ITEA)、SkillUpなどが挙げられます。
12. ウクライナの技術エコシステム形成に貢献するIT企業
人材は、どんな企業にとっても最も貴重な財産です。情報技術分野も例外ではありません。そのため、ウクライナのIT業界のリーダーたちはしばしばハッカソンやマスタークラスやカンファレンスやイベントを開催し、学生が市場で必要とされる最新の技術スキルを身につけることができるように投資しています。
また、IT企業は大学や専門学校などと協力し、最先端のITカリキュラムを導入しています。例えば、リヴィウITクラスターは非常に積極的で、地元の技術系大学において、すでに14の学士号プログラムを創設しています。
これらの取り組みはIT教育改革の一環であり、企業、教育機関、州のパートナーシップを必要としています。質の高い技術教育のための基盤として、10/20/70教育モデル(10%が理論、20%が学生からのフィードバック、70%が実践)を導入し、就職を促進応援しています。
国際的な業界団体であるIAOPは「The 2023 Global Outsourcing 100」を発表しました。
2023年、世界中のアウトソーサー上位100社の格付けに、ウクライナのIT企業17社がランクインしています。競争の激しいアウトソーシング業界において、とても素晴らしい快挙であり、今後のウクライナでのアウトソーシングに期待は高まります。IAOPは毎年、企業のアウトソーシングの意思決定に役立つ調査結果を発表しています。
2023年で17年目を迎えるGlobal Outsourcing 100は、世界最高のアウトソーシングサービスプロバイダーを選出するもので、リーダー、新星、プロバイダー、アドバイザーのすべてを1つの包括的なリストに掲載します。
世界最高のアウトソーサーランキング100には、ウクライナのIT企業17社とは別に、ウクライナに大規模な開発拠点を持つ国際的なアウトソーサーも入りました。いかにウクライナ人のエンジニアが世界で活躍しているかが分かる結果となりました。
本レポートの別項でもお伝えしているとおり、アウトソーシング会社は、アジアの各国、ラテンアメリカ各国、アフリカ各国、中央と東ヨーロッパ各国に広がっています。ウクライナは1つの国で17社ランクインしています。
IAOPは、顧客からのフィードバック、企業が受けた認証や賞、ソリューションの革新性、企業の社会的責任プロジェクトという4つの基準に基づいて、ベストカンパニーを選定しています。
2023年トップ100にランクインしたウクライナの開発会社17社を挙げておきます。
Eleks
Infopulse
Innovecs
Intellias
Sigma Software
N-iX
Miratech
Svitla Systems
Intetics
EY
NIX United
CHI Software
Computools
Edvantis
Glorium Technologies
KPMG International
Softengi
Google、Samsung、Redditなど、ウクライナにR&Dセンター(研究開発拠点)を置いている事例を紹介します。世界のテック大手がウクライナにR&Dセンターを持つ理由は、
・物価が安い
・より経験豊富な専門家を適正な料金で雇用できる
・競合他社との激しい競争に勝ち、業績を維持できる
・未来を意識した先進的な研究開発が行えるエンジニアをそろえやすい
が挙げられます。
ウクライナにR&Dセンター(研究開発拠点)を置いている会社例としては、
●Snap
Snapchat、Spectaclesスマートグラス、Bitmoji、Zenlyを所有するSnap(旧Snapchat)は、実業家Vasily Khmelnitskyが所有するキエフのUNIT.City technoparkに代表事務所を開設しています。
●Samsung
Samsung Research and Development Institute Ukraine(SRK)は、Samsung Technologiesの現地支社で、サイバーセキュリティ、AI、仮想現実と拡張現実、新世代マルチメディアコンテンツなどの研究開発のためにウクライナを選び、最高レベルのエンジニアを雇用するとともに、学習環境や研修生プログラムも充実させ、将来を見据えています。
Redditは、最も人気のあるコミュニケーション・プラットフォームの1つです。ウクライナ人の間では人気はありません。キーウにあるR&Dセンターでは、現在、フロントエンドとバックエンドの開発者を募集しています。
GoogleはウクライナにR&Dセンターを置くために、2019年11月、キーウに拠点を置く企業CloudSimpleを買収しました。近隣諸国には、GoogleポーランドとGoogleハンガリーがあります。
また、大手ですと、楽天、Microsoft、IBM、Oracle、Cisco、Opera, Huawei, Ubisoft, Wixなどもウクライナでの研究開発を進めています。
Microsoftは2000年代初頭からウクライナのITエンジニアに目をつけていました。ロシアによるウクライナへの侵略戦争が始まる20年も前から、世界主要国(北米、西ヨーロッパ、アジア、イスラエル)の企業にとって、ウクライナは主要なアウトソーシング先です。アメリカ、カナダ、イギリス、フランス、ドイツ、スペイン、インド、中国、イスラエスなどの企業は、珍しい技術スタックに関する専門知識、協力の容易さ、手頃な価格、優れた英語力、強力なIT技術教育など、さまざまな理由でウクライナの技術人材を採用しています。
ウクライナのIT産業の特徴を挙げると、
・Unity3Dゲームの開発者とC++エンジニアの数で、世界第1位
・JavaScript、Scala、Magentoの開発者数で、世界2 位
・Node.js、Python、ASP.NET、Ruby、Symfony、PHP の開発者数で、世界3位
・エンジニアは46%、QAテスターは16%、プロジェクトマネージャーは5%
・女性に人気なIT職は、人事マネージャー、QA テスター、ソフトウェアエンジニア
・学生に人気なIT職は、ジュニアソフトウェアエンジニア、ジュニアQAテスター
例えばこれらが挙げられます。
ウクライナにはおよそ20万人のITスペシャリストがいますが、そのうち14万人はITサービス関連企業で働いています。その他は、外国のR&Dセンター、メディア、メーカーなどで働いており、フリーランサーも大勢います。
ウクライナのITスペシャリストのうち、ウクライナ国内の顧客に開発やサービスを提供しているエンジニアは、僅か2%しかおらず、98%のエンジニアは、プロジェクトやサービスのアウトソーシングに携わっています。裏を返せば、もしもロシアによる侵略戦争で、ウクライナ人エンジニアによる開発が大規模に中断していたとしたら、それは、世界経済にも大きな打撃を与えていたことを意味します。ウクライナは、世界的にみて希少で将来性のあるIT大国としての価値があると言えそうです。
●ウクライナへの評価
アウトソーシング先としてのウクライナについて、多種多様な意見が届きます。
ざっくり言えば、
1割は批判や酷評、
3割は可もなく不可もなく、
6割は満足で開発を継続・拡大したい、
というイメージです。
客観的にみれば、アメリカや西欧を代表する誰もが聞いたことのあるようなテクノロジー企業、例えばGoogle、IBM、SAMSUNG、ORACLE、Rakuten、Amazon、WhatsAppなどは、さまざまな種類の作業において、ウクライナ人開発チームにアウトソーシングしており、その規模は年々拡大していることから、ウクライナでのアウトソーシングは良い結果を生んでおり、事業継続に必須であると言えます。
エスアイヤーや大手IT企業は、フロントエンド、バックエンド、フルスタックエンジニア(マルチエンジニア)、プロジェクトマネージャー、 QA(Quality Assurance) 、UIデザイン、セキュリティーエンジニアなどで構成する専用チームを丸ごと雇用し、作業の効率化を図っています。アウトソーシングの経験が豊富で、予算も潤沢な強みと言えるでしょう。
アウトソーシングに慣れている企業であればあるほど、ウクライナでのソフトウェア開発を拡大・強化している傾向があります。逆に、初めてアウトソーシングする企業にとっては、いくつか注意点があります。
●ウクライナの言語
大半のウクライナ人は、ウクライナ語とロシア語の2 つの言語を話せますが、2022年2月24日にロシアが侵略戦争を仕掛けてからというもの、ロシア語をできる限り使わなくしている人が激増しています。総じて、ウクライナ人の英語レベルはかなり高く、特に現在のIT業界においては英語は必須と考えられています。欧米から英語で注文を受けているということの裏返しでもあります。しかし、全員が全員、英語ができるわけではないので注意が必要です。
●ウクライナとの時差
例えばウクライナと日本の時差は夏場は6時間、冬場は7時間です。ウクライナと米国の時差も同程度ありますが、総じてウクライナの開発者は柔軟に時間をうまく管理して効率的に作業していると評価されています。しかし、日本企業でアジアとの事業に慣れている場合には、時差6時間は仕事しづらいと感じる可能性があります。
●ウクライナのエンジニアの性格やアイデンティティ
キーウやリヴィウをはじめとするIT都市は特に、欧米の価値観を取り入れています。ウクライナも日本と同じ農耕民族であるからなのか、温厚で恥ずかしがり屋な性格な若者が多いです。米国や西ヨーロッパに比べると自己主張も控えめで、まさにヨーロッパの田舎者というイメージでしょうか。これまで、IT分野に限らず、大勢のウクライナ人を日本企業に紹介してきましたが、皆さん非常に気に入っておられます。日本人とウクライナ人の相性は非常に良いと言えるでしょう。しかし、文化も教育も異なる外国人ですので、細かい点で注意が必要です。
●ウクライナ開発者の時給
ウクライナのソフトウェア開発会社は、平均レベルのエンジニア1人あたり、時給換算で48ドル~65ドルを請求しています。これは、東ヨーロッパの中で低額です。東ヨーロッパで最も高額なのはポーランドで、52ドル~99ドルです。それでも西ヨーロッパと比べると低額です。東ヨーロッパで最も安価なのは、1 時間あたり36ドル~49ドルのモルドバです。エンジニアの時給は、フロントエンドやバックエンドの専門知識や経験年数、過去に参加したプロジェクトや実績、英語レベル、ブロックチェーンのようなニッチなテクノロジーの知識など、いくつかの要因で変化します。アジアやラテンアメリカと比較すると高いと感じる可能性もあります。
米国や西ヨーロッパを本拠地とするIT企業は、現地のITスペシャリスト不足や開発コストの高騰に悩まされています。その結果、多くの西側企業は、自国よりも物価の低い、アジアと東ヨーロッパ諸国にオフショア開発センター (ODC) を開設しています。日本も同様に、日本人エンジニアの不足と開発コスト高に伴い、ベトナム、インドなどのアジアでオフショア開発先を模索している状況です。
熟練した経験豊富な開発者を探している企業にとって、ウクライナは非常に人気のあるオフショアの目的地となっており、開発、QA、マネージャー、UX / UI デザイン、セキュリティ、コピーライターなども含めたサービスを本国(本社)チームよりも低い価格で提供しています。
ウクライナが欧米企業からオフショア開発センターとして選ばれている理由をまとめると、
・ウクライナには膨大な数の高度なソフトウェア開発者がいること
・ウクライナの物価(生活費)が安いこと
・ウクライナの大きな人材プールにアクセスできる環境が整っていること
・自国よりも安価なのに品質が低下しないこと
・毎年、豊富なIT人材を安定的に輩出できる教育環境が整っていること
・新しい技術の導入に敏感で積極的に勉強するIT技術者が多いこと
・仕事に悪影響を及ぼすほどの時差がないこと(ウクライナとニューヨークの時差 7 時間)
・柔軟性があり、プロジェクトの範囲や要件の変更に寛容であること
・ウクライナ政府は、IT業界に税制の優遇措置を提供していること
・ウクライナは、数多くのグローバルなスタートアップ企業の発祥の地であること
・Microsoft、Apple、I・Microsoft、Apple、IBM、Samsung、Siemens、Ericsson、Huawei、Skypeなど、先進的な企業がウクライナに R&D センターを持っていること
