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『今、ウクライナに行けるの?』
はい。ボリスジョンソンやバイデンやショーンペンやデヴィ夫人もキーウを訪れているとおり、ウクライナを訪問することは可能です。ウクライナの国際空港(キーウ周辺のボリスポリ空港を含むすべての空港)は閉鎖されておりますので、隣国ポーランドからのウクライナ入りが一般的です。がしかし、今は、相当な用事があったとしても、ウクライナを訪れるべきではないです。日本の外務省も当然、邦人のウクライナ入りは認めません。危険が多く、それを回避する術はなく、助けてくれる機関もありません。まずは、ウクライナと世界に平穏と平和が訪れるのを待ち、その後にウクライナにお越しいただくと良いでしょう。
ただそれでも、「どうしてもウクライナ入国方法が知りたい!」「ウクライナに入国しなければならない!」という日本人のために、下記で詳しく解説します。
先述のとおり、『戦時下でもウクライナに行けるの?』 このような声が、私たちJoinJapanには多く寄せられています。 結論から申しますと、現在でもウクライナへ入国することはできます。しかしながら入国時には考慮すべき点が多々ありますので、ウクライナへの入国方法についてQ&A形式にて完全解説していきます。(注:本記事の情報は2023年10月10日時点でのものです)
ビザは必要ありません。日本国籍の方はビザなしでウクライナに入国することができます。短期滞在(就労や留学などを除く)を目的としてウクライナに入国する場合、日本国籍の方はビザなし(無査証)入国が認められています。滞在可能期間は180日間のうち最大90日間です(以上、ウクライナ外務省のページより)。
なお、新型コロナウイルス(COVID-19)の検疫措置はすでにウクライナ国内では完全に廃止されており、入国時にPCR検査の陰性証明書などを求められることはありません。 また、現時点(2023年10月時点)でウクライナ入国時に海外旅行保険への加入は必須ではなく、入国時に保険契約書などの提出を求められることはありません。
現在、日本の外務省が発表する海外安全情報によると、ウクライナ全土において レベル4:退避してください。渡航は止めてください。(退避勧告)の危険情報が発令されています。
キーウ(キエフ)にある日本大使館は2022年10月に再開されましたが、最小限の職員数での勤務となっており、領事業務は行われていません。
2022年2月24日以降2023年10月時点の戦時下(戒厳令下)においては、空路(飛行機)でのウクライナ入国はできません。 ロシアによるウクライナへの大規模侵攻以降、ウクライナ全土で旅客航空便の飛行は取り止めとなっており、現在もそれが続いています。
ロシアによるウクライナへのミサイルやドローンでの攻撃が続く他、ウクライナ全土の戒厳令が続く現状では、航空便の再開がいつになるかは未だ見通せません。もちろん平時においては多くの国際便がウクライナを訪れます。
上記flightrader24のサイトを見ても、ウクライナ上空を飛ぶ飛行機は1機もありません。
ウクライナの周辺諸国から国際列車を使い、ウクライナに入国することができます。電車でウクライナに入国する場合、バスの場合と比べて国境検査(出入国検査)にかかる時間が安定しています。大体2時間ほどで国境を越えることができ、列車の時刻表通りの運行が期待できます。
ウクライナ行きの列車としては、ポーランド発のものが一番本数が多く、よく利用されています。
ポーランド東部のウクライナとの国境に近い都市であるヘウムまたはプシェミシルから出発する列車のチケットを取るのが、ウクライナに入国する最も現実的かつ一般的な方法です。これらのチケットは繁忙期を除き、出発日の比較的直前でも取れるチケットです。
また10月15日から運行開始されるワルシャワ発ラーヴァ・ルーシカ(Rava-Ruska)行きもおすすめです。ラーヴァ・ルーシカはポーランド国境沿いのウクライナの人口8千人ほどの町です。ラーヴァ・ルーシカには午前5時15分に着きますが、それから1時間後にリヴィウ行きの電車が出ています。この場合、事前にワルシャワ発ラーヴァ・ルーシカ行きのチケットと、ラーヴァ・ルーシカ発リヴィウ行きのチケットを購入しておきましょう。
ワルシャワ発キエフ行きの列車は、一番需要があるにも関わらず、座席数が少なく入手は極めて困難です。チケットは、通常販売はされておらず、ウクライナ鉄道のアプリ上からのみの販売となり、出発日の約2週間前に発売されますが、発売からわずか数分ですぐ売り切れてしまいます。
モルドバの首都キシナウからもキーウ(キエフ)行きの列車が出ています。
