2024年に投資価値があるウクライナスタートアップを一挙紹介

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2024年注目すべき ウクライナスタートアップ

今年も引き続き、ウクライナスタートアップに注目していきます。2023年はIT業界にとっての冬で、多くのビッグテックでも大幅な人員削減が行われた年でしたが、今年はAIの発展もあり、勢いのあるスタートアップをしばしば目にします。2023年、IT業界の冬でも資金調達に成功したウクライナのスタートアップについては、別記事をご覧ください。それらのスタートアップも、今年2024年に大きく成長する可能性が大です。

本記事では、Forbes UAの記事も参考に、2024年ウクライナで最も有望なスタートアップ(新興企業)25~30社を選出していく予定です。内情としては、ウクライナのスタートアップ2500社程度から、300社程度の有名プロジェクトに絞り込み、そこから更に、過去100万ドルの投資を集めた実績、年間売上が100万ドル以上、評価額が300万ドル以上に達するものにフィルタをかけて削ぎ落しています。そして、そこから更に、アナリスト、経営者、投資ファンドの専門家で構成される審査委員会が、様々な指標をもとに最終候補25~30社を選出していきます。

また、RozetkaMAKEUPのような現物商品を販売するプラット フォーム、過去に買収された会社、アウトソーシング、人材派遣、ターンキー開発事業、親会社の社内ニーズにフォーカスしたプロジェクト、すでに10億ドル以上の評価額が確定した会社、DefenceTech(防衛技術に関する)プロジェクト、2022年2月24日以降も侵略国家(ロシア)と取引を継続している会社は、リストに含めません。

別途、ウクライナを代表するスタートアップや、ユニコーン情報も投資や協業のご参考に!

2024年、注目のウクライナスタートアップ

Ahrefs 『Googleの対抗馬となる人工知能検索エンジン』

Ahrefs(エイチレフス)は、検索トラフィックを増やすためのサービスです。2010年に設立され、2023年の時点で評価額は5億~7億ドルです。Ahrefs創業者兼CEOのDmitry Gerasimenko(ドミトリー・ゲラシメンコ)は、ウクライナ・チェルニーヒウ州ニジィン市の出身で、キーウのKPIでプログラミングを学びました。ドミトリー氏は、外部からの投資を受けずにスタートアップを開発し、結果は上々。2023年のAhrefsは、1億2,000万ドルの収益を上げ、7万人の有料会員を抱える企業になっています。3分の1が米国、同数が欧州、残りは世界中に散らばっています。日本語版のサイトもあります。120人のチームも多様化しており、本社シンガポール、ウクライナ、その他20数カ国で事業を展開しています。

ドミトリー氏の野望は、グーグルやマイクロソフトの対抗馬を作ることです。2023年、彼は人工知能検索エンジンYep」を立ち上げ、6000万ドルを投資しました。また、検索データの更新を高速化するスーパーコンピューターの構築も計画しています。詳細は不明ですが、ドミトリー氏は2023年の夏にこのプロジェクトに必要な30台近い希少なNvidiaサーバーを搭載した写真をソーシャルネットワークXに投稿しました。彼らの課題は優秀なプログラマーを1人でも多く獲得することです。AhrefsのFacebookInstagramLinkedinYouTubeもご覧ください。

一般的なスタートアップとは異なり、Ahrefsは自ら投資できる資金力を持っています。しかし、YepをGoogleの対抗馬に育て上げていくためには、資金と優秀なプログラマーを潤沢にすることが不可避であり、且つ、現在の日本市場進出に必ずしも満足しているわけではないため、今後、新たな日本企業との協働・パートナー展開も十分に考えられます。

AiSDR 『生成AIによる営業ツール』

AiSDRは、生成AIを使った営業自動化を専門とするウクライナのスタートアップで、2023年に300万ドルの資金を調達し、評価額は2000万ドルです。投資家には、シリコンバレー最大のビジネス・インキュベーターのひとつであるY Combinatorが含まれており、注目されています。出資者は、アメリカのY CombinatorRebel FundPioneer FundBluepointe Ventures、ウクライナのSID Venture PartnersFlyer One VenturesSigma Software Labs、イギリスのSCM AdvisorsDST GlobalのマネージングパートナーであるRahul MehtaRipplingのCOOであるMatt McInnis、FigmaとNotionの投資家であるTerrence Rohan408 VenturesのマネージングパートナーであるNick Belogorskyです。