などが挙げられます。
また、アウトソーシングジャーナルなどのITメディアや先駆者のIT企業によって「ウクライナは東ヨーロッパでナンバー1のアウトソーシング先である」と度々取り上げられていることも、客観的な意見として企業がオフショア開発先を選ぶ際のポイントになっているようです。
ウクライナは、ソフトウェア開発のアウトソーシング先として、最高の価格と品質をバランスさせているスイートスポットであり続けています。ウクライナのプログラマーを雇用する場合、月額2,000~6,000ドルの間くらいです。プログラミング言語、開発者のレベル、開発実績、所属している会社、住んでいる地域などで、およそ決まります。
ソフトウェア開発者の平均給与に関するデータは、PayScale、Accelerance、SalaryExpertといった業界関連のプラットフォームと、現地に詳しいウクライナのオンライン技術コミュニティDOU.UAで公開されている資料を参照にしています。
平均給与は、左からジュニア、ミドル、シニアのレベル順です。
●JavaScript
$1300-$1900 $2000-$3500 $3500-$6000
●Python
$1100-$2100 $2100-$3600 $3600-$6500
●Java
$1100-$1900 $1900-$3500 $3500-$6000
●.NET
$1300-$2100 $2500-$4000 $4000-$5500
●PHP
$1100-$2200 $2200-$3500 $3500-$5000
ブリッジSEには、システム開発の技術スキル、コミュニケーションスキルに加えて、開発プロジェクト全体のマネジメントスキルも要求されます。例えば、
・発注者からオフショア開発先へのプロジェクト計画の説明や質疑応答を正確に行う
・オフショア開発の設計書を作成する(翻訳作業も含む)
・開発の進捗状況や直面した問題をまとめ、発注者と共有する
などが挙げられます。ファシリテーションに優れているブリッジSEがいるかいないかで、プロジェクトのスピードや品質に優劣が生じることは間違いありません。
特に日本人の文化や仕事の進め方は海外と大きく異なりますので、日本の企業文化をしっかりと理解しているブリッジSEが開発をリードできると開発スピードが増します。
日本企業に勤める日本人エンジニアが作成した設計書は、日本におけるシステム開発の前提知識や商習慣を省略したり、開発の背景や全貌を隠して作成したりするケースが多く、様々な調整を加えなければオフショア先の外国人エンジニアチームに伝わらないケースもありますのでご注意下さい。
ウクライナのソフトウェア開発会社は、発注者である日本企業側にも、オフショア開発に経験を持ち、ソフトスキルにも長けたブリッジSEが在籍していることを求めるケースが増えています。素人からの開発注文に何週間も何か月もだまって付き合ってくれる開発会社は少なくなってきていると考えて間違いありません。
ウクライナでオフショア開発を進めていく場合で、貴社内に英語堪能なブリッジSEが在籍しない場合には、何らかの解決策をもって、ウクライナでのオフショア開発を進めていくことをお勧めします。必要であれば、我々に相談してください。
ウクライナのIT開発会社は、急速に欧米の価値観を取り入れ、英語が流暢になり、クリティカルシンキングと問題解決スキルを上手に微調整して、革新的なソフトウェアソリューションを作成・設計できるように進化しました。ウクライナIT人材は、欧米からオープンマインドで信頼できると評価されており、長期的なビジネス関係を築いています。
日本企業も、ウクライナでのアウトソーシングを本格的に進めていくために、ウクライナIT人材との交流を重ね、信頼関係を構築していけると嬉しく思います。
ウクライナで専任のソフトウェア開発チームを雇うにはいくつかの選択肢があります。発注側の企業体制や進めやすさ、開発したいプロジェクトの特徴、開発チームの過去の実績や強み、ブリッジSEの言語、予算、期間、開発時の柔軟性、開発後のアフターフォローなど、発注側にとって重要な側面を考慮し、オフショア開発チームを構築すべきです。ゼロリスクにすることはできませんので、慎重すぎても機を失いますが、危ない橋を渡る必要もありません。
下記にウクライナのオフショア開発チームを構築する例を紹介します。
●ウクライナのソフトウェア開発会社との連携
ウクライナ各都市には、数百名~数千名、多いと数万人のITエンジニアを抱えたソフトウェア開発会社がゴロゴロあります。開発したいプロジェクト内容や規模に合わせて、ソフトウェア開発会社と契約を結び、開発をしていくことは、最もポピュラーな方法です。ITエンジニアは、その開発会社の正社員である場合や、プロジェクトの特徴に合わせて、外部のエンジニアを採用する場合があります。
発注側の日本企業に英語が堪能でしっかりとブリッジSEの役割をこなせる人がいる場合には、ソフトウェア開発会社との連携は、理想的な成果を生む可能性が高くなります。
よくある簡単な流れとしては、
・発注者は、プロジェクトの要件定義、予算、締め切りを開発会社に説明
・発注者は、プロジェクトに必要なスキルセットを指定
・ウクライナの開発会社は、人材プールから適切なエンジニア候補者を絞り込む
・発注者は、エンジニア候補者もしくはチームを管理するブリッジSEにインタビュー
・発注者は、適格なエンジニアチームの編成ができるまで面接を繰り返す
・チームが決まったらスケジュール、予算、期間を最終調整
・発注者と開発会社とで契約を交わし、開発スタート
このような流れが挙げられます。
ウクライナのソフトウェア開発会社と連携して開発を進めていく場合のメリットは、プロジェクトの進行をソフトウェア開発会社が責任をもって管理してくれる安心感、信頼感、利便性の高さです。例えば、ひとりのエンジニアを変更したい場合でも、新しいエンジニアを追加したい場合でも、開発会社側が適格な人材を準備してくれます。
デメリットとしては、フリーランサーでチームを組み、発注者が自分でチームを管理する方法に比べて、高額になります。
●ウクライナのリクルーター(採用担当者)との連携
日本のクライアント(注文者)は、社内で立ち上がった開発プロジェクトを進めるために、ウクライナ人のリクルーターを活用することができます。各交渉や指示出しには英語が必要になります。ウクライナには、キーウ、オデーサ、ハルキウ、リヴィウなどなど、ソフトウェア開発会社やITエンジニアが特に多い地域があります。そのような地域の地元で活動しているリクルーターは、とても豊富な技術人材のベース(プール)を持っており、クライアントのプロジェクトに必要な人材だけをピックアップし紹介してくれます。
日本人や外国人が一生懸命オンラインを駆使して見つけられるウクライナ人のエンジニアは表面的で必ずしも優秀で信頼できるエンジニアとは限らず、何度面接を行っても良いエンジニアを獲得できない可能性があります。また、採用してみたものの期待外れだったということも多々あります。
それに比べると、地元の優秀なリクルーターは、地元の開発会社やエンジニアと良いコネクションをもっており、エンジニアが過去に参加したプロジェクトや、各開発分野(AI、IOT、BANK等々)やスキルに対するエンジニアの給与相場もしっかりと把握しています。また、地元のリクルーターは、発注者(クライアント)からの紹介で次の仕事が舞い込んでくるケースや、発注者がリピーターとなってくれるケースが非常に多いため、優秀なブリッジSEやプロジェクトマネージャー、優秀なエンジニアを紹介してくれる傾向にあり、開発コストに関しても、地元エンジニアのプライドを壊さない範囲で、できるだけ安い開発コストを提示し、発注者の負担を減らしてくれる傾向があります。ここで言う「優秀」とは、技術的なことはもちろん、信頼性や協調性、過去の経験なども含んでいます。
発注者がウクライナのリクルーター(採用担当者)と協力する場合の一般的なワークフローは次のとおりです。
・発注者は、開発プロジェクトの要件をリクルーターと共有(英語)
・リクルーターは、開発プロジェクトの内容にあわせて人材プールを確認したり、地元の開発会社と連絡をとって人材を紹介してもらったりし、適格なブリッジSEやマネージャー候補、優秀なエンジニア候補を探す
・リクルーターは、各候補者とオンラインや会って面接を行い、人材を絞り込む
・リクルーターは、最終選考に残った候補者と発注者との面接をスケジュールする
・発注者は、各候補者にインタビューし、最適な候補者を採用する
このような流れが挙げられます。
メリット
ウクライナの地元リクルーターを活用するメリットは、発注者となるクライアントは、リクルーターを通じて、経験豊富なオフショアソフトウェア開発者の大規模な人材プールにアクセスできます。リクルーターを活用しない場合、クライアントは、候補者を探し出す手間、1人1人の開発者へ説明する手間、開発者と交渉する手間、様々な手間がかかるだけでなく、ウクライナにおける予備知識が乏しい中で交渉を行うことになり、時間もコストもかかり、リスクは増大します。発注者の時間を節約し、リスクを軽減し、業務スピードを上げることは大きなメリットです。
デメリットとしては、開発プロジェクトの内容(必要なエンジニアの数と技術スタック)によっては、ウクライナでソフトウェア開発者の専任チームを構築するのに4週間から半年待ちになる可能性があります。世界のIT企業からのオファーにより、ウクライナのソフトウェア開発市場の競争は非常に激しいため、優秀で希少なエンジニアになればなるほど、多くのオファーを受け取っており、すべてのオファーに応じるとは限らないからです。
●ウクライナのフリーランサー(フリーランスポータル)の活用
ウクライナにはフリーランサーとして企業に属さず業務委託で働くIT専門家が大勢います。よって、ウクライナでオフショア開発者を探す方法として、フリーランスポータルサイトで各フリーランサー(登録しているITエンジニア)を検索し、プロフィールを細かく確認する方法が挙げられます。簡易的な流れとしては、下記のようになります。
・発注者(クライアント)は、フリーランスポータルサイトに雇用主として登録
・発注者は、開発プロジェクトの要件とスキルセットを満たすフリーランサーのプロフィールを検索し、招待状を送信
・発注者は、開発プロジェクトの要件を示す求人募集を掲載し、フリーランサーからの応募を待つ
・発注者は、フリーランサーからの応募や招待状への返事を確認し、フリーランサーとの面接スケジュールをたてる(オンライン面接が主流)
・発注者は、フリーランサーとの面接や交渉を繰り返し、最適な候補者を採用する
・発注者は、フリーランサーとの契約を交わし、開発を進める
このような流れが代表的です。
ウクライナのフリーランサーの多くは、自宅、コワーキングスペース、作業場として適したカフェから作業します。オンライン会議が必要な場合にも同様です。リモートでの作業には慣れています。
また、フリーランサーの中には、ウクライナのフリーランサーとして登録をしていても、実際は近隣国(モルドバ、ベラルーシ、ロシアなど)の出身者や国籍の持ち主であるケースがあります。発注者は、自己責任のもと細かく確認する必要があります。
メリット
ウクライナのフリーランサーを採用し開発を進めるメリットはコスト削減です。ウクライナのソフトウェア開発会社やリクルーターを使用しないぶん、フリーランサーを直接束ねて開発を行うことで、発注者は時間や労力を使いますが、開発コストは低くなります。
デメリットとしては、開発が失敗に終わってしまうリスクが上がることです。特に開発プロジェクトの内容(必要なエンジニアの数と技術スタック)が多く複雑であればあるほど、フリーランサーを使った開発の管理は難しくなります。また、フリーランサーとして働くエンジニアは、ウクライナのソフトウェア開発会社が抱えている人材や、リクルーターが蓄えている人材プールのエンジニアと比べると、協調性に欠けるケースも確認されています。ウクライナに限った話ではなく、世界中にいるフリーランサーのエンジニアの中には、予告なしに何の説明もなく姿を消したり、何らかの形でプロジェクトに害を及ぼしたりすることがあります。締め切りが厳しくて複雑なプロジェクトの場合には、知り合ったばかりのフリーランサーによる開発は不向きであると考えても良いかもしれません。
