マーケティングリサーチ in ウクライナ

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マーケティングリサーチ in ウクライナ

マーケティングリサーチとは、情報の検索、収集、分析です。マーケティングリサーチの結果によって、経営者は、商品・開発・生産・広告・販売・サービス・規模・タイミングなどなど、経営におけるより正しい意思決定を行えるようになります。 

言い換えれば、新しいビジネスのために不足している情報をマーケティングリサーチによってしっかり補うことが重要です。日本国内のビジネスではなく、ウクライナでのビジネスともなれば、なおさらです。 

オンラインで言えば、検索エンジンやソーシャルメディアは、サービスや商品を販売するための最も人気のあるプラットフォームです。これらのプラットフォームで効果的にビジネスを推進するには、そこから得られる情報を継続的に分析する必要があります。オンラインマーケティングリサーチによって、ターゲットとなるマーケットの特徴、発展状況、消費者行動、競合他社の戦略などを知ることができます。 

オンラインで可能なマーケティングリサーチ10選 

1.インタビュー マーケティングリサーチ 

インタビューは、オフラインとオンラインの両方のマーケティングリサーチにおいて、最も一般的なデータ収集方法です。そのシェアは、実施されたすべてのリサーチにおいて90%にのぼります。特定のグループ(エリア、年齢、性別、趣味嗜好別など)に質問することで情報を収集する方法です。調査の主な目的は、製品、サービス、ブランド、デザインに対する消費者の意見、信頼度、好み、アクションなどを調べることです。調査は、与えられた選択肢から回答を選ぶアンケート形式と選択肢を与えずに自由に回答してインタビューの2種類で構成させることが多いです。 

ウクライナを含む欧米で人気のあるオンラインアンケートサービスとして、Google Forms 、Survey Monkey、Simpoll、Anketolog、Online Test Pad、Typeform、SurveyLub、Surveynuts、Examinareが挙げられます。 

インタビューは、ナラティブリサーチの有効な手法です。デプスインタビューでは、一定人数の参加者を対象に長期間にわたってインタビューが行います。これにより、顧客ポートフォリオを作成し、カスタマージャーニーマップのさまざまなシナリオを描き、製品への満足度に影響するプロセスを分析することができます。 

2.オンライン・フォーカス・グループ マーケティングリサーチ 

フォーカスグループ形式は、回答者と直接会うことができない場合に最適なリサーチ方法です。この方法を使うと、リサーチ範囲を広げ、実施にかかる時間を短縮することができます。オンライン環境において、質の高い情報を得るには最適な方法です。さまざまな回答者層を調査対象とすることができ「本来は接触困難な回答者」を調査に参加させることも可能です。 

オンライン・フォーカス・グループの利点は、 

・特定のパラメータを満たす人々のグループをオンラインで集めることができる 

・オンラインなので参加者を集める場所は必要ない 

・参加者は心理的にも拘束されず、普段慣れ親しんだ場所から自由に参加できる 

・参加者は何の制限も受けずに正直に回答できる 

・参加者はお互いの意見に影響を与えることもなく独立性が保てる 

などが挙げられます。 

オンラインフォーカスグループの主な2つのタイプは、チャットとフォーラムです。 

チャットはリアルタイムで実施されます。参加者は特別なリソースに登録を済ませ、モデレーターと特定のトピックについて議論します。質問のリストは事前に準備されていることが大半です。時間がないときに適しています。 

オンラインフォーラムは、参加者が質問に答えたり、他の人にコメントしたり、自分の意見を述べたりします。参加者は、都合の良い時間を選んでフォーラムに参加することができ、ディスカッションの時間も十分にとれます。 

3.サービスや製品の使用感の調査 マーケティングリサーチ 

自社のサービスや製品に関するフィードバック(レビュー)を受け取るためにもオンラインマーケティングリサーチは便利です。消費者は、サービスや製品を利用してみた印象や経験を素直に評価することができます。良かったところ、悪かったところ、便利な点、改善してほしい点、総合的な評価など、あらゆることを知ることができます。自社サービスや製品がオンライン上にあるものだとしても、レストランや修理工場のようにオフライン上にあるものだとしても、様々なユーザーからの意見が聞けます。 