スロバキア第2の都市で、スロバキア東部のウクライナとの国境に近いコシツェからウクライナ行きの電車が出ています。
ムカチェヴォ(Mukachevo)は、ウクライナ最西端のザカルパチャ州の都市です。ムカチェヴォからはリヴィウ行きおよびリヴィウ経由でのキーウ、オデーサ、ザポリージャ、ハルキウなどの各都市行きの列車が出ています。
オーストリアの首都ウィーンからハンガリーの首都ブタペストを経由してキーウまで行く列車が毎日運行しています。しかしながらチケットはネット上からは購入できず、駅の窓口のみの販売となっています。またこちらのニュースによると、2車両(60席)のみの販売となっており、窓口に朝早く並んで何週間か先のチケットを買えるかどうかであり、入手困難なチケットになっています。
2023年10月現在、ルーマニアからウクライナ行きの列車は運行されていません。2023年の初めには、ルーマニア北部のウクライナとの国境沿いにあるValea Vișeului駅からそのすぐ隣のウクライナ・ザカルパッチャ州のラヒウ(Rakhiv)までの列車が運行されていましたが、現在は休止中のようです。
2023年10月現在、チェコからウクライナ行きの直行列車は運行されていません。しかしながら、チョコの首都プラハ発の列車で、ポーランドのプシェミシルで1回乗り換え、リヴィウやキーウなどのウクライナの各都市行きの列車に乗り換える旅程を「1枚のチケット」で購入できるプランが、チェコの民間旅客輸送会社のRedioJetから販売されています。
※アカウントを作成しなくてもチケットは購入できますが、アカウントを作成することで、毎回氏名を入力する手間を省ける他、購入履歴の確認や、チケットの返金依頼が行い易くなります(後述)。
From の欄に出発地を、 To の欄に到着地を入力し、Departure date から出発日を選択します。今回はポーランドのプシェミシル(Przemysl)からキーウ(Kyiv)行きの列車で、出発日を10月25日に選択してみます。「Search for trains 10.25.2023」をクリックすると、その日にまだ空きの座席がある場合、列車が下記のように表示されます:
IC+はインターシティを意味し、高速で都市間を結びます。S1が一等車で、S2が二等車であり、基本的には共に開放座席車です(日本の新幹線のような座席のタイプ)。 Cはコンパートメント席(二等寝台車)を指します。4人個室であり、二段ベットが個室内に2つ配置されています。ドアを中から鍵で閉めることができます。
上記画像にはありませんが、この他の座席区分としてLとBがあります:
ここでは、01:45 pm出発のコンパートメント席(二等寝台車)を選択してみます。
例えば、51、52、55、56の4席が一つの個室であり、二段ベッドの上の席が55と56で、下の席が51と52となります。 座席を選択すると値段が表示されるので、問題なければ、 Order tickets をクリックします。
Bed linenは、ベッドシーツの有無の選択です。寝台列車の場合、必ずBed linenにチェックを入れ、列車に乗る際にベッドシーツを受け取れるようにしましょう。
問題がなければ、 Add to Cart をクリックします。
メールアドレス記入欄には、チケット購入後にそのデジタルチケットを受け取りたい自分のメールアドレスを記入してください。
次にクレジットカードの決済会社を選びます。ここでは、緑色のПриват24 (Privat24)を選択します。 最後に「The agreement with the offer agreement」にチェックを入れ、 Pay をクリックします。
下記のような画面が表示されますので、自身のクレジットカードのカード番号、有効期限、セキュリティコード(CVC/CVV)を入力します。また、メールアドレス記入欄には、チケット購入後にそのデジタルチケットを受け取りたい自分のメールアドレスを記入します。
すべて正しくできたことを確認し、 Pay をクリックし、支払いを確定します。
また、チケットは購入時に記入した自身のメールアドレスにも電子版で送られますので、そちらの添付ファイルから、チケットをダウンロードしておくことも可能です。通常、ウクライナ国内での電車移動の際は、列車に乗る際にPCまたはスマホにダウンロードした電子チケットのQRコードを車掌に提示する必要があります。この際、身分証明書の提示が求められることもあります。
チケットによってはQRコードが印字されていないタイプもあります。この場合、このチケットはあくまで予約確認書の意味ですので、事前に駅の窓口(チケット売り場)に行き、QRコードが印字された紙のチケットを印刷してもらうよう頼んでください。
