ウクライナ人コミュニティー

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日本で発展するウクライナコミュニティ

日本で暮らすウクライナ人は2020年には1900人ほどでしたが、2022年のロシアによるウクライナ侵攻によりその数は4100人と、2倍以上に増えました。人がより集まればコミュニティも発展するのが道理。本記事では近年発展を続ける日本の中のウクライナコミュニティについての情報をまとめました。

日本に住むウクライナ人の数

日本には一体何人のウクライナ人が住んでいるのでしょうか?出入国在留管理庁がサイトにて公表している登録外国人統計および在留外国人統計によると、ウクライナ独立直後にあたる1992年に日本にて在留資格を持っていたウクライナ人(国籍保有者)はわずか2人でした。その後、2000年には1004人まで急増。この年は、興行ビザで滞在していたのが556人と、半分以上を占めました。その後、日本政府は興行ビザ発給の引き締めにかかり、興行で来るウクライナ人は激減。しかしそれでも日本に住むウクライナ人の数は伸び続け、コロナ前の2019年12月には1940人を記録しました。

ロシアによるウクライナ全面侵攻後は、メディアで報道されている通り、日本は多くのウクライナ人避難民を受け入れました。このため、2023年12月時点では、日本に滞在するウクライナ人は4202人とコロナ前から2倍以上に増加しました。

滞在者の在留資格の内訳を見ますと、特定活動が2073人とトップ。これは避難民向けの特別な在留資格です。続いて、永住者が975人、日本人の配偶者等が267人、留学が249人、技術・人文知識が233人です。このように、日本に住むウクライナ人の属性も戦争の影響により大きく変わってきました。

日本でのウクライナ人による団体

日本に住むウクライナ人が中心となり、日本ではいくつかのウクライナ系の団体が設立されています。その中で一番大きいのがNPO法人「日本ウクライナ友好協会KRAIANY(クラヤヌィ)」。ウクライナ文化を日本に広めるための活動やイベント開催のほか、避難民の支援、ウクライナ語教室の運営、カフェの運営など活動内容は多岐にわたります。

また、福岡県には「UA Fukuoka」という同県に住むウクライナ人による団体があります。2022年のロシアによる軍事侵攻を受けて、同県に住むウクライナ人により設立されました。ウクライナ人コミュニティーの支援のほか、文化イベントの開催を行なっています。

日本にあるウクライナ日曜学校

日本に住むウクライナの子供たち向けの日曜学校が日本にはすでに複数設立されています。日曜学校では子供たちがウクライナ語を勉強するほか、ウクライナの文化や伝統行事を学ぶことができます。

東京都港区にあるのがウクライナ日曜学校「ジェレルツェ」。日本で一番古いウクライナ日曜学校であり、前述のNPO法人KRAIANYにより設立・運営されています。

神奈川県川崎市には、「ホロバチョック」という日曜学校があります。一般社団法人ジャパン・ウクライナパートナーズにより運営されています。

愛知県名古屋市には2021年に設立された「レヒーニャ」という日曜学校があり、NPO法人日本ウクライナ文化協会が運営しています。

日本でのウクライナの宗教コミュニティ

東京には「ウクライナ正教会」が存在します。在日ウクライナ人とその家族により設立され、日本に住むウクライナ人に限らず、誰でも礼拝等に参加することが可能とのこと。現在は、日本聖公会の聖オルバン教会や横須賀海軍施設内のホープチャペルを借り、そこで礼拝が行われています。

日本で開催されたウクライナイベント

日本で開催されるウクライナを紹介するイベントとしては、NPO法人KRAIANYが2013年から2019年まで毎年開催していた「東京ウクライナ・パレード」が有名です。ウクライナの国旗を掲げ、民族衣装を着ながら、東京をみんなで練り歩くイベントでした。残念ながらコロナ以降は休止しているようです。

2024年7月20-21日には東京・代々木公園で「Ukraine Fest Tokyo2024」というイベントが開催されました。会場ではウクライナフードの屋台や、民芸店などが立ち並び、多くの人の入場がありました。会場ではウクライナ文化を体験できたほか、ウクライナ・日本の両国の歌手やダンサーによるステージもありました。

まとめ

戦争の影響により世界各国に避難したウクライナ人は、戦争の影響によりいつ祖国に戻ることができるかわかりません。各種調査によると、すでに多くのウクライナ人が避難先の国で当分の間、住むことを覚悟しています。日本に避難してきたウクライナ人は単なる一過性のものではなく、今後も日本におけるウクライナ人コミュニティは発展を続けていくことでしょう。