AiSDRは、パーソナライズされたEメール広告キャンペーンを作成し、潜在顧客とのミーティングを組織するAIベースのツールを開発しています。今回の資金は、同サービスの新機能の開発に充てらており、開発大手のSigma Software がサポートしています。現在、スタートアップのチームは、創業者のYuriyとOleg Zarembaを含む5人で構成されています。現在、AiSDRの月間売上成長率は65%、顧客数は45社、そのほとんどは米国のB2Bビジネスです。AiSDRを利用したクライアントは、ゴールドマン・サックス、バンク・オブ・アメリカ、ナイキ、ペプシコ、フォルクスワーゲン・アウディ・グループなどの企業に手紙を書き、返事を受け取ったそうです。

AiSDRは、2023年8月、ユーリとオレグのザレンバ兄弟によって設立されました。2017年、彼らは法律文書の自動化サービスを提供するスタートアップ、AXDRAFTを設立し、2019年4月、AXDRAFTは110万ドルの資金調達ラウンドに成功し、このラウンドでの評価額は1,000万ドルでした。2020年12月、AXDRAFTは国際的なリーガルテック企業Onitに売却され、売却後もユーリー・ザレンバはゼネラルマネージャーとしてスタートアップに残っていました。その後、兄弟は新たなプロジェクトAiSDRを立ち上げ、今に至ります。 AiSDRの設立はサンフランシスコ、チームはウクライナのリヴィウにいます。FacebookLinkedinもご覧ください。

Datrics『ノーコードプラットフォーム』

Datricsは、2020年に設立されたウクライナのスタートアップで、企業(例えばFinTech)がコードを書かずに機械学習モデルを構築し、展開することを支援するノーコード・プラットフォームです。創業者は、Anton VaisburdKyrylo KirikovVolodymyr Sofinskyi、これまでの投資額は250万ドル、評価額は2000~5000万ドルです。主要投資家は、Y CombinatorAltaIR CapitalQPDigitalNEARです。FacebookLinkedinもご覧ください。

CARGOFY『トラック運転手向けアプリ』

CARGOFYは、トラック運転手向けに、注文を見つけるためのアプリを開発しています。Cargofyは、2017年に設立されたウクライナのスタートアップで、創設者はStakh Wozniak、Dimitris Alexiou、Oleksandr Kovalchuk、主な投資家は、Quake Capital, Flyer One Ventures, Superangel, Hype Venturesです。これまでの投資額は300万ドルで、評価額は3200~4000万ドルです。現在はアメリカに本部を置きます。

Cargofyは、自営業のドライバー、運送会社、物流業者が所有する4万台以上のトラックのデータベースを持っており、カーゴフィーの共同創業者でCEOのスタック・ウォズニアックは「私たちは戦前の成長率に戻ることができた」と述べています。

2022年、ブローカーを通じて注文を集めたこのプラットフォームの売上は260万ドル、2023年は最初の10ヶ月で320万ドルを超えています。2023年8月、同社は新たなプラットフォームを追加し、仲介業者をバイパスして輸送を注文できるようにしました。2024年の目標は、規模拡大のための投資で1500万ドルを調達し、年間売上高を1000万ドルに増やすことです。FacebookInstagramもご覧ください。

Deus Robotics『倉庫ロボット』

Deus Roboticsは、倉庫ロボットを研究開発するウクライナキーウにあるスタートアップです。Deus Roboticsは、2023年、ウクライナのベンチャーキャピタルファンドSMRKから150万ドルを調達し、これまでの合計の投資額は360万ドルに達しました。評価額は1500万ドルです。創業者はPavlo PikulinIryna Legkobytです。Deus Roboticsは、ウクライナ最大の運送会社NovaPoshtaと契約を結んでいます。現在Deus Roboticsは、SMRK(投資家)の要望により、米国市場をターゲットにしています。SMRKのポートフォリオで最も成功しているAjax Systemと同様に米国で成功させる術を知っているようです。競合は、Amazon Robotics、AliExpressの倉庫にサービスを提供する中国のQuicktron、DHLのパートナーであるLocus Roboticsが挙げられます。詳しくは、IT業界にとって苦難の年であった2023年に資金調達できたスタートアップのページをご覧ください。

