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ウクライナから日本へはどのようなものが輸出されているのでしょうか?本記事ではウクライナの貿易統計データをもとに、深掘りしていきます。
ウクライナの貿易統計データによると、2023年のウクライナからの輸出総額は361億8290万ドルでした。この内、輸出先の国別ランキングで日本は63位であり、2023年の日本への輸出総額は3505万ドルを記録。前年比ではマイナス66.7%の大幅な下落でした。
対して、2023年にウクライナが日本から輸入した総額は9億828万ドルであり、輸出から輸入を引いた差額は マイナス8億7323万ドルと、日本との貿易においてウクライナは大幅な輸入超過となっています。
1位は「穀物」で1266万ドル。前年比で驚愕のプラス10,863.5%の増加。日本への輸出額の36.1%を占め、断トツの1位でした。2022年は戦争の影響で港湾からの穀物輸出がストップしたものの、徐々に黒海穀物輸送回廊の設定や、オデーサ港などからの輸出再開、鉄道やトラックなどの陸上輸送への切り替えが進み、穀物輸出が再開できたことが要因と思われます。
2位は「アルミニウムおよびその製品」で744万ドル。前年比プラス99.8%の大幅な増加を記録。輸出額の21.2%を占める、重要品目です。ウクライナでのアルミニウム生産はザポリージャ市にあるアルミニウム生産工場が一手に担っています。この工場はロシアのオリガルヒ率いるルサール社の手に渡っていましたが、2023年以降はウクライナが支配権を取り戻し、現在は国の管理下にあります。
3位は「鉱石・スラグ・灰」で321万ドル。前年比マイナス94.1%の大幅な下落。戦争の影響を大幅に受けたものと推測されます。輸出額に占める割合は9.2%。ウクライナは鉱石資源に恵まれた国ですが、その大手供給元のドンバス地方が戦火に見舞われているのが悲しい現状です(参考記事:ウクライナは鉱物や天然資源の宝庫)。
4位は「無機化学製品」で240万ドル。前年比マイナス59.2%とこちらも大きな下落。輸出額の6.9%を占めました。
5位は「木材およびその製品」で201万ドル。前年比マイナス77.1%で、輸出額に占める割合は5.8%。
6位は「様々な化学製品」で159万ドル。前年比マイナス10.1%で、輸出額の4.5%を占めました。
7位は「有機化合物」で81万ドル。前年比プラス84.7%で、輸出額の2.3%を占めました。
8位は「牛乳および乳製品、鶏卵、天然はちみつ」で77万ドル。前年比でマイナス64.3%の下落。輸出額の2.2%を占めました。2020年のデータによると、ウクライナは蜂蜜の生産で世界第4位。食卓でも日本と比べてはるかに多くの蜂蜜を使う食文化です。日本の成城石井や楽天モールでウクライナ産はちみつが販売されています。また、ウクライナはチーズ、バター、ヨーグルトなどの酪農製品の生産が盛んな国です(参考記事:ウクライナは酪農業が盛んな国 )
9位は「おもちゃ」で38万ドル。前年比マイナス44.2%で、輸出額の1.1%を占めました。
10位は「衣類および衣類用アクセサリー、織物」で38万ドル。前年比プラス123.4%で、輸出額の1.1%を占めました。ウクライナは伝統的な刺繍入りの衣服「ヴィシヴァンカ」で有名。近頃は日本のネットショップでも販売されるようになりました(参考:ウクライナの伝統的な服装とその文化的背景)。
以上のように、ウクライナから日本への輸出品については、農業製品および天然資源の輸出が大きなウェイトを占めることがわかります。戦争の影響によりウクライナから日本への輸出は大幅に減少していますが、2024年前半には、船での輸出がロシアによるウクライナ全面侵攻以前まで回復してきていますので、今後の日本向け輸出の回復が期待されます。
今回取り上げた品目以外の輸出データや、毎年の輸出の推移などについてご興味のある方は、ぜひウクライナの専門家であるJoinJapanまでお気軽にお問い合わせください。