客観的で正直なユーザー体験レビューは、企業内にある疑問や思い込み、課題や紛争を解決するのみならず、サービスや製品の欠点や欠陥を知ることができ、その結果、改善や需要の喚起(プロモーション)にまでつなげることができます。もちろんその先にある新サービスや新商品の開発にもつながります。  

4.ユーザー像の分析 マーケティングリサーチ 

ターゲットユーザーをより深く理解し、そのニーズに最大限応えるために、様々な情報データを参考に、自社サービスや製品を最も必要としているターゲット層を明確にします。「本当の顧客は誰なのか?」を明確にすることで、ターゲットの規模、ターゲットを獲得する方法、ターゲットとのコミュニケーションの方法、予算などがはじき出されます。 

ターゲットユーザーを分析するための情報源として、下記が挙げられます。 

・オンラインレビュー 

・オンラインアンケート 

・ユーザーのソーシャルメディア上にあるプロフィールや投稿 

・ウェブ解析データ(例えばGoogle Analyticsから、ユーザーの行動、活動地域、使用デバイス、年齢、性別、検索語句などが判別できます) 

ターゲットユーザーを分析するために欲しい情報として、下記が挙げられます。 

・性別、年齢 

・居住エリア(国ではなく実際に活動している市区町村) 

・職業、興味関心、趣味 

・配偶者の有無、子供の有無 

・購買行動(過去に利用したサービスや製品) 

・人生の目標、価値観 

・よく使うSNS 

これらは大枠で、実際にはもっと細かいデータが必要です。例えば、ペットフードメーカーであれば、ユーザーは何のペットを飼っているか、どこでペットフードを購入しているか、どんなブランドと価格帯を好んでいるかなどなど、細かいデータがあればあるほど、競争で優位にたてます。 

5.マーケットセグメンテーション調査 マーケティングリサーチ 

マーケットセグメンテーション調査を通じて、ユーザーの属性、趣味嗜好、行動、ニーズ、優先順位、その他ニッチな情報で分類し、市場を絞り込むこと(市場細分化)ができます。そうすることにより、製品開発や生産、価格設定、広告展開などにおいて無駄やリスクを削減できます。また、ユーザーをグループ分けし、異なる製品、異なるパッケージ、異なる価格、異なるアプローチでビジネス展開することも効果的です。 

マーケットセグメンテーションとして、例えば下記が挙げられます。 

・デモグラフィック 

ユーザーの性別、年齢、国籍、教育、所得、職業、家族構成を考慮 

・ジオグラフィック 

居住地、現在位置などの地理的属性を考慮 

・サイコグラフィック 

性格や価値観、ライフスタイル(アウトドア派、インドア派など)、パーソナリティ(個性、人柄、外向性など)、趣味(読書、ジョギング、ネットサーフィン、ペットなど)、志向(健康志向、ブランド志向、安定志向、上昇志向など) 

調査し集めたデータに基づいて、それぞれのユーザーグループに分けて戦略を練ります。 

6.価格モニタリング マーケティングリサーチ 

価格モニタリングは競合他社の分析だけでなく、社内マーケティングのツールにもなっています。多くの大手ブランドは、自社製品の小売シェアや競争力を評価するために、自社製品の価格をモニタリングしています。競争力のある価格を設定し、需要の伸びやレビューを分析し、サービスや製品のコストを変更したり、効果的な割引システムをタイムリーに開始したりすることに役立てています。 

サービスや製品の価格は、会社の売り上げと利益に直接的な影響を与えますし、価格そのものがそのサービスや製品の価値を印象付けるという側面もあります。相対的に見て価格が安すぎればユーザーは「粗悪品か?中国製か?」と不信感を抱きます。ウクライナ人にとって低価格は何よりも購買意欲を刺激されることではありますが、粗悪品に悩まされ続けてきた経験をほぼすべての消費者が持ち合わせていることも特筆すべきことです。 

ウクライナでのプライシングを進めていく場合、 

・ターゲット顧客は誰か? 

・自社コストはいくらか? 

・競合の価格はいくらか? 

・相対的に自社サービスや製品の価値はどのくらいか? 