Kurs Orbital 『宇宙ドッキングサービス』

Kurs Orbitalは、ウクライナ国家宇宙庁の元長官ウラジーミル・ウソフが率いる宇宙衛星整備テクノロジーのスタートアップです。2024年のシードラウンドで400万ドルを調達しました。このラウンドは、有望なテクノロジー新興企業に投資するヨーロッパのOTB Venturesが主導しました。また、Credo VenturesGalaxiaCDP Venture CapitalObloo Venturesが設立したファンド)、In-Q-TelInovoもこの資金調達に参加しています。

Kurs Orbitalは、この資金で現在11人のチームを拡大し、軌道上での衛星メンテナンス技術を推進する計画です。イタリアのトリノとウクライナのキーウを拠点とするKurs Orbital社は、2025年に最初のARCapモジュールを宇宙に打ち上げる計画ですが、最初のミッションの詳細については明らかにしていません。

ウクライナの宇宙産業のベテランによって設立されたKurs Orbital社は、衛星メンテナンス技術の商業化を加速させるためにこの資金を使います。Kurs Orbitalの主要製品はARCapモジュールで、あらゆる宇宙船に組み込むことができ、このモジュールは軌道上の衛星に接近し、ドッキングすることができます。衛星に既存の機器を必要としないため、メンテナンスのための普遍的なソリューションとなります。ARCapは、燃料レベルが極端に低下した衛星、故障した機体、あるいはスペースデブリなど、あらゆる「手に負えない」物体を扱うことができます。この技術は、ソ連時代に宇宙船とミール・ステーションをドッキングさせるために開発されたクルス・ランデブー・システムの経験に基づいています。YouTube動画をご覧ください。

創業2年のこの企業は、衛星の移設や点検、軌道離脱、スペースデブリの除去といった機能を実現することで、宇宙における人類の活動の新時代を切り開くことを目指しています。Kurs Orbitalは、これらのサービスを自社で提供する計画はなく、その代わりに、あらゆる宇宙船バスに組み込むことができる「ARCap」モジュールを通じて、ランデブーとドッキング技術の主要サプライヤーになることを目指しています。

「現在、既製のランデブー・ドッキング技術は存在しないため、衛星サービスやロジスティクス・ミッションを提供したい企業は、この技術を独自に開発しなければならず、これには何年にも渡るミッション、人材、資金が必要です。対照的に、私たちのモジュールは、そのような企業が市場に参入するのをより早く、低コストで実現させます」とCEOのVolodymyr Usov氏は説明しています。また、「私たちのモジュールは、燃料切れや不具合のある衛星、スペースデブリなど、どのような種類の非協力的なターゲットにも対応できるため、顧客の宇宙船にハードウェアを事前に取り付ける必要はありません。私たちは、高性能で柔軟なシステムを市場に提供することを目標としており、これにより、宇宙での運用においても地上からの制御においても、サービス宇宙船を完全に自律させることができます」と付け加えています。

軌道上サービスは、高コストで注目を集めた衛星ミッションの失敗を受け、ここ数ヶ月で注目を集めています。最近の例としては、ViaSat社のViaSat-3静止衛星が挙げられます。ViaSat-3はアンテナ展開中に問題が発生し、予定していた容量の多くを失いました。同社はその後、同衛星に対して4億2100万ドルの保険金を請求しています。通常、衛星運用会社は、衛星が退役する何ヶ月も前に、宇宙船をいわゆる「墓場軌道」に投入しなければならないですが、軌道離脱サービスが可能になれば、事業者は宇宙船の耐用年数を1日でも長く延ばすことができるようになります。FacebookLinkedinもご覧ください。