ウクライナにゼロからオフショア開発センターを設立するためには、
・目標と要件の定義をまとめる
・目標や要件を達成できる代表者を見つけて雇用する
・設立に必要な情報を提供してくれるウクライナの法律コンサルタントを雇用する
・法律家のアドバイスを得ながら、設立(法人登記)に必要な書類を作成する
・法人登記する
・法人口座を準備する
・税制を理解する
・オフィスを準備する
・スタッフ (オフィスマネージャー、経理担当者、システム管理者など)を雇用する
・ITエンジニアを雇用する
などを進める必要があります。法人設立後に人的リソースが足りない場合には、ウクライナの他の開発会社と業務提携すると円滑に業務を進めることが可能になります。
●キーウ
キーウはウクライナの首都で、約1000社のソフトウェア開発会社や製品会社が拠点を置いています。ウクライナのソフトウェア開発者の50%近くがキーウに住んでおり、国内最大のITハブです。ウクライナ最大の工科大学KPIもあり、毎年多くのエンジニアを輩出しています。キーウ市内の人口は300万人と言われていますが、ウクライナの中では最も豊富に仕事がある街であることから、ウクライナ全土から仕事を求めてキーウに移住するウクライナ人が多く、キーウ首都圏には400万人以上が暮らしていると言われています。キーウには国際的な企業やハイテク企業のオフィスも集まりやすいことから、オフショア開発センターを作る際の人気都市となっています。ただし、ウクライナの中では最も物価の高いエリアです。
また、ロシアによるウクライナへの侵略戦争がスタートしてからは、戦地に近い開発会社やエンジニアはキーウに移転(引越し)し、以前と変わらず安定した開発を続けていることは注目に値します。
●リヴィウ
ウクライナの西部にあるリヴィウは、ウクライナで最も急成長しているテックハブです。多くのオフショア開発オフィスがあり、強力なアウトソーシング文化が根付いています。地元の大学では毎年13,000人以上のSTEM卒業生を輩出し、同市はテックコミュニティを積極的に成長させています。リヴィウのハイテク企業は地方自治体らと連携し、技術スペシャリストのさらなるトレーニングに多額の投資を行っています。このようなプログラムは、新卒のプログラマーだけでなく、中級や上級の開発者にも適用されます。
リヴィウは、ウクライナで最もオシャレな人達が集う街としても有名です。ポーランドに非常に近く、ヨーロッパの文化や価値観に影響を受けており、昔からロシア嫌いな街で有名です。キーウからは西に500㎞程離れています。
リヴィウは、戦時下においては、ポーランドに近いウクライナで最も安全な都市として、多くのソフトウェア開発企業が移転してきました。
●オデーサ
オデーサは、ウクライナの南部に位置し、黒海に面した港湾都市です。商業が盛んで、ウクライナの海上輸送を一手に担っている都市でもあります。人口は約100万人です。リヴィウと同様に、オデーサは定評のあるアウトソーシング先として、多くのソフトウェア開発会社が集まっています。
●ハルキウ
ハルキウは、キエフに次ぐ国内最大のITハブの1つで、ウクライナの技術者の15%が住んでいます。500社以上のソフトウェア開発会社や製品会社が拠点を置いています。ただしハルキウは、ロシアからの度重なる攻撃で、のITコミュニティもダメージを被っており、ハルキウからキーウやリヴィウに開発拠点を移転させている会社も多いです。ハルキウにも有名な工科大学 KhPI があり、優秀なIT人材が豊富にいます。ハルキウは学生の街として有名で、特に技術専攻のSTEM学生や卒業生が大勢います。
●ドニプロ
ドニプロには、約400社のソフトウェア開発会社や製品会社が拠点を置いていますが、そのうち97%は200人までの小規模な会社です。個人事業主も多く、コストをおさえた開発を行う場合には、狙い目の地域とも言えます。
●リモート作業
ウクライナからWeb開発チームを雇い、リモートまたはセミリモートで開発を進めていくのはすでに世界標準です。2023年現在、ウクライナ人のITエンジニア(男性)は戒厳令により出国が制限されているため、また、諸外国の発注企業側も、戦時下のウクライナに進んで出張しないため、リモートでの開発は必然です。
コロナウイルスのパンデミックにより、リモートワークは、2020年前半から盛んになっており、世界のスタートアップ企業に限らず、大手IT企業も、ウクライナでのオフショア開発を完全リモートで進めることは少なくありません。また、ポーランドやチェコ、オーストリア、クロアチアなどに、ウクライナ人エンジニア用のオフィスを開設し、そこで戦争の影響を極力減らしながら、ウクライナ人エンジニアによる開発を進める企業もあります。
ロシアによる侵略戦争や、それによる停電等による物理的な問題により、ウクライナ人エンジニアによる開発を諦めたという企業は稀です。先述のとおり、ウクライナにおけるIT輸出は戦時下においても前年度比20%以上の割合で増えているのが驚きの現状です。試練続きの昨今において、より強力な問題解決能力やエンジニアをしっかり束ねて開発プロジェクトを前に進めていく力が備わってきています。
リモート開発チームの管理、生産性やパフォーマンスの向上には、多くの課題が残っていることも確かであり、
・時差も含めて、プロジェクトの調整と管理が難しくスピードが落ちる
・リモート開発とリモート管理における生産性の最大化が難しくコストが増える
・ブリッジSE不在や、ブリッジSEの能力が低い場合、ミスコミュニケーションが多発する
・言語と商習慣の違いで、発注側・開発側の信頼関係を構築するのに時間と負担がかかる
などにおいては、今後もより良く改善されるべきであり、発注側、開発側、双方のモチベーションを向上させ、リモートチームの生産性を上げていくことが各企業の課題となっています。
●腐敗
世界的に有名な話として、ウクライナ政治における汚職・腐敗は、ウクライナのアウトソーシングビジネスはもちろん、ローカルビジネスにも悪影響を与えている大きな問題です。ウクライナの汚職文化はソ連時代にまでさかのぼり、一部のウクライナ国家機関には最近まで『ロシア式』が根強く残っていました。
ところが、2022年2月24日にスタートしたロシアによるウクライナへの侵略戦争と度重なる残虐行為、誘拐、ロシア政府による嘘と脅しの独裁的な国家運営を目の当たりにし、ウクライナ国民の大多数は完全に根っこから覚醒し『ロシア式』を悪と定義し、完全に欧米寄りの民主主義にシフトしました。
もともと、ロシアによる侵攻が起きる前から、ウクライナでは汚職との戦いに取り組んでおり、2014年に国家汚職防止局 (NABU) を設立しました。2016年にはプロゾロシステムが開始され、入札案件を管理できるように改革しました。また、ウクライナ政府は、すべての公務員の収入を電子申告化したり、より効率的な汚職対策のためにブロックチェーン技術の導入を開始したりしました。2022年2月24 日以降、汚職は驚くほどのスピードで減り、欧米各国からの信頼は厚くなってきています。
●戦時下
2023年5月現在においても進行中の戦争は、初めてウクライナでオフショア開発を模索しているクライアントに二の足を踏ませています。戦争中の国のITエンジニアに開発を任せることをためらうのは当然のことです。その反面、先述の通り、ウクライナは戦時下においてもIT輸出を前年度比23%で上昇させており、逞しい成長をみせています。
実は、ウクライナに開発拠点をもつIT企業の多くは、戦争が始まる前に開発チームをウクライナ西部や国外に移動させていました。ウクライナ西部は、ウクライナの東部や南部に比べると安全で、戦争の影響を受けにくい場所となっています。
ウクライナのITセクターは、戦時下であっても、依然として効率的に運営されている数少ない業界の1つであり、IT開発者達は、他国企業のために高品質な成果物を提供すると共に、自国ウクライナを支援し、家族を養うことに対して、かつてないほどの意欲を持っています。
腐敗対策と戦時下の汚職撲滅運動が浸透することで、外国人投資家へのサポート体制も改善されてきており、戦後、国が再建される復興期において、IT分野やインフラ、防衛や観光分野への期待が膨らんできていることも注目に値します。
Q、ウクライナのオフショア開発センター(ODC)とは?
A、ウクライナODCは、開発、設計、ソフトウェアサポート、テスト、その他のエンジニアリング業務を行う、貴社の部門または拡張グループです。ウクライナODCは、貴社の意図や条件や好み(開発要件やコストその他)に基づいて業務を行います。ウクライナODCは、単なるITスペシャリストの寄せ集めではなく、それぞれが深い専門的な知識と経験を有する自律的な専門チームであることが多いです。ウクライナODCは、貴社のイメージ、価値観、企業方針、管理方法なども共有します。ウクライナODCで人気の地域はキーウ市、リヴィウ市、オデーサ市です。
Q、ウクライナのオフショア開発センター(ODC)を推奨する理由は?
A、COVID-19パンデミックや移動制限、ロシアによるウクライナへの侵略戦争など、今日の厳しい時代においても、世界の産業は、人類にとって更なる便利なものの開発をやめることはありません。ウクライナオフショア開発センターは競争が激化し、開発も高度化しています。 ウクライナでのオフショア開発を推奨する理由は?と聞かれたら、客観的な事実を挙げます。
ウクライナでは、フォーチュン500の100社以上が開発を行い、ウクライナには、楽天、Google、Samsung、Siemens、Huaweiをはじめとする外国企業の研究開発(R&D)センターも100以上存在し、その数は20年前から増え続けてきているからです。
Q、ウクライナのオフショア開発センター(ODC)のモデルは?
A、ウクライナODCは、システムの開発やサポートをほぼ完全にアウトソーシングするモデルで、貴社との長期的なパートナーシップを結ぶものです。1つのプロジェクトで終わるケースは稀です。多様性に富んでおり、固定費によるプロジェクトアウトソーシング、タイム・アンド・マテリアル・プロジェクト・アウトソーシング、アウトスタッフィングなどが挙げられます。
Q、ウクライナでオフショア開発を進める場合の支払い方法は?
A、稀に発注者と開発者、双方合意のもと、ビットコインなどの仮想通貨による支払いも見受けられますが、基本的には、銀行送金での支払いが大半を占めます。通貨は米ドルかユーロか現地通貨のUAHです。ウクライナ人エンジニアを束ねている開発会社は、必ずしもウクライナ法人であるとは限らず、米国(デラウェア)法人、英国法人、欧州法人、UAE法人、キプロス法人なども多く見受けられます。節税に取り組む会社は多いです。
Q、ウクライナのIT業界で働く人々のメンタリティは?
A、ウクライナのIT産業は、キーウ、オデーサ、ハルキウ、ドニプロ、リヴィウなどの技術ハブを中心に、すっかり欧米の価値観に染まっています。それもそのはず、2000年代初頭から欧米の大手IT企業(Microsoftなど)によって、ウクライナの開発会社やエンジニアは重宝されてきたからです。手っ取り早くお金を稼ごうとする意識はなく、クライアントと長期的な関係を築くことに重点を置いています。リピーターの大切さをよく分かっているからです。20年以上ウクライナで開発してきた大企業の無数の事例によって証明されています。また、ウクライナのテクノロジー部門で働いている個々のスタッフの性格としては、一言でいえば友好的です。
Q、ウクライナのエンジニアの給料は?
A、うくらいなのエンジニアは月額2,000~6,000ドルの間くらいです。利用できるプログラミング言語、開発者のレベル、開発実績、所属している会社、住んでいる地域などで、更に上昇することもあります。
Q、ウクライナのIT状況は?
A、2022年上半期、ウクライナIT輸出額は37億4,000万ドルに達し、前年同期と比較し23%の増大です。戦時下では部分的に縮小も見受けられますが、総合的には伸びています。
Q、ウクライナのエンジニア人口は?
A、どこまでをエンジニアと定義するかにもよりますが、ウクライナには、5,000を超えるIT企業があり、200,000人を超える有資格のソフトウェアエンジニアがいます。様々なレベルを含め、公式に285,000人というデータもあります。
Q、ウクライナのオフショア開発会社一覧は?
