ウクライナ日本センター(キーウ理工科大学内)

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ウクライナ日本センターについて

ウクライナの首都キーウには日本の文化発信の拠点となる「ウクライナ日本センター(Ukraine-Japan Center)」があります。本記事では、ウクライナ日本センターの成り立ちや活動内容について深掘りしていきます。

ウクライナ日本センターとは?

ウクライナ日本センター(以下、日本センター)は、ウクライナと日本の間の相互理解を深め、両国間の協力を発展することを目的として、2003年に設立されました。設立当初はJICA(国際協力機構)の資金により運営されていましたが、現在は独立行政法人国際交流基金の資金により運営されています。

2005年には、キーウ工科大学(KPI)と協定を結び、以降は同大学のキャンパス内に、日本センターの施設が設置されています。

日本センターの主な機能は、①日本語学習拠点 ②日本文化学習拠点 ③日本関係の図書館活動 ④日本文化イベントの企画・開催 です。

日本語学習拠点

2011年に、両国間の多面的な協力関係の強化のため、日本センター内に「国際交流基金日本語センター」が設立されました。国際交流基金から日本人講師1名が毎年派遣されるほか、現地の日本人を含む日本語教師により、日本語の授業が日本センター内の教室およびオンラインで実施されています。

初級コースや中級コース、子供コースなどに分かれながら、毎年200-300人ほどのウクライナ人が日本語を学んでいます。授業は主に週2回で、コロナや戦争の影響もあり、現在はオンラインで学習する生徒が多いとのこと。教授内容は国際交流基金のプログラムに従っているため、質の高い授業を生徒は受けることができます。

JoinJapanがここで学ぶ生徒と話す限り、多くの方が日本のアニメや漫画がきっかけで日本語の勉強に興味をもったようです。中には4-5年以上の長期にわたって授業に参加している方もいます。コースの修了生は、基本的な日本語力を身につけることで、会社でのキャリアアップに繋げる方も多いようです。

日本文化学習拠点

日本センターでは、囲碁や将棋、生花、手毬、尺八、茶道などの文化教室が愛好者らによって組織されています。日本でこれらの文化を学んだ先生が教えており、週1回などのペースで教室が開催されています。将棋や囲碁は大会なども組織されています。

また、日本センターでは、日本文化紹介のイベントスペースがあり、手毬や書道、着物などの様々な日本の文化の展示が随時行われ、多くの来場者を集めています。

日本関係の図書館活動

日本センターには図書館があり、月曜から金曜は11時半から19時まで、土曜は11時から18時まで開館しています(日曜は休み)。約12000冊の日本関係の蔵書を抱え、日本語の書籍のほか、日本語学習者向けの本などがあります。日本の最新の漫画のウクライナ語版、英語版なども置いてあり、学生には喜ばれています。ウクライナで暮らした日本人や、以前日本に関わりのあったウクライナ人から寄贈された本も多数あります。一部には、元総理大臣の麻生太郎さんが寄贈された漫画本もあるとか。

本は貸し出しも受け付けているほか、館内にはテーブルや椅子も用意されていますので、そこで読むことも可能です。

日本文化イベントの企画・開催

日本センターでは、コロナ以前は「日本デー(Japan Day)」という大規模フェスティバルを開催していました。毎年異なるウクライナの都市で開催され、最大1万人ほどの参加があり、書道やけん玉、日本刀試し切り、着物の着付けなど様々な日本文化の展示やデモンストレーションを行なっていました。

また、日本関係のイベントがウクライナで開催される場合、日本センターの職員や教室の先生・生徒などが、それらイベントでの日本文化のデモンストレーションに携わることも多いようです。

まとめ

2022年のロシアによるウクライナ全面侵攻以降も、ウクライナ日本センターは活動を続けており、図書館も開館しています。ウクライナと日本の二国間の関係発展の強化が急がれる今日において、日本文化の発信の拠点である日本センターの重要性は今後も高まることでしょう。

ウクライナ日本センター公式サイト:https://uajc.kpi.ua/

ウクライナ日本センターFacebook:https://www.facebook.com/uajc.kpi.ua