Competera 『価格最適化プラットフォーム』

Competeraは、小売業者やブランド向けに最適な価格をリアルタイムで設定することで顧客からの信頼を高めることができるAIアルゴリズムとプラットフォームを開発しています。2024年、米国市場への参入向けに300万ドルの投資を受けました。このラウンドの投資家には、ICU VENTURESSTRATMINDSFlyer One VenturesVerras CapitalSMRK Fundが含まれます。Competeraは、アレクサンダー・ガルキンアレクサンダー・サゾノフによって2018年に設立されました。Competeraのプラットフォームのアルゴリズムは、インフレ、季節性、価格弾力性、競合他社の行動、プロモーションの影響など20以上の要素を考慮し、最適な価格を生成するためにディープラーニング技術を使用しています。FacebookInstagramもご覧ください。

Choice QR『飲食店向けプラットフォーム』

Choice QRは、ウクライナのスタートアップで、レストラン、バー、ホテル向けB2B SaaSプラットフォームです。Choice QRは、2024年250万ドルの新たな投資を調達しました。投資総額は410万ドル、評価額は1500~2000万ドルです。ます。今回のレイトシードラウンドのメイン投資家は、プラハのベンチャーキャピタルファンド、J&Tベンチャーズです。これまでの投資家であるReflex CapitalPresto Venturesも引き続き投資ラウンドに参加しました。資金は、中東欧の4つの新市場(カザフスタン、グルジア、ハンガリー、ルーマニア)へのサービス拡大に使われます。また、ポーランド、チェコ、スロバキア、エストニア、ラトビア、ウクライナを含む既存の強力な市場での成長を継続するためにも使われます。過去1年間で、同社は300%の成長を遂げ、現在8カ国で事業を展開しています。創設者は、Volodymyr Olyanitskyiと幼馴染で連続起業家のOleksiy Ilyashです。ウクライナのチームは60人、全体で120人でで構成されています。

Choice QRは、レストラン、バー、カフェにとって必要なビジネスツール(ウェブサイト、アプリ、QR決済付きオンラインメニュー、テーブル予約、CRMシステムなど)のすべてを簡単にセットアップできる、オンライン定額制のB2Bサービスです。私達もウクライナのレストランやカフェで、知らず知らずのうちにこのアプリから商品を選んだり、支払いしたりしており、ストレスフリーで大変便利なアプリです。そして、このプラットフォームは、Wolt、Bolt、Glovo、Foodora、Uber Eatsといった人気のPOSシステムやマーケットプレイスともシームレスに統合できます。

Choice QRの利用料は月額23ユーロから。レストランは無料トライアル期間を利用して、ソリューションの機能を試すこともできます。ChoiceQRによると、現在世界中で16,000以上のレストランと提携しており、5,000の顧客が積極的にこのプラットフォームを利用しているそうです。現在、同社のサブスクリプションからの月間経常収益(MRR)は15万ドルを超えており、2024年末までにこの数字を45万ドルまで増やす計画です。Choice QRは、2024年内にCEE地域、今後3年以内にヨーロッパ全域でトップクラスのレストランソリューションになることを目指しています。FacebookInstagramもご覧ください。

Arkis『暗号の証券会社』

Arkisは、ウクライナ人によって設立された分散型金融(DeFi)の仲介(証券会社)のスタートアップです。Arkisは、2024年のプレシードラウンドで投資家グループから220万ドルを調達しました。これは同スタートアップの共同創業者であるSergey Tishchenko(セルゲイ・ティシェンコ)CEOがリンクトインで発表しています。Arkisは、暗号業界に特化したファンドgumi Cryptos Capitalが主導するプレシードラウンドで220万ドルを調達しました。このラウンドには、G1 VenturesBlocklabsRoosh Venturesからの投資も含まれています。Arkisは、分散型金融(DeFi)分野のヘッジファンドに無担保ローン、資産評価、特別なクレジットポジション、オンライン証拠金口座を提供します。Arkisは、DeFi空間における企業の借り手と貸し手の間の完璧な相互作用を構築しており、Arkisの技術の基盤であるスマートコントラクトは、暗号資産債務取引に新たなレベルの透明性、安全性、効率性を提供しています。