A、IT企業が5000社以上ある中の一部ですが、英語版ウィキペディアをご覧ください。
Q、ウクライナ最大手のIT企業は?
A、人数で言うと、11600名のEPAM社です。2位は、9462名のSoftServe社です。
Q、ウクライナit企業ランキングは?
A、人数なのか、どの指標でランキングするかによりますが、客観的で多角的な視点によるとIAOPのThe 2023 Global Outsourcing 100に選出されたウクライナの17社は優秀と言えます。
Q、ウクライナオフショア開発費用の円安による影響は?
A、ウクライナオフショア開発費用はアジアより高い傾向です。USDかEUROでの決済が多いため円安は割高に感じ、円高だと割安に感じます。
Q、ウクライナITオフショアに積極的な日本法人は?
A、楽天です。楽天はウクライナにR&Dセンターも持ちます。
Q、ウクライナITオフショア開発 失敗例は?
A、日本企業の失敗例に限定すると「ミスコミュニケーション(理解しあえてないこと)による開発の遅延」「管理能力不足による開発の中断」「不備の多い契約書の締結によるコスト増」が挙げられます。
Q、ウクライナオフショア メリットは?
A、ウクライナでオフショア開発する代表的なメリットは、世界レベルの技術を低コストで使えることです。そして、それを既に多くのハイテク企業が実現し、商習慣化できていることです。
Q、ウクライナオフショアはカントリーリスクが少ない?
A、どこの国と比べるかにもよりますが、ITアウトソーシングだけに限って言うと、アジア、ラテンアメリカ、西欧、北米よりも少ない印象です。そして、アジア人への差別も非常に少ないと言えます。
Q、ウクライナと日本と距離は遠く時差は6時間、大丈夫?
A、時差が少ないほうが仕事がしやすいのか、6時間程度あったほうが仕事がしやすいのか、慣れによる部分が大きいです。時差をうまく活用すれば、発注者が寝ている間にもどんどん開発が進みます。
Q、ウクライナがアジアの開発に負ける点は?
A、アジアにおけるオフショア開発は、親日はもちろんのこと日本語対応が標準化している会社も多くあります。ウクライナでは日本語対応の開発会社やブリッジSEはとても少なく希少です。日本語で開発を進めたい方は、我々に相談してください。
Q、ウクライナのオフショア開発は、日本語対応できる?
A、できます。一気にたくさんの注文は受けられないですが、対応できます。ご相談下さい。
Q、ウクライナで何を基準にソフトウェア開発会社を選べばよいか?
A、貴社が求める開発要件に対して、類似したプロジェクトで経験があるほうが有利です。基本的には、プロジェクトを仕切るのも、プログラムをかくのも人間ですので、相性が良いと感じる会社を選ぶことも重要です。
Q、ウクライナの開発者給与に影響を与える主な要因は?
A、ウクライナに限らず、ソフトウェア開発者の給与体系は、企業、業種、要件、言語、プログラマーの専門知識、経験年数・実績、責任の度合い、契約期間等、いくつかの要因によって決まります。例えば、ウクライナの技術市場では、PythonやJavaScriptといった言語が給与面で最も高い評価を得ています。PHPやJavaも需要は高いですが給与は下降気味です。
世界中を見渡し、ソフトウェア開発をアウトソーシングする際に適している国を挙げてみます。2023年時点での実績ベースで選出しています。
●東ヨーロッパ
東ヨーロッパでソフトウェア開発をアウトソーシングするのに最適な国は、本レポートの中心になっているウクライナとポーランドです。東ヨーロッパは、オフショアカスタムソフトウェア開発のトップの目的地として世界的に認められています。東欧のエンジニアの強みは、幅広い商業経験と様々なプログラミング言語に精通していることです。ウクライナのエンジニアはJava、JavaScript、Python。ポーランドのエンジニアは、PHP 、Java、.Net の熟練者が多いです。東ヨーロッパには、ビジネスで使いものになるプロのエンジニアが100万人います。時給は、35ドルから99ドルです。アジアより高く、北米や西欧より安いというイメージです
東ヨーロッパでオフショア開発チームを雇うことができる上位の国は次のとおりです。
ウクライナ
ポーランド
チェコ
ルーマニア
ハンガリー
エストニア
スロバキア
ブルガリア
セルビア
●アジア
アジアは日本の企業も使い慣れた市場で、オフショア開発も例外ではありません。例えばインドは、アジアでWeb開発チームを構築する企業にとって「楽園」です。世界のIT業界はインドをアジアトップのアウトソーシング先としてとらえています。質さえ問わなければ500万人以上のエンジニアがいるインドの時給は28ドルから50ドルです。圧倒的な低コストと人数がインドの強みです。1つの重大な欠点は『プロジェクトの品質が低下すること』です。これはたまたま偶発的に起こるレベルではなく多発します(笑)
アジアでインドの次にアウトソーシングが盛んな国は中国で、時給は35ドルから60ドルです。
アジア全体の開発者は、1,500 万人に達します。アジアでオフショア開発チームを雇うことができる上位の国は次のとおりです。
インド
中国
フィリピン
ベトナム
バングラデシュ
インドネシア
マレーシア
ネパール
パキスタン
スリランカ
●ラテンアメリカ
ラテンアメリカは、ソフトウェア開発が急成長しているエリアです。代表的なのは、アルゼンチン、ブラジルです。ラテンアメリカの開発は、その場所がら、北米のプロジェクトに焦点をあてたものが多く、その経験から米国やカナダ企業のニーズや要件をよく理解しているため、北米の企業に好まれます。時給は40ドルから68ドルで、ウクライナの時給に近いです。
ラテンアメリカでオフショア開発チームを雇うことができる上位の国は次のとおりです。
アルゼンチン
ブラジル
チリ
コロンビア
コスタリカ
メキシコ
パナマ
ペルー
●アフリカ
アフリカは、人口の爆発的な増加に合わせるように、一部の国においてはITエンジニアが増えています。若者に人気の職業で、優秀なエンジニアは米国や西ヨーロッパの企業で働きます
エジプト、モロッコ、ケニアの時給は30ドルしません。ナイジェリア、南アフリカの時給は40~50ドルです。アジアと比べても、開発レベルも品質は落ちますので、かなり長期的な目線でエンジニアを育成していく覚悟がないと、ビジネスとしてはバランスが悪いです。アフリカ全体ですとおよそ72万人のソフトウェア開発者がいます。
アフリカでオフショア開発チームを雇うことができる上位の国は次のとおりです。
エジプト
ケニア
モロッコ
ナイジェリア
南アフリカ
日本人にとっては、東ヨーロッパでもアジアでもラテンアメリカでもアフリカでも、どの地域でアウトソーシングをスタートさせるとしても大冒険です。大手企業が潤沢な予算でオフショア開発先を探すのと、中小企業やスタートアップが、ギリギリの予算で開発先を探すのとでも差が生じることでしょう。
各国で開発チームを雇うコストは、概ね下記によって決まります。
● 国:生活費、税金、福利厚生、休暇、法律、市場の需要、現地通貨の価値
● 経験:経験したプロジェクトの数、年数、種類、サイズ、ポジション、管理者の経験
● 言語能力:英語レベル(高ければ高いほど価値とコスト高)
● 技術スタック:珍しい技術スタックまたはスキルの組み合わせた開発
● 雇用形態:社内採用、フリーランス採用、アウトソーシング
IT採用(アウトソーシング含む)の考え方は、国や企業によって違いがあることが分かります。例えば、アメリカ企業は、上級SEの採用に力を入れています。ジュニアやミドルクラスのエンジニアの求人はめったにありません。開発スピード、規模、品質、難易度、希少性、将来性、様々な観点から、経済大国のアメリカでは、最も優れたエンジニアを大量に確保しています。業種によっては、たった1人の天才エンジニアに、100万人の平凡なエンジニアでは勝てないという意識もあります。西ヨーロッパのドイツとオランダでも似た実態があります。
これらの地域では、シニアエンジニア(上級SE)に対する強力な需要に対して、利用可能なリソースは限られているため、各企業は給与やその他の待遇を良くして取り合いが起きています。基本的には潤沢な予算の大手企業ほど有利な戦いです。中小企業が勝つためには、同じレベルの開発が行える上級SEをできる限り時給の安い国から見つけてこないと競争できません。
※ビジネス推奨度 / 100点満点中
※政治安定度 / -2.5 から +2.5
●アメリカ
州 平均時給 ジュニア時給 上級SE時給
カリフォルニア $85 $56 $74
ニューヨーク $70 $54 $76
テキサス州 $52 $48 $53
ワシントン $63 $53 $68
●西ヨーロッパ
国 平均時給 ビジネス推奨度 政治安定度
フランス $54 76.8 0.4
ドイツ $61 79.7 0.8
オランダ $69 76.1 0.9
スウェーデン $52 82 1.0
イギリス $93 83.5 0.5
地域平均 $66 79.62 0.7
●東ヨーロッパ
国 平均時給 ビジネス推奨度 政治安定度
ブルガリア $54 72 0.5
クロアチア $58 73.6 0.7
チェコ共和国 $60 76.3 1.0
ハンガリー $57 73.4 0.9
ポーランド $59 76.4 0.5
ルーマニア $56 73.3 0.5
ウクライナ $59 70.2 -1.5
地域平均 $57 73.7 0.4
●ラテンアメリカ
国 平均時給 ビジネス推奨度 政治安定度
アルゼンチン $51 59 -0.1
ボリビア $33 51.7 0.3
ブラジル $44 59.1 -0.5
コロンビア $51 70.1 -0.9
コスタリカ $44 69.2 0.9
チリ $55 72.6 0.1
メキシコ $61 72.4 -0.6
ペルー $39 68.7 1.0
ウルグアイ $61 61.5 1.0
地域平均 $50 64.9 -0.1
●アジア
国 平均時給 ビジネス推奨度 政治安定度
バングラデシュ $28 45 -1.0
中国 $29 77.9 -0.5
インド $29 71 -0.6
マレーシア $33 81.5 0.1
ネパール $28 63.2 -0.2
パキスタン $25 61 -1.7
フィリピン $28 62.8 -0.9
スリランカ $28 61.8 -0.3
地域平均 $28 65.5 -0.5
●アフリカ
国 平均時給 ビジネス推奨度 政治安定度
エジプト $22 60.1 -1.0
ケニア $24 73.2 -1.1
モロッコ $22 73.4 -0.4
ナイジェリア $44 56.9 -1.8
南アフリカ $44 67 -0.7
地域平均 $31 66.12 -0.9
●地域別
領域 平均時給 ビジネス推奨度 政治安定度
北米 $77 84 0.3
西ヨーロッパ $75 80.3 0.7
東ヨーロッパ $58 73.7 0.4
ラテンアメリカ $61 65.7 -0.1
アジア $28 65.5 -0.7
「ウクライナはロシアから攻撃を受けて電気も止まり、IT開発どころじゃないでしょう!?」とふつうは思いますが、結論から言うと、持ち堪えているというよりは、更に成長を続けているのが驚きです。
・ウクライナ国立銀行によると、ウクライナのIT部門は依然として好調で、2022年の第1四半期の輸出額は2021年の同時期より28%多い20億ドルに達しています。
※更新情報:2023年5月時点、第1四半期のウクライナのITサービス輸出は前年同期比16%減少
・Lviv IT Clusterによると、ウクライナのIT企業の98.5%が事業を継続しており、そのうち7.8%は事業活動が増加していると報告しています。
戦時下においてもウクライナのIT部門が成長を続けている理由は、同国の踏ん張りはもちろんのこと、世界各国のサポートがあるからということも言えます。ウクライナはもともと、世界のテック人材輸出ランキングで世界5位にランクインするほど、IT人材の育成環境が整っていました。
そんなウクライナの成長率を見越し、Google、Samsung、Boeing などの大手はエンジニアリングセンターを開設していました。フォーチュン500の企業(Microsoft、Google、Samsung、Oracle、Snap、Ringなど)の5社に1社がウクライナのITサービスを使用しています。ウクライナは、日本の3分の1の人口ですが、2000年代初頭から強固なIT地盤が築かれつつあると考えて間違いないと思います。