国境を越える国際列車の場合、チケットは電子版で持つだけでなく、紙に印刷することも必要ですのでご注意ください。駅の窓口で頼めば、チケットの印刷をしてもらえるケースがあります。
ウクライナ鉄道公式サイトのチケット購入ページにアクセスし、画面右上の Authorize をクリックし、メールアドレスとパスワードを入力し、自身のアカウントにログインします。
ログイン後、画面右上に自身のアカウント名が表示されるので、それをクリックし、Actual ticketsをクリックします。
自分が購入し、まだ有効なチケットの一覧が表示されますので、キャンセルしたいチケットの Return ボタンをクリックします。
その後表示されるページで Confirm Returning ボタンをクリックすることで返金依頼は完了です。完了後、下記の「返金確認書」が表示されます。
例えば以下の返金確認書の場合、支払い済みのチケット価格が477 UAHで、60 UAHの返金手数料が引かれ、417 UAHが返金されることを意味します。
返金は支払いに使ったクレジットカードに振り込まれます。なお返金時にクレジットカード会社や銀行側などの手数料や為替手数料が追加で発生する可能性があります。 列車の出発時刻から24時間以内前に返金依頼をする場合、座席のタイプによっては返金金額が少なくなる場合や、返金が拒否される場合があります。 また返金依頼は駅の窓口からも行うことができる場合があります。
ウクライナの主要駅の窓口・チケット売り場からも電車のチケットを購入することができます。窓口での購入の場合、英語が通じにくい場合がありますので、事前に購入したいチケットの出発地、目的地、日時、座席の種類などを紙に書き、その紙をチケットカウンターの方に見せることをおすすめします。チケット購入後は、カウンターから離れる前に購入したチケット内容に間違いがないか必ずチェックしましょう。国内列車と国際列車の場合は窓口が分かれていることがありますのでご注意ください。
ウクライナ鉄道の公式アプリ(Google Play、App Store)からも電車のチケットを購入可能です。しかしながら、例えばApp Storeの場合ですと、国設定が日本になっている場合、このアプリをiPhoneにインストールすることができません。なお、ワルシャワ・キーウ間のチケットについては、アプリからのみ購入可能となっています。
ヨーロッパ各国(ポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、モルドバ、ドイツ、チェコ、オーストリア、ブルガリアなど)からウクライナの各都市行きの長距離バスが出ています。バスでウクライナに入国する場合、電車の場合と比べて国境検査(出入国検査)にかかる時間が不安定です。国境を越えるのに、混んでいない時は1-2時間ほどで済みますが、混雑している場合は3―10時間かかる場合もあります。
ウクライナ発着のバスのチケットを購入する場合、おすすめのサイトは次のとおりです:
Mobile ticket と表示されている便は、購入したチケットを印刷することなく、スマホで電子チケットを表示することでバスに乗れます。 ここでは、12時30分ワルシャワ発のバスを選択してみます。 Select ボタンをクリックします。
※ウクライナの電話番号を入力した場合、エラーになります。この場合は、ウクライナ版のサイト(https://busfor.ua/)から購入してください。
また、BUSFORでアカウントを作成の上、チケットを購入した場合、自身のスマホにBUSFORアプリ(Google Play、App Store)をインストールすることで、アプリ上からチケットを確認することができるようになります。
ウクライナ行きのバスの主な乗り場は次のとおりです:
ワルシャワ西駅バスターミナル(Dworzec Autobusowy Warszawa Zachodnia)
住所:al. Jerozolimskie 144, 02-305 Warszawa, Poland
ルブリンバスステーション(Dworzec autobusowy w Lublinie)
住所:al. Tysiąclecia 6, 20-121 Lublin, Poland
コシツェバスステーション(Železničná stanica Košice)
住所:Staničné námestie 9, 040 01 Staré Mesto, Slovakia
クラコフ中央バスステーション(Dworzec MDA w Krakowie)
住所:Bosacka 18, 31-505 Kraków, Poland