Arkisは、2022年9月にウクライナ人のSergey Tishchenko(セルゲイ・ティシェンコ)とAlexander Proskurin(アレクサンダー・プロスクーリン)によってロンドンに設立されました。2人とも学術数学のバックグラウンドを持ち、伝統的な金融の分野で長年の経験を積んでいます。Arkisは、分散型金融市場で事業を展開し、顧客がオンチェーン暗号通貨取引で資金を調達できるようにしています。この新興企業は、分散型プライム・ブローカーとして機能し、ネットワーク内のアセット・マネージャーやトレーダーに資本を提供する、レバレッジの効いた担保不足のプロトコルを開発しています。Arkisは、ユーザーが借り入れ、取引を実行し、他のプラットフォームへの送金なしに借り入れた資金を返済することを可能にします。PitchBookによると、Arkisは2023年5月に最初の投資を調達しています。

Mosqitterエコ蚊対策

Mosqitterは、ソフトウェア駆動の蚊取り器で、化学薬品を使わずに人々を蚊から守る革新的なターンキーソリューションを提供しています。Mosqitterは、ホテル、レストラン、遊園地などで使用されており、2023年9月にインドで開催されたG20サミット経済協力フォーラムでは、20台のMosqitterが世界の国家君主達(岸田首相、モディ首相、バイデン大統領他)を保護しました。Mosqitterは、アプリ上から器具のコントロールが可能で価格は1999ドル。製造はウクライナにて行われており、ヨーロッパやインド、アフリカなどで、2023年9月までに1000台を販売しています。

Mosqitterは、屋外での使用を考慮した設計で、最大2エーカー(およそ8000平米、2400坪)の面積をカバーできます。Mosqitterは、蚊が媒介する病気をターゲットにすることで、公衆衛生に大きな影響を与えています。Mosqitterは、効果的な屋外トラップとして機能し、匂い、熱、紫外線、二酸化炭素を組み合わせて蚊をおびき寄せています。ひとたび蚊が近づくと、これらの害虫は効率的に駆除されます。このアプローチによって蚊の繁殖サイクルが阻害され、マラリア、デング熱、ジカ熱などの病気の蔓延が抑えられます。Mosqitterは、予防に重点を置くことで、致命的な病気との戦いに積極的なソリューションを提供し、年間数十万人の命を救う可能性があると言われています。MosqitterのプレゼンテーションYouTube動画もご覧ください。

Mosqitterは、Anastasiia Romanova(アナスタシア・ロマノヴァ)とOlga Diachuk(オルガ・ディアチュク)の2人の女性実業家により2019年に設立されたウクライナのスタートアップ企業です。オフィスをウクライナ・キーウとアメリカにおいています。2020年にはUkraine Startup Fund(USF)のピッチに参加し、5万ドルを獲得したほか、2023年にはウクライナカトリック大学のベンチャーファンドであるAngel One Fundから20万ドルの資金を獲得しています。フォーブスUAによると、Mosquitterは、2024年初めまでに累計98万ドルの資金調達に成功しました。CEOのアナスタシアは、「ラウンド終了までに、これとほぼ同額を調達する予定であり、これらの資金を生かし、アメリカ市場への参入や、新製品Mosquitter miniの発売、海外での生産の開始を今後の目標としている」と述べています。

Respeecher 『AIでオリジナルと見分けがつかない音声』

Respeecherは、AIを活用した音声技術の最先端にいます。2018年にウクライナの首都キーウで設立されたこの革新的なスタートアップは、個人の声を別の人の声に変えることができる独自のAIソリューションを開発しました。Respeecherは、コンテンツ・クリエーターのためのボイス・クローニング・ソフトウェアで、オリジナルと見分けがつかない音声を作成します。Respeecherは、スター・ウォーズのダース・ベイダーの声を再現したことで注目され、10人の投資家から150万ドルの資金を得ることに成功しました。Respeecherは、この技術をグローバルに、多用途で拡大することを目指しており、彼らのソリューションは、エンターテインメントから個人的なコミュニケーションまで、幅広い応用が可能であり、音声変換の近未来を垣間見ることができます。例えば、言語障害を持つ患者の声の回復を支援したり、喉頭がん患者のより良い暮らしを支援するテクノロジーとしても期待されています。