ウクライナと世界のIT企業は、戦争が開始される可能性について『武力エスカレーションのリスクは”低から中”』と捉えていた反面、実は92%の企業が侵略の可能性に備えた緊急避難・支援計画を作成していました。それが功を奏し、ウクライナ西部や隣国などへの移動はスムーズで、業務の遅延や損害を僅かに留めました。
タタ・コンサルタンシー・サービシズ、インフォシスリミテッド、HCLテクノロジーズなど、インド大手のテクノロジー企業や、その他多くのインド系企業は、ポーランドやハンガリーなどに避難したウクライナ人エンジニアの採用に力を入れています。ウクライナのIT輸出が戦時下でも伸びている理由は、各企業の血の滲むような努力や各国からの支援があるからとも言えそうです。
ロシアの侵略戦争はウクライナのみならず、世界中に多大な悪影響を与えています。IT分野に限らず、ありとあらゆる分野において見直しが行われ、権威主義体制のロシアと中国には特に警戒を強めている状況です。
一方で、ロシアによる侵略戦争はパンデミックと同じように、人類に多くの課題や新しい価値観を芽生えさせました。これまでには真剣に扱われなかった方法が議論され、権威主義国家の暴走に備える体制が構築されています。
もともと世界のIT市場は、人材不足や能力低下が問題視されていましたが、ロシアによるウクライナへの侵略戦争によって、更に悪化の一途をたどると予想されています。具体的には、世界のIT市場における人材不足は8500万人に膨れ上がり、本来得られたはずの8.5兆ドルの収益が失われると予想されています。 Job.com の共同創設者アラン・ジェームス・スチュワートは、「対ウクライナ戦争は米国の人材市場に対する戦争である」と言い切っています。
ロシアは世界2位の軍事力をひけらかし、ミサイルで他国の建物も土地も人も破壊し続け、人間が生活する上で最も大切な『信用』を失いました。世界中からロシアを信用する人はいなくなり、あらゆる経済活動にマイナスで解決困難な根深い問題をプーチン政権は自ら生んでしまったと言えます。
その反面で、ウクライナはこの侵略戦争を通じて、日本、アメリカ、イギリス、ポーランド、ラトビア、エストニア、リトアニア、チェコ、ドイツ、カナダ、UAEなどなど、世界中の様々な国や企業、そして大勢の個人から応援と支援をもらい、国民総出でロシアによる侵略に立ち向かっています。何十万人もの兵士や国民を犠牲にしながら。
ロシアのウクライナ侵攻の影響は、世界のハイテク産業以外にも表れてきています。国際通貨基金(IMF)は、ロシアのウクライナ戦争が原因で、2022年と2023年に世界経済の成長率がさらに低下すると予測しています。その景気後退は、世界の国内総生産(GDP)の86%を占める143カ国に直撃すると、IMFのクリスタリナ・ゲオルギエヴァは述べています。
そんな中、ロシアのIT市場は悲惨です。ロシアのITスペシャリストの多くは、戦争がスタートする前からも含めて国外脱出に成功しており、当然ながら戦争に反対の立場が大多数です。トルコ、アラブ首長国連邦、ジョージア、カザフスタン、アルメニア、バルト三国、タイ、アメリカなどに避難したITワーカーは、合計数十万人を超えると言われており、NewYorkTimesの記事によると、アルメニア政府は2022年の3月だけで8万人以上の専門家が避難(入国)したと推定しており、ジョージアの場合、2万人から2万5千人がロシアから逃げ込んできたと書かれています。
多くのニュースで取り上げられているとおり、世界中の大企業はロシアからの撤退を表明し、テック企業においても、Google、Apple、Facebook、Instagram、Microsoft、Intel、Netflixなど、ロシアから撤退するか、サービスの利用を制限している状態です。そのような状況下でロシア国内に留まっていても、仕事を失ってしまう可能性は高く、おまけにいつ戦争に駆り出されるかも分からない恐怖心を抱えたITスペシャリストからすると、ロシア国外に脱出したことはナチュラルです。
ロシア政権は、侵略という過ちをモルドバでもジョージアでもウクライナでも繰り返し、世界からロシア市場を孤立させ、ロシア人全体の信用を失墜させ、行き場を失った多くの若き優秀なロシア人ITスペシャリスト達は、散り散りバラバラになり、世界のどこかで途方に暮れています。
別項でも取り上げた、例えばインドの大手IT企業らは、ポーランドなどの隣国に避難したウクライナ人ITワーカーを優先的に採用するなど、ウクライナIT業界への支援を続けています。これは赤字覚悟の支援なのでしょうか?支援する背景には、当然ビジネス的で長期的な戦略や、ライバルを意識した激しい開発競争が繰り広げられていると考えるのがナチュラルです。
世界のハイテク市場とウクライナのITセクターは、互いに強く依存し合っています。例えばアメリカの場合、直近で50~80万人のエンジニアが不足していると言われていますが、そのうち、上級SEの穴埋めの多くはウクライナ人が担っています。世界のハイテク企業にとって、IT開発力が横ばいや落ちるということは死活問題なため、ロシアによるウクライナへの侵略戦争による直接的な被害や、今後間接的に起こるであろう二次的な被害に対して、すでに様々な対策を始めていると言えます。
世界のアウトソーシング企業は、ウクライナ人による開発サービスに遅延が起きることを予め想定し、理解し、コストやリスクや信用の問題から本来なら許されないはずの遅延を許容しているケースが見受けられます。ウクライナ人エンジニアやその家族、またその会社との関係性を良好に保つことを優先しています。ウクライナ人は、日本人と同じで、困ったときに手を差し伸べてくれた、助けてくれた相手にいつまでも恩返しする国民性です。
日本にもスタートアップ企業が増えてきたと聞きます。日本特有の課題を克服するスタートアップもあれば、世界を便利にするスタートアップもあるでしょう。多種多様のスタートアップ企業にとって、ずば抜けて優秀なエンジニアが必要なのであれば、迷わず、ウクライナ人の開発者やエンジニアを選ぶと良いでしょう。もともと日本人の創造力はとても豊かで、ウクライナ人との相性は抜群です。
2023年、さらに多くの企業が「アウトソーシングするのに最適な場所はどこか」「開発を安全で高品質に任せられる会社はどこか」という答えを探しています。 数字も示しているとおり、ソフトウェア開発のアウトソーシングは70%増加し、2023年中には4305億ドルに達する見込みだからです。
アウトソーシング先の選考や最終決定には数多くの要因が影響します。コストはもちろん、開発要件や進めやすさ(相性)なども考慮すべきです。 「初歩的な要件の開発をできる限り安く、日本語で進めたい」という方以外は、ウクライナでの開発を検討することをお勧めします。
その理由を10個解説します。
①ウクライナのITアウトソーシングは儲かる
大手IT企業らがウクライナ人と開発を進める大きな要素は、
・大規模な技術者プール
・多様な専門知識(高スキル)
・手頃な労働力(低コスト)
の3つです。この3つの要素が揃うと、結果的に、クライアントはリスクをおさえながら目的や課題を達成でき、ビジネスを効率よく拡大でき、端的に言えば儲かります。
②ウクライナのIT開発は競争力がある
ウクライナのIT開発で最も貴重なアドバンテージ・ストロングポイントは「多様で先進的な技術知識」です。これが競争力を生み出します。当然ながら、競合他社もそれを求めてウクライナで開発者を探しています。
客観的な指標としては、
・The Good Country Indexによる世界への貢献指数「科学技術部門」で世界1位
・フランスPentalog社による550以上の技術評価に基づいた開発者ランキングで世界4位
なども参考になります。
③ウクライナのIT業界は流暢な英語を話します
クライアント側に高い英語力と技術者な知識があれば、ウクライナのソフトウェアエンジニアとの共同作業でミスコミュニケーションが発生する可能性は低いです。
ウクライナの開発現場には、日本語が話せて経験豊富なプロジェクトマネージャーやブリッジSEは極めて希少なため、欧米の企業と比較し、日本企業はウクライナに入りづらい環境と言えます。したがって、楽天など、流暢な英語が話せるスタッフが多い日本企業にとっては、他の日本企業と比較して優位であると言えるでしょう。余談ですが、ウクライナ人は日本と中国から同時に同じ報酬の開発案件が来たとしたら、日本企業からの開発を選ぶと思います。ウクライナ人は日本を信用しています。
④ウクライナITエキスパートの強い労働倫理
アジアやラテンアメリカやアフリカと比較した場合はもちろん、東欧諸国と比較した場合でも、ウクライナのIT開発者は、強い労働倫理を持っていると言われています。特に英国や北欧の国々は、ウクライナは献身的で柔軟性の高い考え方を持っていて、プロジェクトの円滑なリリースが期待できると評価しています。
⑤エンジニア教育と将来性
企業が先行投資するとき、一過性の傾向が強い事業は高いリスクを伴います。IT開発事業の場合には、その国のエンジニアへの教育環境が整っているほど将来性が高いとされます。ウクライナの場合、テック企業と高等教育機関と地方行政は密接に連携し、ハイテク産業の需要に合わせて学習プログラムを素早く調整し、現役学生や卒業生を惹きつけています。ワークショップの開催、インターンシップの提供、ソフトウェアエンジニアやITスペシャリスト向けのイベントも毎日のように行われおり、競争力のある優秀なIT労働力を継続的に輩出しています。
ウクライナは毎年、技術系の学位を持つ約17,000人の学生を輩出します。そのため、ウクライナのIT産業は非常に強力で、急成長しているのです。ちなみに、この数字は中東欧(CEE)の中で最も高い数字です。
⑥ウクライナの開発は「量より質」
大規模なIT開発者プールをもつウクライナですが、インドに比べれば人数では負けます。しかし、ハイテクIT産業において大切なのは「量より質」です。ウクライナは質の高い技術教育によって、質の高い人材プールを生み出しています。2024年までにIT技術者は23%増えると予想されています。ただ単に豊富というだけでなく、多様性に富んでいます。
JavaScript、C#、PHP、Python、Java、C++、TypeScriptなどの一般的なプログラミング言語から、あまり知られていないプログラミング言語まで、さまざまな言語に精通した開発者を見つけることができるのがウクライナです。彼らは常にスキルを磨き、Cloud Solutions、Embedded Systems、Machine Learning、Artificial Intelligence、Blockchain、Cybersecurity、Internet of Things、Mobile Development、Big Data、Bi and Reporting
DevOps、SaaS Development、Web Development などなど、最先端技術に関する知識を高め、世界のフィンテック、ヘルスケア、eコマース、エドテック、テレコム、輸送など、さまざまなビジネス領域で活躍しています。
⑦ウクライナは、イノベーションの拠点。投資家も注目
ウクライナは、国際的なハイテク企業の100以上の研究開発センターを抱えています。その背景では、当然ながら巨額の投資が行われています。マイクロソフト、オラクル、IBM、サムスン、グーグルなどの大手企業は、ウクライナの人材の量と質を発見し、活用し、オフショアオフィスを立ち上げ、数年先から10年先を想定した研究開発に大きな投資を行っています。このようなハイテク企業の投資活動は、ウクライナにおける開発が、国際的なIT分野において信頼のおける技術パートナーであることを証明しており、結果的に、イノベーションの拠点となっています。
その結果、世界に名だたるスタートアップの原点として名を馳せるようになりました。革新的な製品や、創造的な精神を重視する外国人投資家は、ウクライナ人が開発に携わるスタートアップに注目しています。例えば、GitLabやGrammarlyはウクライナで生まれた2つのユニコーンで、10億ドル以上の価値を持ちます。PetCube、MacPaw、Ahrefs、CleanMyMac、Reface、Preply、Readdleなどの製品を開発したのもウクライナ人です。
⑧欧米基準のデータ保護と情報セキュリティ