などを細かく分析しておくことが必要です。 

7.競合他社の分析 マーケティングリサーチ 

オンライン上には、貴社と類似したサービスや製品を展開している競合他社がありますか?ウクライナ市場においては、日本企業の進出は少ないですが、欧米各国、中国、アジア、中東から多くの企業が進出しています。 

インターネット上でのプロモーションを成功させるためには、価格だけでなく、競合他社についてできる限り詳しく知っておくと有利です。例えば、ターゲット・ユーザーとのインタラクションや選択した戦略の効果について、彼らのオンライン・チャンネルをモニターすることも有効です。 

競合他社と自社のGoogle検索順位(SEO)を比較したり、Semrush, SE Ranking, Serpstat, Ahrefs.com, SimilarWeb, and others.を用いて競合他社が宣伝している主要なクエリや、サイト内で最も人気のあるページなどを分析したりするもの有効です。 

その他、オンラインという同一空間でほぼ同じサービスや製品で競争をしている相手について、最低限下記のことは分析しておきたいです。 

・ソーシャルネットワークとオーディエンスとのコミュニケーション方法や規模 

・コンテンツの充実性と配信チャネル 

・オンラインでのPR活動一式(PPCなど有料プロモーション含む) 

競合分析を行うことで、適切なブランドポジショニングの選択、開発戦略の調整、あるいはサービスパッケージや製品ラインの拡張を行うことができます。 

8.顧客満足度・ロイヤルティ調査 マーケティングリサーチ 

顧客満足度は、その顧客が体験したことと、そのサービスや製品がどのくらい顧客の期待に応えたかで決まります。顧客満足度を向上させていくのに比例して、顧客はそのサービスや製品における「最大の営業マン」に変貌していきます。たった1人の顧客が率直な気持ちで綴った何気ない満足レビューによって、それを見た別のユーザーが何千人、何万人もそのサービスや製品を試してみたくなることは珍しくありません。 

顧客満足度を向上させていくために、あらゆるフィードバック、レビュー、受け取った情報を深く分析してまとめていきましょう。例えば、 

・ウクライナにおけるオンライン調査 

・ウクライナの様々なターゲット層へのインタビュー 

・顧客がウェブサイト上に率直レビューを書けるコーナーを設ける 

・ランディングページやブランドのソーシャルメディアにある評価ボタンの活用 

なども挙げられます。 

顧客満足度を向上させるために、既存の顧客がどこに不満を持っているのか、なぜ戻ってこないのか、なぜリピートするほどの印象に残らないのかなど、オンラインリサーチを通じて明確にしていきましょう。 

9.ブランド認知度調査 マーケティングリサーチ 

ブランド認知度は、ユーザーがサービスや製品に対してどれだけ親しみをもっているかを示す指標でもあります。オンライン上で、各種SNSにおける言及数、どこで、どの程度の頻度で、どのような内容について話しているか、まずはそれを分析することによって、ユーザーのブランドへの認識を確認できます。例えば、貴社のサービスや製品に対して否定的なコメントが蓄積されている場合には、それを至急分析し、オンライン空間における貴社のイメージを救う必要があります。 

10.広告キャンペーンの調査 マーケティングリサーチ 

Google、Facebook、Instagram、YouTubeの広告キャンペーン効果を分析することは必須です。PPC広告を通じて、様々な深い分析が可能になります。広告キャンペーンの分析には、Google Analyticsのデータおよび広告が掲載された広告アカウントの内部統計も併用します。 

マーケティングリサーチ まとめ 

オンラインにおけるマーケティングリサーチが、すでに今日のマーケティングに欠かせないものとなっていることは、皆さん把握していることです。オンラインであれば、必要な情報を得るために必要な時間と費用が少なくてすみ、コミュニケーションプロセスも簡素化され、より多くのユーザーを対象とすることができます。 

さらに、デジタルツールを通じてユーザーと交流する場合、ブランドの製品やサービスに対する率直で最も客観的な評価を得られる可能性が高まります。 

しかし、まだまだ、オンラインのマーケティングリサーチを完全に使いこなしている企業は少ないため、完全に使いこなすだけでそれが大きな強みとなります。 

先入観や偏見の多い日本市場では試せなかったオンラインマーケティングリサーチをウクライナで試してみるのも良いかもしれません。