Respeecherへの投資は、SID Venture Partnersff Venture CapitalAcrobator VenturesActivat VC (旧 Smart Investments)、Network VC Syndicate FundBas Godskaなどが行っています。また、TinyDataのサポートを受けています。CEOは、Alex Serdiukさんです。

RespeecherのケーススタディFacebookLinkedinもご覧ください。Crunchbaseもお忘れなく!

Reface 『AIで顔を変える、世界2億5000万ダウンロードアプリ』

Refaceは、世界で2億5000万ダウンロードを達成し、米APPストアで1位を獲得した、動画や写真の顔を置き換え、ナレーションを提供し、複数の自撮り写真からAIアバターを作成するモバイルアプリです。Refaceの前身となる会社の設立は2011年で、AIが主流になる前からGen AIに携わってきていました。Refaceのチームは、常に大胆な目標と情熱的な挑戦を持っており、根底の強みは技術力(ITエンジニアの開発力)です。Refaceは、これまでに5つのVCや投資家から550万ドルを資金調達しています。LinkedinYouTubeもご覧ください。

Refaceは、Refaceアプリにとどまらず、関連した様々な開発を行っています。新しいアプリReviveは、写真を即座に編集してアニメーション化できる、モバイル画像アニメーションアプリです。Restyleは、ユーザーが画像やビデオのスタイルを変更できるモバイルアプリケーションです。Unboringは、エンターテイメントコンテンツを素早く簡単に作成するための人工知能ベースのウェブプラットフォームです。Memometアプリは、親ウクライナのミームを作成するAIエディタとして機能するモバイルアプリケーションです。このように様々なアプリ開発を続けています。

見方を変えると、2億5000万ダウンロードしながらも、まだユニコーン入りしていないため、現在の投資家や経営者にしか分からない、何かとても大きな目標や課題などを抱えている可能性もあります。

Fairo 『財務の簡素化アプリ』

Fairoは、2019年に設立されたウクライナのスタートアップで、現在はキエフ市に拠点を置いています。同社は、事業主や自営業者向けに、税務申告書の管理、自動会計サービス、銀行サービスへのアクセスを可能にするアプリを提供しています。このアプリを使用すると、ビジネスオーナーは財務上の責任を1か所で処理できます。

Fairoは、2022年8月、1回目の資金調達ラウンドでライファイゼン銀行インターナショナル(Raiffeisen Bank International)から200万ユーロを調達しました。アプリのリーチとテクノロジーの改善を行う計画です。

詳しくは、FacebookLinkedinCrunchbaceもご覧ください。

ZibraAI 『ディープテックのスタートアップ』

ZibraAIは、2021年に設立された、ウクライナのキエフに本社を置くディープテックのスタートアップです。分野としては、3Dテクノロジー、人工知能、機械学習、ビデオゲームになります。ZibraAIは、仮想環境におけるAI生成アセットのプラットフォームを提供し、インタラクティブVFXと3Dアセット開発のためのジェネレーティブAIでコンテンツ制作を簡素化します。ZibraAIの主力製品はZibra Effectsで、ゲーム開発、メタバース、その他の関連分野における3Dリソースや視覚効果の作成を自動化します。創業者はDen Dmytrenko, Oleksandr Petrenko, Vladyslav Zavadskyiで、チームは25人ほどです。全世界で9万人がZibraAIのテクノロジーを利用しています。

ZibraAIは、2回のラウンドで戦時下にも関わらず合計250万ドルの資金調達をしています。アンドリーセン・ホロウィッツa16z)が立ち上げたSpeedrunアクセラレーターから50万ドルを調達しています。これは、同アクセラレーターへのスタートアップとして初の参加です。興味深いことに、Zibra AIは、同プログラムに採択され資金提供を受けた32社の最終候補者の中で、中東欧諸国から唯一の企業でした。応募総数は1600社です。資金調達状況はコンバーチブルノートで、その他の投資家は、SandBoxのSebastien BorgetSID Venture PartnersAll TurtlesNetwork VC Syndicate FundGismartです。業界の有識者から期待されていることがうかがえます。