アウトソーシングする場合、情報資産やユーザーの機密データが安全でなければなりませんし、発注側も開発側も国際的な規制への準拠が必要です。ウクライナの法律は、ヨーロッパのものと一致しており、ウクライナの知的財産(IP)法は、データベースとコンピュータ・プログラムの著作権保護を規定しています。ウクライナの老舗ハイテク企業は、国際的な規制を遵守し、最良のセキュリティ慣行に従って、重要な顧客データのプライバシーを確保しています。また、顧客固有のコンプライアンス・ソリューションや、予測不可能なデータ消失に対処するための適切なデータ復旧方法も準備しています。
また、ウクライナの多くのハイテク企業では、ビジネスアイデアを保護するための秘密保持契約を締結することが標準的な慣行となっています。ウクライナのIT企業は、情報セキュリティ管理を確認するために、HIPAA、PCI、ISO認証など、業界特有の厳しいコンプライアンスに対応しています。
⑨簡素化された税制と有利なビジネス環境
ウクライナ政府はIT産業の重要性を認識しており、その成長を促進するために法整備を進めています。税制の簡素化と政府のデジタル化の促進は、ウクライナのアウトソーシングを促進し、外国企業にとって有利なビジネス環境を提供することにつながります。
⑩バランスのとれたアウトソーシング価格
最後はやはり「ロープライス」です。「極めて難しいレベルの要件定義をもとにした開発なのにロープライス」というのが正確な表現かもしれません。正直なところ、ほとんどの企業にとって、経費節減がアウトソーシングする主な理由だと分かっています。その点、ウクライナは理想的です。2023年時点でのウクライナ人のITスペシャリストの時給例を並べておきます。
・ビジネスアナリスト $40-$63
・ITアーキテクト $50-$77
・プロジェクトマネージャー $45-$70
・ジュニアエンジニア $25-$42
・ミドルエンジニア $35-$60
・シニアエンジニア $55-$90
・ジュニアQA $25-$42
・ミドルQA $30-$49
・シニアQA $40-$63
・UI/UXデザイナー $35-$56
現在、ウクライナには5000社のIT企業、そのうち1600社以上はITオフショア開発会社として登録されています。オフショアWebデザインに必要な開発者から、オフショアソフトウェア開発会社の複雑な専門知識まで、ウクライナには熟練したIT人材がオンコールで待機しています。
いくつか、ウクライナのIT開発会社をご紹介してみます。
●EPAM社
EPAM社は、フィンテック、エンターテインメント、旅行、自動車などの業界の開発実績でよく知られており、製品開発、IOT、プラットフォームエンジニアリング、アプリケーション、クラウド管理に関する専門知識に優れています。従業員は2019年時点で、11,600人です。
● Ciklum社
Ciklumは、ウクライナが誇る大規模なオフショアソフトウェア開発企業です。中小企業からグローバル企業まで、さまざまなクライアントに焦点を当て、新しい技術のベットを支援しています。IoT、小売、フィンテックに力を入れている。従業員は2019年時点で、3,006人です。
● GlobalLogic社
GlobalLogic社は、米カリフォルニアに本社を置く会社で、IoT、AIを含むテックフォワード開発に注力する組織です。モバイルアプリのデザインと開発で知られる同社は、ソーシャルメディア、旅行、エンターテインメント、生産性、組織化などのアプリに取り組んでいます。ウクライナの従業員は2023年時点で、6,720人です。
● Infopulse社
Infopulse社は、世界各国の大企業から人気の高いオフショア開発会社です。30年近い歴史を持つインフォパルス社は、ITコンサルティング、インフラ、クラウドサービス、サイバーセキュリティなどのサービスを提供しています。自動車通信、銀行、保険、ヘルスケア、製造業などの分野に精通しています。2019年の時点で、従業員は1,990人です。
●Abto Software社
Abto Software社は、ヘルスケアや建設業のクライアントを中心に、ソフトウェアエンジニアリングからAI、ウェブ開発、エンタープライズアプリのモダナイゼーションまで、幅広いサービスを提供しています。従業員数は2023年時点で、200人です。
2021年7月時点、ウクライナでITエンジニアが多い順の25社のリストです。
() 内は人数
EPAM (11600)
SoftServe (9462)
GlobalLogic (6365)
Luxoft (3581)
Ciklum (3006)
NIX Solutions (2748)
DataArt (2625)
EVOPLAY (2345)
Intellias (2006)
ZONE3000 (2004)
Infopulse (1990)
Ajax Systems (1800)
ELEKS (1775)
Genesis (1643)
N-iX (1510)
Sigma Software (1500)
Playrix (1436)
Capgemini Engineering Ukraine (1323)
EVO (1300)
SQUAD (1280)
Grid Dynamics Group (1249)
Netcracker (1200)
Ubisoft (1111)
AUTODOC (1080)
Playtika (1050)
25社で合計66,989人を雇用しています。
ウクライナはITセクターが活況を呈し、優秀なソフトウェアエンジニアが増加し、信頼できるカスタムソフトウェア開発企業が多い国として知られています。それを裏付けるように、ウクライナのIT産業の輸出量は劇的に伸びており、2015年の27億ドルから2019年には42億ドルになり、2025年には84億ドルに達すると予想されています。
ウクライナには5,000社以上のIT企業があり、そのうち1,700社以上がITアウトソーシングとカスタムソフトウェア開発に特化しています。ウクライナの企業の大半は、米国、英国、西ヨーロッパ、北欧諸国の顧客と取引しています。
楽天、野村総合研究所、大日本印刷、日立などの日本企業は、ウクライナ人による開発を進めていますが、2023年現在、まだまだ日本企業は数えるほどしか進出を果たせていません。
日本のスタートアップ、中小、大手がウクライナでの開発を進めてみようかな、と思ったとき、事業分野や開発要件や予算によって、ウクライナの開発者をどのように選び、どのように契約し、どのように開発と管理を進めていくべきかは、変わってきます。
参考までに、多くの有名ブランドにソフトウェアソリューションを提供し、信頼できるアウトソーシングパートナーであることを証明したカスタムソフトウェア開発会社ベスト10をリストアップしました。このリストは、Clutch、LinkedIn、企業のウェブサイト、クライアントのレビューなど、さまざまな異なる情報源をもとに作成しています
●N-iX
N-iXは、23年以上の歴史を持ち、ヨーロッパにおける主要なソフトウェア開発プロバイダーの1つとなっています。このカスタムソフトウェア開発会社は、顧客と永続的なパートナーシップを築くことに力を入れています。例えば、AnotoはN-iXと12年以上にわたって協業しています。このベンダーは、ビッグデータ分析、データサイエンス、BI、AI&ML、クラウドソリューションとDevOpsサービス、VR&AR、組み込みソフトウェアなど、幅広い技術専門知識を有しています。N-iX のソフトウェアエンジニアリングチームは、フィンテック、インシュアテック、自動車、テレコム、メディア、ヘルスケア、その他の業界向けの特注ソフトウェアソリューションを開発しています。
N-iXのクライアント例は、
・Gogo Inc アメリカシカゴに本社を置く企業。民間・業務用航空機内ブロードバンドやその他インターネット接続サービスを提供
・ AVL 自動車業界やその他の分野での開発、シミュレーション、テストを行う世界有数のモビリティ テクノロジー企業
・FLUKE アメリカ合衆国ワシントン州エバレットに本社をおく計測機器メーカー
・Currencycloud お金の移動の複雑さを取り除く、スマートテクノロジーに基づいて構築されたグローバル決済プラットフォーム
・Lebara 英国、フランス、デンマーク、オランダ、ドイツ、サウジアラビア、スペイン、スイス、オーストラリアで仮想移動体通信事業者=MVNOビジネスモデルを使用したサービスを提供する通信会社
・Messer Group GmbH 産業用ガスの供給業者
・Office Depot企業向けの事務用品のサプライヤー
・Seeking Alpha 金融市場に関するニュースを公開するクラウドソースのコンテンツサービス
・TuneIn ラジオを聴けるストリーミングサービス
・OVO Energy イギリスの ブリストルに拠点を置く大手エネルギー供給会社
・OpenText エンタープライズ情報管理(EIM)ソフトウェアの開発販売するカナダの会社
● INTELLECTSOFT
INTELLECTSOFT は、16年以上の歴史を持つ企業です。フォーチュン500社を含む多くの国際的なクライアントのためにカスタムソフトウェアソリューションを開発してきました。世界に7つのエンジニアリングセンターを持ち、ITコンサルティング、Web開発、モバイルアプリケーション開発などを提供しています。ブロックチェーン、フィンテック、拡張現実、クラウドコンピューティング、人工知能、IoTソリューションに特化した会社です。建設、ヘルスケア、小売・Eコマース、金融・保険、ホスピタリティ、物流など、多くの業界向けにサービスを提供ています。
INTELLECTSOFTのクライアント例は、
・Harley-Davidson, Inc アメリカミルウォーキーに本社を置くアメリカのオートバイメーカー
・Jaguar イギリスの高級車メーカー
・EuroStar イギリス、フランス、ベルギー、オランダ間の高速接続を運行する鉄道会社
・EY (旧アーンスト・アンド・ヤング) ロンドンに本社を置き、専門的なコンサルティングと監査サービスを提供する国際企業
・Cirrus Insight アメリカに本社を置き、SalesforceとGmailやMicrosoft のOffice 365などのサードパーティサービスを統合する顧客関係管理(CRM)プラットフォーム
●EXADEL
EXADELは、ソフトウェアやモバイルアプリの開発、QA、自動化、テストサービス、アプリのメンテナンス、ソフトウェアアーキテクチャの評価など、企業向けのカスタムソフトウェア開発サービスを幅広く提供している企業です。また、ビッグデータおよびアナリティクス、DevOps、クラウドサービスも提供しています。例えば、メディア・出版、金融、ヘルスケア、小売、ハイテクなどの顧客向けにソフトウェアソリューションを提供した経験を有しています。
EXADELのクライアント例は、
・McKesson Corporation 医薬品を販売し、健康情報技術、医療用品、ケア管理ツールを提供するアメリカ企業
・UBS Group AGスイスに設立された多国籍投資銀行および金融サービス企業
・GHX ヘルスケア業界最大のクラウドベースのサプライチェーンネットワーク
・Verifone アメリカに本社を置き、電子決済取引と販売時点管理における付加価値サービスのためのテクノロジーを提供する企業
・ Dun & Bradstreet Corporation ビジネス向けに商業データ、分析、洞察を提供するアメリカの企業
・Hunter Douglas NV 窓のブラインドとカバーの製造をするオランダの多国籍企業
・Trek Bicycle Corporation 自転車およびサイクリング製品を製造および販売する企業
・Humana Inc. ケンタッキー州ルイビルに本拠を置くアメリカの営利健康保険会社
・GlobalTranz 米国アリゾナ州フェニックスに本拠を置く非公開物流会社
・Deloitte 英国ロンドンに本社を置く国際的なプロフェッショナルサービスネットワーク
・Wolters Kluwer NV オランダの情報サービス会社
● INFOPULSE
INFOPULSEは、キエフに本社を置き、フルサービスのソリューションプロバイダーとしての地位を確立しています。10カ国で事業を展開し、ウクライナ、ドイツ、ブルガリア、ポーランド、ラトビアにデリバリーセンターを持っています。ソフトウェアエンジニアリングとコンサルティング、インフラストラクチャーとクラウドサービス、Microsoft・SAPソリューションとサービス、情報セキュリティなどをコアコンピテンシー(得意分野)としています。自動車、通信、銀行・金融、保険、ヘルスケア、製造業などでの実績があります。