ブダペスト・ネープリゲトバスステーション(Budapest-Népliget linja-autoasema)
住所:Budapest, Üllői út 131, 1091 Hungary
※必ずバスに乗る前に、そのバスの乗り場・バスターミナルの住所を確認してください!都市によっては複数のバスターミナルがあります。 バス乗り場を見つけるのに時間がかかる可能性もありますので、早めに30分以上前にはバス乗り場に来るのがいいでしょう。
ウクライナ行きの長距離バスには、車内にトイレがついていない場合が多いです。トイレ休憩は平均3-4時間ごとに、大きな都市のバスターミナルやガソリンスタンドに停まった際にあります。またトイレを利用するには、ポーランドで2-5 ZLN、ウクライナで10-20UAHほど料金を払わなければいけない場合があり、その際にコインを自動ゲートに入れることで入場するタイプのものもあります。ですので、長距離バスに乗る前に、ある程度の小銭を用意するのをおすすめします。
また、バス移動の際には途中で飲食などを購入できる場所も限られます。バスに乗る前に十分な飲食物を購入することもおすすめします。
隣接するポーランド、スロバキア、ハンガリー、ルーマニア、モルドバから車でウクライナに入国することができます。 自家用車でウクライナに入国する場合、電車の場合と比べて国境検査(出入国検査)にかかる時間が不安定です。国境を越えるのに、混んでいない時は2時間以内で済みますが、混雑している場合はそれ以上かかる場合もあります。
国境検問所では車種ごとにレーンが分かれているケースが多く、その場合はバスと自家用車は別々のレーンになります。
各国とウクライナとの国境検問所の一覧はこちらのサイトより確認できます。
国境検問での混雑状況はGoogle Mapsなどの地図アプリから確認できる他、以下のサイトからも確認することができます:
自家用車の場合でも国境を越えるのには時間がかかる可能性がありますので、十分な量の飲食物とトイレ支払い用の小銭をあらかじめ用意しておきましょう。
ヨーロッパではBlaBlaCarという相乗りサービス(シェアリングエコノミーサービス)が人気です。このアプリを使うことで、例えばワルシャワからキーウに自家用車で行く人の車に有料で相乗りすることが可能です。電車やバスがない時や、それらが停まらない都市に行きたい場合、BlaBlaCarの利用を検討するのもありかもしれません。
なおウクライナでは他のヨーロッパ諸国と同様、車は右側通行で左ハンドルです。右ハンドルの車の場合、その運転には制限がある可能性がありますので、事前に関連情報を確認しましょう。
ウクライナにて自家用車を運転する場合、ウクライナの交通法を遵守しましょう。道路の主な制限速度は以下のとおりです:
在ウクライナ日本大使館が発行する「安全の手引き(平成30年8月)」による自動車運転免許証に関する記述は以下のとおりです。
下記引用
ウクライナ内務省によれば、永住目的以外(短期滞在や現地への期間的駐在等)で当地に滞在する日本人が運転する際は、以下1~3のいずれかの方法によります。
1 日本の運転免許証及び日本で発行された国際運転免許証の両方を所持していること。
2 1968年11月8日の道路交通に関する条約(通称ウィーン交通条約)に加盟している国で発行され、同条約に定める様式(全ての項目がラテン文字でも記載されていることが必須)の運転免許証を所持していること。(日本は1949年9月19日の道路交通に関する条約(通称ジュネーブ条約)に加盟しているため、日本の運転免許証はここにはあてはまらない。)
3 ウクライナで取得した運転免許証を所持していること。
なお、永住目的でウクライナに滞在される方は、永住許可を取得してから60日間は外国の運転免許証等で運転できますが、それ以降は日本の運転免許証を当地の運転免許証に切り替える必要があります。(日本の運転免許証を所持していない場合は、切替ではなく新規取得扱い。)切替に伴い提出する日本の運転免許証は、返還されませんのでご注意ください。
引用終わり
各国とウクライナとの国境検問所を通じて、ウクライナに徒歩または自転車で入国することも可能です。
こちらのサイトより国境検問所の一覧を確認できますが、すべての国境検問所が徒歩および自転車での入国に対応しているわけではありませんので、ご注意ください。
2023年10月現在、戦時下ということもあり、ウクライナと他国の港を結ぶ定期フェリー便は運行されていません。以前はウクライナ・オデーサ州のチョルノモルシク(Chornomorsk)からジョージアのバトゥミを結ぶフェリーが運行されていました。
以上、2023年10月時点、戦時下におけるウクライナ入国方法に関する情報をまとめてみました。ご参考までに。