FacebookLinkedinCrunchbaseもご覧ください。

BetterMe『世界1億5000万ダウンロードのヘルスケアアプリ』

BetterMe(ベターミー)」はウクライナ発、ヘルスコーチングのスタートアップ企業で、2016年に設立されました。2024年現在従業員数は300名以上であり、キーウにメインオフィスを構えています。全世界で1億5000万のダウンロードを達成しており、ユーザーの半分はアメリカ、続いて中国、英国です。アクティブユーザーは月間500~700万人ほどとされています。CEOを務めるのはヴィクトリア・レパ(Viktoriia Repa)氏であり、Instagramのフォロワーは400万人を超えており、2020年にはForbes Ukraine 30 Under 30に選ばれています。BetterMeは2022年には、The Europas Awards 2022のヘルストック部門にてthe hottest startup 2022を受賞しています。Instagramもご覧ください。BetterMeについての詳しい情報はこちらをご覧ください。

Creatioは、『コードなし開発』

Creatioは、コードなしで開発できるワークフローとCRMを自動化するソフトウェアの世界的なベンダーです。Creatioは、マサチューセッツ州ボストンに本社を置き、世界5つの地域にオフィスを構えています。Creatioの創設者兼CEOはキャサリン・コステレバ。2002年に設立され、世界中で600人の従業員を擁するチームとなり、真の市場リーダーとなっています。近年、米国、西ヨーロッパ、アジア全域で600を超えるパートナー、顧客ベースは110か国の1,300を超えます。高成長IT企業に投資する米国のVolition Capitalと、2024年2月に日本のJICAもLP投資したウクライナのHorizo​​n Capitalからの投資を呼び込むことで成長軌道を加速するCreatioは通算6800万ドルの資金調達を行っています。今後の焦点は、米国を含む1,870億ドルの世界市場での地位を拡大することです。詳しくはウクライナスタートアップ総集編をご覧ください。

Awesomic『企業とクリエーターを結ぶ雇用システム』

Awesomicは、信頼できるデザイナーと企業をつなぐプラットフォームを開発するウクライナのスタートアップです。Awesomicは、2021年に200万ドル、2023年に80万ドル、合計280万ドルの投資を調達し、評価額は3000~5000 万ドルです。投資家は、Y Combinatorのビジネスアクセラレーター、Flyer One VenturesSID Venture Partners、投資会社の10x Value PartnersPretiosumが含まれます。 Awesomic について詳しくは、2023年に資金調達に成功したスタートアップの記事をご覧ください。

DressX『デジタルファッション小売り』

DressXは、アメリカのロサンゼルスとウクライナのキーウを拠点とするデジタルファッション小売(ファッションテクノロジー企業)です。2023年3月のシリーズA資金調達ラウンドで1500万ドルを調達し、これまでの合計は1920万ドルに達し、評価額は5000万~1億ドルです。2023年のラウンドはGreenfield Capitalが主導しました。2023年9月にはディーゼルとの独占コレクションMeta Avatars Storeで発表し、2023年10月には、日本の株式会社アイスリーデザイン日本国内における独占契約を結んでいます。

詳しくは、2023年に資金調達に成功したウクライナスタートアップのページをご覧ください。

Elai『AIビデオ生成』

Elaiは、テキストから動画を生成するトップクラスのAIビデオジェネレーターで、個人がマイクを使わずに一流のビデオを制作することを可能にします。創業者はVitaly RomanchenkoOleksandr Uspenskyiで、これまでの投資額は420,000ドルです。アメリカとウクライナが拠点です。コンピュータービジョンとLLM (Large Language Model) テクノロジーは、まだまだ始まったばかり。あと2年もすれば、人は、生身の人間とのコミュニケーションと、デジタルコピー人間とのコミュニケーションと、その違いに気付かなくなるだろうと先駆者らは述べています。例えば『ウクライナのキーウにある私のレストランのプロモーションビデオを作って』と指示を出せば、AIが自動的に、しかも高精度な広告動画を制作してくれる時代がくるということになります。勿論チャットGPTなどとも連携でき、AIがトレーニングを積めば積むほど、言葉も映像も表現も説得力も、その精度は格段に向上していきます。日本人向けの解説ページも見つけましたのでご紹介します。YouTubeの動画やFacebookもご覧ください。