INFOPULSEのクライアント例は、
・Agillic CDP、CMS、CRM、カスタマーサービス、eコマース、ビジネスインテリジェンスなどの戦略的パートナーシップのエコシステムのためにプラットフォームを開発
・BICS 通信事業者、仮想ネットワーク事業者、サービス プロバイダー、エンタープライズ ソフトウェア プロバイダー、およびグローバル企業向けのデジタル通信、クラウド通信サービス、モビリティ、IoT事業
・Gorenje スロベニアの大手家電メーカー
・OTP Bank Group ハンガリー最大の商業銀行
・Revacom アプリケーション変更サービスの大手専門プロバイダー
●Sigma Software
Sigma Softwareは、ウクライナのカスタムソフトウェア開発会社で、国内とポーランドに多数の開発センターとオフィスを構えています。製品開発とITコンサルティングに特化しており、アプリ開発、ターンキーソリューション、UI/UXデザインにも精通しています。自動車、不動産、ギャンブル、ゲーム業界向けのカスタムソフトウェアソリューションの提供にも実績があります。
Sigma Softwareのクライアント例は、
・Ankorstore オンライン卸売プラットフォーム
・Mall of Emirates ドバイにあるショッピングモール
・国際航空運送協会 IATA 1945 年に設立された世界の航空会社の業界団体
・AOL アメリカ合衆国のインターネット接続サービス・ポータルサイト
・AstraZeneca 英国ケンブリッジのケンブリッジ バイオメディカル キャンパスに本社を置く英国とスウェーデンの多国籍製薬およびバイオテクノロジー企業
・Knorr-Bremse AG 110 年以上にわたって鉄道および商用車両用のブレーキシステムを製造するドイツのメーカー
・Formpipe Software AB エンタープライズ コンテンツ管理ソリューションのスウェーデンのサプライヤー
・Volvo Penta ボルボ・グループの一員でボートエンジンと産業エンジンを製造する企業
● INNOVECS
INNOVECSは、5カ国にオフィスを構え、ウクライナに研究開発センターを持つ同社は、9年以上にわたってオーダーメイドのソフトウェアソリューションを開発してきました。専門分野は、ビッグデータ、AI、ML、ブロックチェーン、IoT、QA、クラウド、Web、モバイル開発、アートプロダクションなどです。同社は主にゲーム、フィンテック、アドテク、ロジスティクス、テレコム、ヘルスケア業界にサービスを提供しています。
INNOVECSのクライアント例は、
・ASGN Incorporated 商業部門と政府部門にわたってテクノロジーやクリエイティブなデジタル マーケティングを含む IT サービスとソリューションを提供する大手プロバイダー
・CallFire Inc サンタモニカに本社を置くクラウド テレフォニーサービス プロバイダー
・IronSource Ltd. アプリの収益化と配布のためのテクノロジーの開発に注力するイスラエルのソフトウェア会社
・Neogames ヨーテボリに拠点を置くスウェーデンのロールプレイングゲーム出版社
・Gelato グラフィックス カードメーカーであるNvidiaによって作成された、ハードウェアアクセラレーションを使用したオフラインレンダラー
・Nvidia Corporation アメリカの多国籍テクノロジー企業
・edX ハーバード大学とMITによって作成されたアメリカの大規模オープンオンラインコース(MOOC) プロバイダー
● ABTO SOFTWARE
ABTO SOFTWARE開発会社は、ソフトウェアエンジニアリングだけでなく、モバイルアプリやウェブ開発サービスも13年以上にわたって提供しています。同社は、ERPの近代化やコンピュータビジョンソリューションも得意としています。同社のエンジニアは、ASP.NET、PHP、Android、iOSの技術に基づくソフトウェアソリューションを開発しています。また、ヘルスケアや建設プロジェクトでも豊富な経験を有しています。
ABTO SOFTWAREのクライアント例は、
・Metalogix Software アメリカに本部を置き、Microsoft SharePoint、Microsoft Exchange用のコンテンツ インフラストラクチャソフトウェアの開発、販売、サポートする企業
・Mitel Networks Corporation カナダの電気通信会社
・Skybow スイスに本部を置くIT ソリューション企業
・Ultan tecnologies ソフトウェア、プロセス、エネルギーの専門家で構成されるテクノロジー企業
● SOFTSERVE
SOFTSERVEは、12カ国に30のオフィスを構える大手ソフトウェア開発会社です。世界中の企業にエンドツーエンドのソリューションを提供しています。同社の専門チームは、ビッグデータ、AI、機械学習、IoT、DevOps、エクスペリエンスデザインを専門としています。同社は、ヘルスケア、小売、金融サービス、メディア、その他の業界でプロジェクトを成功させています。
SOFTSERVEのクライアント例は、
・Panasonic Corporation パナソニックホールディングス傘下の日本の大手電機メーカー
・BMC Software, Inc. 情報技術(IT) サービスおよびコンサルティング、エンタープライズ ソフトウェア会社
・Avery Dennison Corporation 感圧接着材料 (粘着ラベルなど)、アパレル ブランド ラベルとタグ、RFID インレイ、特殊医療製品の製造および販売を行う多国籍企業
・Veradigm 旧Allscripts Healthcare Solutions, Inc. 医師の診療所、病院、その他の医療提供者に診療管理と電子医療記録テクノロジーを提供する企業
・Zilliant, Inc. 価格最適化および販売効率化アプリケーションを開発および製造する企業
・Cloudera, Inc. エンタープライズデータ管理および分析プラットフォームを提供するアメリカのソフトウェア会社
・SolarWinds Corporation ネットワーク、システム、情報技術インフラストラクチャの管理を支援する企業向けソフトウェアを開発するアメリカの会社
● PERFECTIAL
PERFECTIALは、主にWebアプリ制作、UXデザイン、クラウド・SaaS、ブロックチェーンなどに特化したオーダーメイドのソフトウェア開発会社です。中小企業から大企業まで、発見段階から開発、監査までフルサイクルのソフトウェアエンジニアリングを提供しています。金融、不動産、マーケティングなど様々な事業領域で実績があります。
PERFECTIALのクライアント例は、
・Ayasdi 組織の複雑なデータ課題に対するソリューションを提供するプラットフォームを提供する分析会社
・Clickatell, Inc. メッセージング・コミュニケーション・ソリューションを提供する会社
・SourceScrub 投資専門家向けに設計された情報および調査管理システムの開発会社
・Dataxu マーケティング専門家向けのクラウドベースソフトウェア製造会社
・RealNex 事業開発、マーケティング、分析、ディールマネジメント会社
● Svitla Systems
Svitla Systemsソフトウェア開発会社のコアコンピタンスは、ウェブ開発およびウェブデザインです。また、このベンダーは、モバイルアプリ開発、DevOpsサービス、および品質保証を提供しています。デジタルマーケティング、エンターテインメント、金融サービス、ヘルスケア、不動産など、幅広い領域のクライアントと仕事をしています。
Svitla Systemsのクライアント例は、
・Inflection 12年以上にわたって公的記録の収集、フィルタリング、分析を行い、人物データ、プライバシー基準、リスクソリューションを提供する会社
・Logitech International SA スイスのコンピューター周辺機器およびソフトウェアのメーカー
・InvoiceASAP モバイルとWebのインボイス作成会社
・Amplience ヨーロッパと米国の小売業者にメディアコンテンツを配信するメディア企業
・Rainmaker Group ホテルやアパートの価格設定と収益管理を支援するソフトウェアを提供
・StatLine 臓器、組織、眼球を提供する企業
これらウクライナのカスタムソフトウェア開発会社は1700社の中の一例です。いずれもプロジェクトを成功に導いた実績があり、多くの好意的なクライアントレビューが寄せられています。アウトソーシングパートナー選びは難しいものですが少しでもお役に立てれば幸いです。
パンデミックによって外出も移動もできなくなり、オフィスは長期間閉鎖された結果、リモートワークという新しいビジネスモデルが勢いづきました。各企業は、働き方に関する古いルールブックを捨て、アウトソーシングを適宜有効活用するようになりました。まさに働き方のニューノーマルです。便利なリモートワークアプリも続々と登場し、リモートチームとの共同作業は以前より楽でストレスを感じず、スピード感もでるようになりました。ウクライナにおけるアウトソーシングの未来は明るいですが、次の事項については常に配慮すべきです。
●コスト重視から価値重視の開発
ウクライナのオフショア開発にも、安かろう悪かろうは当てはまります。低価格には気持ちが惹かれますが、注意してください。開発市場には活気があり、年々需要は増え、特に上級エンジニアを雇用する場合には、1年前と同じ給与では全く雇えません。縁あって、素晴らしいエンジニアや完璧な開発チームと出会えたら、今すぐ採用してください。明日になれば、他社が採用を決めているからです。
開発目標や内容にもよりますが、ウクライナのオフショア開発を活用しているIT企業の場合『コスト安よりも、価値の高い開発』を重視してエンジニアを選び、開発環境を作っています。どんなに安くても無価値なものだと意味がなく『価値ある開発に高いコストはつきもの』という思考です。
●徹底調査したうえでの信頼関係
優秀な開発会社やエンジニアであるほど、ネット上に様々な高評価なレビューがあります。そのようなレビューは無視できません。プロジェクトの数と範囲は、会社の熟練度を示す場合がありますので、ポートフォリオ(開発実績)もチェックが必要です。また、良い実績を持つオフショア開発チームの場合、以前のクライアントを公開しているケースもあり、以前のクライアントと連絡を取ることで、そのチームの評価を聞ける場合もあります。
仕事の事前準備の大切さを表す『段取り八分仕事二分』という格言のとおり、大切な開発プロジェクトを成功裏に終わらせるためには、チームプレーができ、個々の実力も申し分ない人材を集めてしっかりと取りまとめる準備が必要です。
また、一度決めて信用してからは、発注側と開発側という壁は取り除き、1つの共通目標を達成させるために相互信頼関係が重要になります。プロジェクトマネージャーの腕の見せ所と言えるでしょう。
●タイムゾーン
些細なことでもコミュニケーションをとるために、オフショア開発者と日本の本社(発注側)とのコアタイムが数時間でも重なるようにしてください。
●英語の技量
『通訳者がいれば、日本語と英語でも開発は進む』というのは稀で、開発環境としては最悪と言えます。一般的な通訳者はITの専門家や、プロジェクトの管理者ではないため、専門用語を理解して訳すことや、チームを管理してまとめることに長けていません。発注側も開発者も、しっかり伝わる英語で意思伝達できるとベストです。管理能力に長けた日本語対応のブリッジSEがウクライナ側にいると、これまでのミスコミュニケーションによる停滞が嘘だったかのようにしっかりと開発が進みます。
どこの国でも、オフショアソフトウェア開発協力の契約書にサインする前に、その国の法的側面について、法律家も交えて協議を重ねることが重要です。将来的に起こり得る潜在的な紛争をしっかりと回避するために、法律家は、オフショア開発とITに精通した、経験のある人物や会社を選んでください。
契約はどの法律で規定されるのか?
開発したソフトウェアの知的財産権は誰が所有するのか?
各当事者の責任範囲や責任限度額はどの程度か?