下記からは、期待したいスタートアップですが、新しい情報を収集中です。

FixIQ 自動車サービス工場向けの業務改善アプリ

FixIQは、2020年11月にウクライナの首都キーウに設立されたスタートアップです。2022年末までに100万ドルの資金調達を終えています。FixIQは、車の所有者とサービスプロバイダー、銀行、保険、部品販売業者をつなぐ先進的なプラットフォームです。例えば、自動車修理工場、洗車場、タイヤ屋さんなども適しています。ユーザーフレンドリーなウェブアプリとモバイルアプリにより、予約、コミュニケーション、サービス履歴の保存を簡素化し、中小規模のサービス事業者が市場を拡大できるようにします。創業者はOleksii Rudyiです。FacebookInstagramCrunchbaseももご覧ください。

Harmix AIベースの音楽検索

Harmixは、2018年1月にウクライナのキエフで設立されたスタートアップです。Harmixは、動画に適した音楽を自動的に選択(検索)するAIベースのサービスを提供するスタートアップです。音楽検索のイノベーションを目指し、プロダクションミュージック、テレビ・映画制作、レコード会社、出版社向けに技術をカスタマイズしています。また、HarmixはサンフランシスコのTechCrunch DisruptとトロントのCollisionで紹介されました。ロサンゼルスのTechstars Music Acceleratorは、Harmixを2022年の新興企業トップ40にランクインさせています。2023年初め、カナダの投資ファンドから50万ドルを調達しています。FacebookLinkedinもご覧ください。

AllpassAI 顧客認証ソリューション

AllpassAIは、2020年にウクライナの首都キーウで設立されたスタートアップです。顧客認証ソリューションに特化したスタートアップで、ビデオ認証、3D活性検出、2ファクター認証、住所認証などの高度なサービスを提供し、企業にとってシームレスで安全な認証プロセスを実現しています。創業者は、Denys Galenko, Viktor Plotnikovです。2023年に30万ドルの資金調達を行いました。投資家は、Mastercard Start Path, Ukrainian Startup Fund, Czysta3.vcです。Linkedinもご覧ください。

Pleso オンライン心理療法(セラピー)

Plesoは、2021年1月に設立されたウクライナキーウのスタートアップです。分野としては、ヘルスケア、治療法、ウェルネスで、2022年の3月にGoogle for Startupsから10万ドルの資金調達をしています。Plesoは、検証済みのセラピストと1対1のセッションを提供する、オンライン管理型のメンタルヘルス・マーケットプレイスです。Plesoは、顧客とセラピストから複数の自己評価ポイント、さらに過去のデータを収集し、最適なセラピストとユーザーをマッチングすることで、不安のないサービスを提供しています。Plesoは戦争で傷ついたウクライナ人の支援に力を入れています。創業者は、Oleksandr BondarievAnna Lissovaです。InstagramLinkedinもご覧ください。

Zeeks オンラインカジノの広告

Zeeksは、2018年に設立されたウクライナのスタートアップで、キエフに拠点を置いています。Zeeksは、iGaming(オンライン上で賭けが行えるゲーム)の広告宣伝、WEBサイトやシステムの構築し、例えば、リアルマネーを使用したライブカジノゲーム、オンラインスロットゲーム、スポーツベッティングなどの企業をサポートしています。iGamingの市場規模が拡大するにつれ、iGamingに関連するスタートアップ企業も勢いを増しています。Zeeksは創業以来、1回のスタートアップ資金調達ラウンドを行っており、Netsolid investmentsから不明額の資金を調達しています。

随時、2024年に注目されるウクライナのスタートアップの調査結果を掲載していきます!

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