などなど、重要なことは多岐にわたります。
ウクライナはベルヌ条約に加盟しているため、ウクライナの作品には自動的に著作権保護が及んでいますが、念のため、契約書に著作権に関する条項を盛り込んでください。そして、ウクライナの開発チームが機密情報を安全に保管することを要求する条項も必ず入れてください。秘密保持契約書(NDA)や基本サービス契約書を結んでおくことも推奨します。
インターネット上にあるようなテンプレートは、細かい配慮に欠けておりいわゆる「ざる」ですので危険です。お勧めできません。
綿密に記されたMSA(Master Service Agreement)とそのカバーレターは、開発の取引成立を驚くほど早めることができます。たった1つの契約書が、ビジネスにとって貴重な資産になるか、それともたくさんの痛みと涙になるかは、あなた次第です。
例えば、どのような契約書を作成するのか? 下記は頻繁に発注される契約書の例です。
●ソフトウェア開発契約(ITアウトソーシング契約)
ウェブサイト、モバイルまたはウェブアプリケーションの開発に関する契約となります。当事者が技術的な課題を持ち、マイルストーンとそのコストについて合意している場合、固定価格形式とすることができます。また、フレキシブルな契約条件も可能です。ウクライナの居住者同士でも、外国人を含むものでも可能です。
●マスターサービス契約(MSA)
マスターサービス契約(MSA)は、度々、ソフトウェア開発契約も内包します。開発サービス、デザインサービス、セキュリティーサービスなど、さまざまなものが含まれます。マスターサービス契約には、タイム&マテリアル、専任チーム、固定価格という3つの附属書も作成し締結することが多いです。
●アウトスタッフ契約
これもソフトウェア開発契約の一種です。専属チーム契約と呼ぶこともできます。開発者は開発したソフトウェアに責任を持つのではなく、クライアントからのタスクを受けられるチームを持つことに責任を持ちます。著作権はクライアントに譲渡され、クライアントはチームを承認することができ、開発者は仕事量を分散させるためのマネージャーを持つことができるのが一般的です。
●開発者、デザイナー、マネージャーなど、チームとの契約
例えば、ウクライナの個人事業主(開発者、デザイナー、プロジェクトマネージャー、人事・営業担当者数名)と契約する場合には、各スペシャリストそれぞれと契約が必要です。知的財産の移転、守秘義務、競業避止義務などについても合意することが必要です。
●秘密保持契約(NDA)
誰にでもできるNDA。何が機密情報なのか、機密はどのように伝達されるのか、NDAの違反とは何か、罰則は何か、しっかりと明記しなければなりません。
●競業避止義務契約(NCA Non-Complete Agreement)
開発者が生涯、誰に対してもコードを書くことを禁止することはできませんが、論理と判例に裏打ちされた特定のカスタム制限は有効です。
●マーケティングサービスに関する契約
SMM、SEO、ASO(アプリストア最適化)、リファーラル、パートナーシップなど、色々な種類があります。マーケティングサービスに対する報酬の形式は、リードあたりの%、インプレッションに対する支払い、さらにはオーガニックトラフィックへのリンクなど、さまざまな場合があります。ソーシャルメディアプロモーションやブランド戦略の策定なども含まれます。カスタマイズは広範囲に渡ります。
●SLA(サービスレベル契約)
ITサポートサービスを提供するサービスに代表される契約形態です。サーバーのクラッシュや一般的なバグへの対応スピードなど、サポート条件が細かく規定されます。
●ライセンス契約
ITライセンスには、フォトストックの写真のライセンスから、大型IT製品の特定のソフトウェアのホワイトラベルソリューションまで、さまざまなものがあります。
●リクルート契約
ITチームに加わる新しい人材を見つけるリクルーターとの契約です。
以上が契約例です。
ソフトウェアの世界がますますグローバル化するにつれ、ウクライナのオフショア開発人材の活用は、”トレンド “から “ノーム “へと変化しています。企業は自社に必要なソフトウェア開発をオフショア化することで、運用コストの削減や雇用の柔軟性によって企業競争力を高め、スピードアップを実現しています。ウクライナをはじめとする先進的なオフショアソフトウェア市場の主要なトレンドについてご紹介します。
●AI人材への高い需要
AIトレンドは加速しています。Chat GPTやBard by GoogleのようなAI技術を活用しようとする企業が増えているため、AIやMLのスキルは世界市場で注目されるようになっています。大手ハイテク企業だけではなく、小売、製造、物流、金融などもAI導入が盛んです。中小やスタートアップまでも、自社サービスにAIを用い、何か面白いことをスタートしようと考えています。
AI技術を活用した開発をオフショア化することで、効率性や正確性の向上、顧客サービスの改善など、さまざまなメリットをもたらすと期待されています。AIで使われるプログラミング言語は、Python、C++、JavaScript、JAVA、R、Julia、Haskelなど複数あり、随時スキルのトレーニングを十分に受けるなどその過程はシンプルではありません。が、将来性を考えれば、努力に見合うものであることは明白です。また、本レポートの別項でお伝えしたとおり、ウクライナには、そのような言語のシニアエンジニアが大勢います。
先進的な技術を駆使してビジネスを展開しようとする企業が増えている中、ウクライナに限らず、AIやMLの専門家は今後も高い需要を維持し続けるでしょう。最近の報告書によると、AI分野の求人数は各種有資格者数の4倍以上となっています。この不足は、今後数年間も続くと予想されます。
補足しておきますと、AIと機械学習ソリューションが人気なのは、多くの企業が業務運用をできる限り自動化したいと考えているためです。
また、多くのスタートアップ企業は、AIや機械学習を活用して「採用ニーズ」を最適化しています。AIツールは自動的に、潜在的な候補者を特定し、その人物のスキルセットを評価するのに役立ちます。世界的に採用自動化ツールのニーズが今後も高まっていくでしょう。
●新天地(ラテンアメリカ、アフリカ)の開拓
オフショアソフトウェア開発の新しいホットスポットも誕生してきています。東欧やアジアなど以前から人気の高いオフショア開発地に加え、中南米(ブラジル、アルゼンチン、メキシコ、コロンビア)やアフリカは、新しい開発地として注目を集めています。特にアフリカは、実績や品質の意味でまだまだ評判は良くないですが、人件費も物価も安く、人口も増加していて、将来性を含めると魅力的な利点がいくつもあります。また、ウクライナの開発会社はラテンアメリカの開発会社と業務提携したり、買収したりする動きも出てきています。
●Web3トレンド
ブロックチェーン技術を活用したWeb3は、インターネットとの付き合い方に革命を起こそうとしています。読み書き可能なウェブ、暗号通貨、NFT、DAO、分散型金融へのアクセスを約束するこのブロックチェーンベースのウェブは、PCやスマートフォンがもたらした画期的な進歩をも超えるかもしれません。
Web3は、プロダクトチームにおける開発者の働き方を変えるかもしれません。無限の可能性を秘めたWeb3は私たちの働き方に革命を起こそうとしており、Web3の登場によって新しい世界でコーディングできるソフトウェア開発者の需要はさらに高まることになります。データのセキュリティやプライバシーの確保など、克服すべき課題はありますが、潜在的なメリットはあまりにも大きいと考えられています。
●コラボレーション(共同作業)の未来はリモート
リモートワークがより一般的になり、効率的になったことで、テクノロジー企業は場所に関係なくグローバルな人材を活用できるようになりました。自宅から数回クリックするだけで、チームミーティングができるようになったのは皆さんご存じの通りです。
テクノロジーによって、世界中の人々と数秒でつながることができるようになり、多様な視点を持ち寄り、従来の対面型では実現できなかった革新的なソリューションを実現することができるようになりました。
オフショアリングはコラボレーションの未来と言えるでしょう。物理的な境界線から離れ、アイデアが自由に飛び交い、生産性が向上していくことでしょう。
●オフショアパートナーは付加価値の高いサービスを提供する必要がある
かつて、オフショアソフトウェア開発会社は、高品質な開発者を顧客に提供することが仕事でした。しかし年々、クライアントのニーズは進化(変化)しています。優れたオフショア企業は、クライアントが最も効果的、低コスト、低リスクな方法でチームを成長させ、拡張するのを助ける、真の意味で価値あるサービスを提供しなければなりません。アジアよりも東欧での先端技術開発を選ぶ企業が増えているのは、そのためです。
これには、適切なスキルだけでなく、クライアントの文化にフィットする適切な気質を持つ開発者でチームを構築するためのカスタムリクルート、チームと継続的に対話し、離職を防ぐための人材管理部門、報酬やソフトウェア開発の幅広いトレンドに関する市場情報をクライアントに提供できるコンサルティング部門が含まれています。
●サイバーセキュリティは最優先課題
優れたソフトウェアを開発することは、プロダクトリーダーにとって常に重要な目標ですが、データセキュリティも同様に重要な課題となっています。顧客の中には、オフショア化によってデータ泥棒に狙われたり、企業秘密や中核的な知的財産が危険にさらされたりすることを心配する人もいます。
ウクライナは、サイバーセキュリティー人材が豊富で、昔から世界のハッカーランキングで高順位を占めています。そのうえ、2022年の2月24日にはじまったロシアによる侵略戦争(ハイブリッド戦争)により、ありとあらゆる場所にサイバー攻撃を仕掛けられてきており、サイバー防衛力や反撃力を実践経験を通じて高め続けています。アメリカ、イギリス、イスラエルと並ぶサイバーセキュリティー技術先進国と言えるでしょう。
ウクライナで、信頼できるオフショアリング・パートナーを見つけることができれば、オフショアソフトウェア開発に関連するセキュリティリスクを劇的に低減することができます。
●アジャイル(スピード重視)と開発とテンポの良いデプロイが常識化
スタートアップも、各企業も、それぞれの事業分野における競合他社を強く意識します。それに加え、テクノロジーのスピードは速く、ユーザーの利便性の追求も高く、現状維持では退化と同等になってしまうため、欧米企業は特に、スピード重視、小回り重視、適応性重視の開発方法をとります。日本の場合は、まだオフショア開発に不慣れなこと、信頼関係が築けていないこともあり、必ずしもスピード重視の開発はできておらず、今後の課題となってくるはずです。アジャイル型のオフショア開発に慣れ、上手に活用することで、費用対効果はますます高くなり、より多様な視点が集まるため、テンポよく製品やサービスや社内を改善していくことにつながります。
●郷に入っては郷に従え、餅は餅屋
オフショア開発国それぞれに、独自の法規制や税法、ビジネスを進めていく上での慣習があります。それらをすべて学習して把握し、リスクを取り除き、プレゼンスを高めていくことは時間がかかり過ぎで抜けも多く、効果的とは言えません。ウクライナのようなオフショア開発の先進国では「現地に詳しい戦略的なオフショアパートナー」を利用するのが正解です。
現地のオフショアパートナーを自社内の担当者のように起用することで、現地の優秀な法律顧問の採用と管理、各種契約書の作成や見直し、必要に応じて法人設立やオフィス管理、エンジニア・マネージャー・ブリッジSE・人事・総務・サポートスタッフの採用や管理や給与計算、税金管理などなど、かなり面倒で時間を取られがちな「設立、人事、管理、法律」方面の諸問題から解放されて、スピードアップにつながります。
以上、簡単でしたが、ウクライナと世界のオフショアソフトウェア開発動向を8つご紹介しました。あくまで動向ですから、どのようにオフショア開発していくかは、貴社次第です。2000年代初頭からの先駆者たちは、これまで多くの地雷を踏んできたため、オフショアリングで陥りがちな失敗を回避するための方法が自ずと身についています。ポジティブを高め、ネガティブを取り除き、貴社が抱えている課題に対して、ウクライナのオフショア開発が効果的に役立つとうれしく思います。
私たちは、あなたの夢のチーム作りをお手伝いします。 設立、人事、管理、法律の問題から解放されたいのであれば、 わたしたちにお任せください。
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